セネカ・ネーションの指導者は、ドナルド・トランプ大統領がオンタリオ湖(Lake Ontario)を「レイク・アメリカ(Lake America)」へと改称する決定を下したことに対し、強く反発している。この決定は、225年以上にわたって維持されてきた条約に違反するものであり、湖にその名を授けた先住民に対する「明白な無礼」を示すものだと批判されている。
セネカ・ネーション、トランプ大統領によるオンタリオ湖の改称撤回を要求
条約違反と文化的アイデンティティの侵害
セネカ・ネーションのJ・コンラッド・セネカ大統領は金曜日、トランプ大統領に対し、改称を命じる大統領令を撤回するよう求めた。セネカ大統領は声明の中で、「大統領は我々の文化に対する所有権を主張することも、無責任な政治的行動を通じてそれを抹消することもできない」と述べた。
セネカ側は、今回の改称が1794年にジョージ・ワシントン大統領とホーデノショニ連合(イロコイ連邦)との間で結ばれた「カナンダイグア条約」に違反すると指摘している。この条約は、永続的な平和と友好を約束するものだった。セネカ・ネーションは、この連合を構成する6つの国家の一つである。
また、現在使用されている「オンタリオ」という名称は、ヒューロン族の「oniatarí:io(輝く水の湖)」という言葉に由来している。セネカ族の伝統的な言語では、この湖は「sga:nyodai:yoh(美しい湖)」と呼ばれてきた。セネカ大統領は、オンタリオ湖という名称は、米国やカナダという国家が誕生する遥か以前からこの地域の周辺に居住していた先住民を反映するものであるべきだと主張している。
貿易摩擦と大統領令の背景
今回の名称変更は、米国とカナダの間で激化する貿易戦争の一環として浮上した。トランプ大統領は、カナダとの貿易交渉が決裂したことを受け、カナダ製品に対して新たな関税を課す方針を発表している。これに対し、カナダ側も米国製品への報復関税で応じた。

トランプ大統領は今週、内務省に対し、米国の地理的名称サービスにおいて湖の名称を「レイク・アメリカ」へ更新するよう指示する大統領令に署名した。この変更は30日以内に行われる予定である。トランプ大統領は、カナダが貿易や軍事面で米国から不当な利益を得ていると主張しており、カナダを「51番目の州」として吸収すべきだとの持論も展開している。
カナダ政府の反応と国際的影響
カナダのマーク・カーニー首相は、この改称の動きを明確に拒否した。カーニー首相は、湖の名称がカナダ連邦の成立や米国の独立宣言よりも古くから存在し、先住民のルーツを持つものであることを指摘した。
現状では、トランプ大統領がカナダに対して強制的に名称変更を適用させることはできない。カナダの指導者らは、湖の名称を変更するという案そのものを強く非難しており、両国間の対立は深まっている。
セネカ・ネーションは、今回の措置が単なる政治的ツールとして先住民の歴史を軽視するものであると懸念しており、先住民の伝統的な名が反映された「オンタリオ湖」の名称を維持するよう強く訴え続けている。