ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ドナルド・トランプ米政権によるロシア産ディーゼル油の輸入再開や米国の政策転換を受け、かつてない深刻な試練に直面している。一連の動きは、欧州連合(EU)首脳らがブリュッセルで開いた首脳会議でも主要な議題となった。
相次ぐ米国の政策転換とウクライナへの打撃
さらに、米国の態度の変化は通信や防衛の現場にも直接的な影響を及ぼしている。報道によれば、ウクライナ軍がドローンの誘導に利用してきた衛星通信システムにおいて接続制限や障害が発生した。.
欧州が直面する防衛財政の深刻なギャップ
米国の支援が不安定化する中、ウクライナの財務省は来年の防衛・財政ニーズを満たすために700億ユーロが必要であると試算している。昨年12月にEUが合意した90億ユーロ(一部報道では101億ドル相当)の融資枠ではもはや不十分であり、現時点で400億ユーロが未資金化の状態にある。
エストニアのクリステン・ミカル首相はロイターに対し、「欧州の財政支援は存在しなければならない。消耗戦における財政支援はアルファでありオメガである」
と述べ、欧州による継続的な支援の必要性を強調した。

こうした財政難を背景に、欧州内に眠るロシアの凍結資産の活用論が再び浮上している。2022年2月の侵攻直後からロシア中央銀行の資産およそ2100億ユーロが凍結されており、その大部分にあたる約185億ユーロがベルギーの証券保管機関ユーロクリアに保管されている。
しかし、こうした凍結資産の移転や活用については、国際金融市場における欧州共通通貨ユーロへの信頼を損ね、一種の没収とみなされるリスクを懸念する声も根強く存在している。欧州委員会はウクライナの財政需要の評価を進めるとともに、2028年から2034年の長期予算を通じた追加支援の検討も進めている。
揺らぐ国際体制と今後の展望
ウクライナのゼレンスキー大統領は、ブリュッセルでの協議の前にロンドンを訪問し、キース・スターマー政権の首相やチャールズ3世国王と会談を行っている。しかし、米国がロシアへの接近を示す中で、英国やEU諸国が肩代わりできる国際的支援の規模には限界がある。

ブルガリアのルメン・ラデフ大統領がトランプ氏の「ディーゼル外交」を評価する発言を行うなど、EU加盟国の一部にはモスクワとの関係再構築を模索する動きも見られる。ウクライナと欧州各国は、厳しい冬の到来と米国の予測不可能性という二重の重圧を抱えながら、困難な状況への対応を迫られている。