テスラは、中国で約298万台の電気自動車(EV)をリコールすると発表しました。中国国家市場監督管理総局(SAMR)への届出によると、今回の措置は、重大な衝突事故の際にドアが開かなくなる恐れがあるという安全上の懸念に基づくもので、中国における自動車リコールとしては過去最大規模となります。
ドアハンドルの設計上のリスクとSAMRの指摘
今回のリコール対象には、中国で製造された車両および輸入されたModel 3、Model Y、Model S、Model Xが含まれます。内訳は、中国製Model 3が973,156台、Model Yが1,956,713台で、輸入車はModel 3が35,590台、Model Xが8,328台、Model Sが2,123台となっています。
SAMRは、テスラの電子制御式格納型ドアハンドルについて、重大な衝突により低電圧システムが故障した場合、操作が困難になる可能性があると指摘しています。これにより、乗員が迅速に脱出することや、外部からの救助活動が妨げられ、安全上のリスクになるとされています。また、車内にある緊急用の機械式リリースラッチについて、内装の色と酷似しているため、緊急時に見つけにくいという点も問題視されました。
中国当局は、電子ドアの故障により乗員が閉じ込められたEV事故が国内内外で発生していることを受け、フラッシュ(隠し)ドアハンドルへの監視を強めています。中国共産党の機関紙「人民日報」は、今回のリコールを、2027年に施行される隠しドアハンドルの禁止に向けた「統一的な安全アップグレード」であると報じています。
テスラによる対策と修正方法
テスラは、この問題に対処するため、対象車両に警告ラベルを貼付することを決定しました。また、事故後にウィンドウが自動的に下がるよう、ウィンドウ制御ソフトウェアをリモートでアップデートします。

リモートでのソフトウェア更新が不可能な車両の所有者に対しては、テスラが個別に連絡し、サービス予約をスケジュールするとしています。なお、米国家道路交通安全局(NHTSA)は、自動車メーカー側が米国で同様のリコールを実施する計画は開示していないと述べています。
他メーカーを含む大規模な業界リコール
今回のリコールはテスラ単独ではなく、計9社の自動車メーカーが対象となっており、中国国内で合計約427万台(または約430万台)の車両が回収される見込みです。ドアハンドルの問題でリコールを行う主なメーカーと台数は以下の通りです。

| メーカー名 | リコール台数(約) |
|---|---|
| テスラ (Tesla) | 298万台 |
| シャオミ (Xiaomi) | 39万台 |
| リープモーター (Leapmotor) | 37万台 |
| エックスペン (Xpeng) | 26万台 |
| ジーカー (Zeekr) | 9.2万台 |
中国乗用車協会の崔棟樹会長は、この動きをEV業界の発展における「不可避なステップ」であり、メーカーがより信頼性の高い「安全第一」のアプローチに移行し、責任ある行動を取っていることを示すものだと述べています。
ドライバー監視システムに関する別途リコール
ドアハンドルの件とは別に、テスラは中国で約274万台(または200万台以上)のModel 3およびModel Yを対象に、ドライバー監視システムに関するリコールを実施しています。SAMRは、ドライバーがハンドルを保持しているかを確認する既存のシステムでは不十分であり、視線の追跡が必要であると判断しました。テスラはこの問題に対し、ソフトウェアアップデートによる修正を行う予定です。