アメリカ司法省は1日、NVIDIA製の高性能グラフィックス処理半導体(GPU)を含む総額3億ドル(約470億円)超のコンピューターサーバーを中国へ密輸したとして、カリフォルニア州のテクノロジー企業CEOであるグレッグ・ルイ被告を逮捕・起訴したと発表した。米連邦検察局によれば、被告は虚偽の書類を作成し第三国を経由させる手口で、輸出管理規則に違反したとされる。
総額3億ドル規模のGPU密輸容疑でCEOが起訴
アメリカのカリフォルニア州ロサンゼルスの工業都市シティ・オブ・インダストリーに本拠を置くアースメイド・コンピューター(Earthmade Computer)のCEOを務める38歳のグレッグ・ルイ(別名:ユウ・コン・ルイ)被告が、3億ドル(約470億円)を超えるNVIDIA製GPU搭載サーバーを中国に密輸した疑いで逮捕・起訴されたと、GIGAZINEなどが報じた。米司法省の発表によると、同被告は輸出管理改革法および輸出管理規則違反の共謀罪、国外密輸罪、資金洗浄共謀罪の3つの罪状で起訴されており、すべての罪状で有罪となった場合、最高50年の拘禁刑が科される可能性がある。
スーパーインテリジェンス向け先端半導体の不正輸出
密輸されたコンピューターサーバーには、アメリカのドナルド・トランプ政権が連邦政府内で「人工知能」に代わって表記することを義務づけた「スーパーインテリジェンス(SI)」向けに一般的に用いられる、米国製の画像処理半導体(GPU)が多数搭載されていたという。AFP=時事およびAFPBB Newsの報道では、カリフォルニア州中部地区連邦検察局のビル・エセイリー首席連邦検事補が「米国の国家安全保障を守ることは、当国の先進的なスーパーインテリジェンス技術が敵対国の軍事能力強化に利用されるのを防ぐことを意味する」と述べ、利益のために国家安全保障を脅かす者を厳しく訴追する方針を示したことが伝えられている。
虚偽書類と第三国を経由した複雑な流通経路
起訴状によると、ルイ被告は2023年10月から2024年8月にかけて、米商務省が発行する許可証を取得せずに中国の顧客へ規制対象製品を販売していた。ルイ被告は最終的なエンドユーザーが中国であることを知りながら輸出書類を偽造し、許可証が不要なマレーシアやシンガポールに製品を送り、そこから中国へ違法に再輸出していたとされる。この一連の取引により、アースメイド・コンピューターはマレーシアに拠点を置く2つの企業から1億7600万ドル(約280億円)以上を受け取っていたことが、GIGAZINEの調べで判明している。
関与が指摘される周辺企業と対象となった製品群
今回の密輸事件には、アースメイド・コンピューターのほかにも、シティ・オブ・インダストリーに本拠を置きクラウドサーバーを通じてNVIDIA製GPUへのアクセスを提供していたトプモスト・コープ(Topmost Corp)という企業が関与していたと起訴状に記されている。中国へ違法に輸出されたハードウェアには、NVIDIAのA100 GPU、H100 GPU、GeForce RTX 4090、GeForce RTX 5090 GPUなどが含まれていた。なお、日本国内のAmazon.co.jpではGeForce RTX 4090が1台約36万円、GeForce RTX 5090が1台約110万円で販売されている状況にある。

相次ぐ輸出規制破りと日本経由の密輸ルート
法律による禁止措置にもかかわらず、NVIDIAなどの高性能GPUを中国へ不当に流出させようとする試みは後を絶たない。GIGAZINEの報道によれば、2026年5月には日本経由でNVIDIA製GPUを密輸しようとした3人が台湾当局に逮捕され、同年7月には関連してNVIDIAの社員も逮捕されるなど、国際的なサプライチェーンを通じた闇取引の摘発が相次いでいる。アメリカ当局による今回の厳重な起訴は、先端技術の流出防止に向けた監視の目が一段と厳しさを増している実態を浮き彫りにしている。