米ニューヨーク州のコーネル大学で2024年に起きた女子学生への集団レイプ疑惑をめぐり、同州のキャシー・ホークル知事は2日、レティシア・ジェームズ司法長官を特別検察官に任命して捜査を再開させると発表した。
知事が司法長官による捜査再開を発表
米ニューヨーク州のキャシー・ホークル知事は2日の記者会見で、コーネル大学の所在地であるトンプキンス郡の検事による当時の捜査指揮能力について「信頼を失った」と批判した。AFP=時事などの報道によると、ホークル知事は、被害者が自発的に酒や薬物を摂取して酩酊状態になっていた場合にレイプ罪での起訴を難しくする州法の「抜け穴」をふさぐため、州議会と協力して法改正を行う意向を表明した。トンプキンス郡のマット・バンホーテン地区検事長は当初、被害者の証言だけでは同意の欠如を立証できなかったとして起訴を見送っていたが、今週になって男子学生7人を訴追する方針を示している。
訴状が明かす事件当夜の詳細とチャットの記録
CNNの報道によると、被害女性は101ページに及ぶ訴状で、2024年10月19日の夜に男子学生社交クラブ「カイ・ファイ」の会館内で暴行を受けたと主張している。当時20歳だった女性は到着時にすでに泥酔状態であり、メンバーからアルコールを追加された上、ケタミンだと説明された物質を摂取するよう圧力をかけられたと訴えている。午前1時42分ごろには、メンバーの1人がグループチャットに性行為ができることを示唆するメッセージを投稿し、複数のメンバーが部屋に入ってさらなる薬物の摂取を強要したとされる。暴行は午前5時45分ごろまで続いたと訴状は記している。

インターネット上での身元特定と支援の動き
bbc.comの報道によると、裁判書類で「ジェイン・ドウ」と呼ばれる女性の代理人を務めるトマス・ジュフラ弁護士は2日、インターネット上で女性の身元を特定しようとする動きが活発化し、攻撃が相次いでいるため、女性が「精神的に不安定な状態にある」と述べた。政治コメンテーターの1人が女性の匿名性に異議を唱えて正体を暴くと宣言した一方、ソーシャルメディア上では「私がジェイン・ドウです」という動画を投稿して身元を隠そうとする女性たちの連帯の動きも広がっている。また、「インターネット探偵」による調査の影響で、加害者とされる男性と同姓同名の現役米海兵隊軍曹に誤って訴状が送られ、罵詈雑音や脅迫が殺到するなどの人違いも発生している。
大学の対応と当時の警察への供述の食い違い
事件発覚後、コーネル大学は該当する社交クラブを活動停止とし、男子学生7人を停学処分とした後、複数人を退学処分にしている。一方で、地区検事長側は、女性が最初に大学警察へ通報した際の事情聴取では、薬物の投与や意に反する性行為についての申し立てが一切なかったと主張している。これに対し、女性の代理人弁護士は、大学当局への報告内容は今年の訴状と実質的に異なるものではないと反論している。米メディアが入手した大学の懲戒調査記録では、女性が警察の聴取に対して自身が「セックスドール」のようだったと心情を吐露していたことも明らかになっている。

法改正と今後の捜査の行方
全米女性法律センターのエデュケーション・ジャスティス部門シニアディレクターを務めるシワリ・パテル氏はAFPの取材に対し、キャンパス内の性的暴行の大部分に酒や薬物が絡んでいる現実を指摘し、自発的な酩酊をめぐる法規定の影響力の大きさに言及している。ホークル知事が約束した州法の抜け穴をふさぐ法改正の行方や、特別検察官に任命されたレティシア・ジェームズ司法長官の下で進められる捜査が、刑事訴追に向けてどのような判断を導き出すのかが今後の焦点となっている。