ブエルタ・ア・エスパーニャの絶対的なリーダーであったタデイ・ポガチャル選手が、第8ステージで激しい落車事故に見舞われ、大会棄権を余儀なくされました。スロベニア出身でツール・ド・フランスを5回制したポガチャル選手は、救急車で搬送され、バルセロナの病院で治療を受けています。
事故の状況と負傷の詳細
事故は、プコルからシェラコまでの平坦な171kmのルートを走行する第8ステージの、ゴールまで約30kmから33kmの地点で発生しました。テレビ映像によると、ポガチャル選手は道路上の何かを避けようとして右側にハンドルを切った際、コントロールを失い、ハンドル越しに前方へ激しく転倒しました。一部では、路上の石に乗ったことが原因であるとの推測もありますが、UAEチームエミレーツのスポーツマネージャーであるマチン・ジョクセアン・フェルナンデス氏は、今回の件は「誰の責任でもない」と述べています。
UAEチームエミレーツの医療ディレクター、アドリアン・ロトゥンノ氏が発表した診断結果によると、ポガチャル選手は以下の負傷を負いました。
- 脳震盪(のうしんとう)
- 左鎖骨の転位骨折
- 安定したC7頸椎骨折(首の最も低い骨)
- 複数の擦り傷
また、眉などの部位に縫合処置が必要であったことも報告されています。ロトゥンノ氏は、重大なその他の怪我や神経学的な後遺症は幸いなかったとしています。
今後の治療とシーズンへの影響
ポガチャル選手は当初、バレンシア州南部のガンディアにある施設で治療を受けていましたが、その後ストレッチャーで救急車に移され、手術を受けるためバルセロナの病院へ搬送されました。左鎖骨の手術が必要ですが、脳震盪への配慮から、手術の実施は回復を待って延期されることになりました。

ポガチャル選手は自身のInstagramアカウントに、ネックブレースを着用し、右眉と右手に包帯を巻いた状態で病院のベッドに横たわる写真を投稿しました。BGMにBee Geesの「Stayin’ Alive」を添え、前向きな様子を見せています。

今回の棄権は、ポガチャル選手にとって10回目のグランドツール出場の中で初めての棄権となります。これにより、9人目のグランドツール全制覇(ツール・ド・フランス、ジロ・デイタリア、ブエルタ・ア・エスパーニャのすべてでの優勝)という目標は絶たれました。また、9月下旬にカナダで開催される世界選手権への出場についても、回復状況から見て困難であると考えられています。
大会の現状と新たなリーダー
事故直前、ポガチャル選手は2位に3分50秒という大差をつけて首位に立っていました。彼の棄権に伴い、モビスターのエンリック・マス選手が新たなリーダーとなりました。マス選手は、ポガチャル選手への敬意を示すため、第8ステージ後の表彰式ではリーダーのレッドジャージを着用せず、掲げるのみにとどめていました。
その後、第9ステージ(ビジャジョヨサからアルト・デ・アイタナまでの187.4kmの山岳ステージ)において、マス選手はステージ優勝を果たし、リードを拡大しました。最新の総合順位は以下の通りです。
| 順位 | 選手名 | タイム差 |
|---|---|---|
| 1位 | エンリック・マス | リーダー |
| 2位 | プリモジュ・ログリッチ | +1分18秒 |
| 3位 | フェリックス・ガル | +1分39秒 |
| 4位 | オスカー・オンリー | +2分20秒 |
マス選手は、自身のチームであるモビスターが地元スペインのグランドツールで5年ぶりに勝利したことを喜び、「今、タデイの気持ちがわかる。レッドジャージは翼をくれる」と語っています。大会は月曜日の休息日を経て、火曜日からアルカラスからエルチェ・デ・ラ・シエラまでの187.5kmの区間で再開し、9月13日にグラナダで終了する予定です。