11月のアメリカ中間選挙を控え、トランプ政権が推し進める強硬な移民政策が社会に大きな波紋を広げている。移民税関捜査局(ICE)による摘発の強化は労働現場の混乱や家族の分断を招く一方、国境地帯では治安改善を評価する声もあり、政策の是非が選挙の争点となっている。
テキサス州の建設現場で相次ぐ工事中断
テキサス州の国境に近い街では、トランプ政権の不法移民対策により、建設業界で深刻な人手不足が発生している。日テレNEWS NNNの取材によると、住宅建設現場では作業員がICEの摘発を恐れて出勤を拒む事態が常態化し、建設が中断されたまま放置された住宅が目立つようになった。建設会社経営者は、作業中でも関係なく作業員が一斉に連行される現場の状況を証言している。同州の建設業界では外国生まれの労働者が約4割を占めており、就労資格の有無を問わない強硬な取り締まりが、地域経済の停滞に直結している状況だ。
「人生が一変した」家族の分断と孤立
強硬な移民政策は、個人の生活にも過酷な影響を及ぼしている。マディソンさん(31)は、ベネズエラから亡命申請していた夫のビクターさんが、昨年12月に移民手続きで訪れた施設でICEに拘束されたと語った。ビクターさんは約100日間収容された後、母国へ自主的に出国せざるを得なくなった。日テレNEWS NNNの報道によれば、トランプ政権が発足した昨年1月以降、親がICEに拘束されて子どもと離れ離れになったケースは20万人を超えると推計されている。マディソンさんは、夫の不在により金銭面や養育面で生活が立ち行かなくなった現状を訴えている。
「必要がなければ外に出ない」募る恐怖心
カリフォルニア州に住むメキシコ国籍のクラウディアさん(30)は、自身の身に降りかかる不安を日テレNEWS NNNに対して明かした。幼少期に渡米し、強制退去を猶予する制度「DACA」を利用してきたが、更新手続きの長期化により就労許可が切れたことで失業した。クラウディアさんは、「自分に非がなくても収容施設に入れられる可能性がある」と語り、現在は必要がなければ外出を控える生活を送っている。かつては働き、学ぶことが可能だったアメリカの環境が、政策の変更によって一変してしまったことへの危機感を募らせている。
国境の壁がもたらした治安への評価
強硬な移民政策を支持する層からは、国境管理の強化を歓迎する声も上がっている。メキシコ国境近くで牧場を経営するジム・チルトンさん(87)は、以前は不法入国者がフェンスを破壊して牧場を通り抜けていたと指摘する。日テレNEWS NNNの取材に対し、トランプ政権が建設を進めた壁や軍の配備による取り締まり強化の結果、不法入国者が激減したと評価した。実際に不法入国者の越境数は、2024年の約160万人から2025年には約18万人にまで減少しており、こうした治安面での変化が政策への根強い支持を支えている。

中間選挙で問われる移民政策の是非
移民政策をめぐる分断は、11月の中間選挙の結果を左右する重大な要素となっている。日テレNEWS NNNの調査では、移民政策を「支持しない」と答えた人が55%に上る一方、「支持する」と答えた人も36%存在しており、世論は二分されている。共和党の地盤であるテキサス州や、多くの移民が暮らすカリフォルニア州でも批判的な声が強まっており、行き過ぎた取り締まりに対する失望から「トランプ離れ」を示唆する有権者も現れている。選挙戦の終盤に向け、強硬路線を維持するトランプ政権の移民政策が、最終的にどのような審判を下されるのか注目が集まっている。