エイヴァ・デュヴァネイ監督による新たなドキュメンタリー映画『14th』が、ニューヨーク映画祭で初披露された。前作『13th』から10年、アメリカの民主主義が揺らぐ現代において、本作は合衆国憲法修正第14条を軸に、国家の定義と市民権の在り方を問い直す意欲作となっている。
ニューヨーク映画祭で初披露された「13th」の精神的続編
2016年にNetflixで公開され、人種差別と受刑者増加の構造を鋭く突いたドキュメンタリー映画『13th』から10年を経て、監督のエイヴァ・デュヴァネイが再び合衆国憲法という「 incendiary(扇動的)」な領域に切り込んだ。今作『14th』は、第64回ニューヨーク映画祭のクロージング作品として初上映を迎え、1時間40分にわたり、南北戦争後の政治的混乱の中で制定された修正第14条の意義と、その解釈をめぐる現代の闘争を浮き彫りにした。作品は、FDR、アイゼンハワー、JFK、ニクソン、レーガンら歴代大統領が「憲法を保存、保護、擁護する」と宣誓する映像から始まり、ドナルド・トランプ氏による宣誓の場面へと続く構成をとっている。

フレデリック・ダグラスの警告と再建期の光と影
本作の物語の要となるのは、憲法学者であり、ハワード大学教授、かつNAACP法律防衛基金の元代表を務めたシェリリン・イフィル(Sherrilyn Ifill)だ。イフィルは本作で事実上のナレーターを務め、修正第14条が「アメリカの実験」を再定義する第二の憲法であると説く。映画の中で彼女は、1865年にフレデリック・ダグラスがマサチューセッツ反奴隷制協会で行った演説を引用する。「裏切者の精神」は世代を超えて受け継がれ、「それは1年では終わらない、1つの時代では終わらない」とダグラスは警告した。デュヴァネイはこの言葉を映画の「不気味なリフレイン(繰り返しの旋律)」として採用し、今日私たちが直面している分断が、ダグラスが予言した時代の中に依然として存在していることを突きつける。
映像では、再建期(Reconstruction)における黒人市民の台頭と、それに続くテロ的暴力、ジム・クロウ法による隔離といった歴史的逆風が、アーカイブ写真に動きを加える手法で克明に描かれる。修正第14条の「すべてのおいしい具材が詰まったベーグル(everything bagel)」と形容される複雑な5つの条文は、出生地主義や適正手続き、平等な保護を保証する重要な足場として解説されている。

政界や法曹界の多様な出演者と制作の舞台裏
本作には、ステイシー・エイブラムズ、エリック・フォーナー、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス、ハサン・ペイカー、ジェラニ・コブ、ロンニー・バンチ、デビッド・ブライトといった多彩な論客が登場する。また、共和党側からは元上院議員ジェフ・フレークや、元ジョン・マケイン陣営のシニア顧問スティーブ・シュミットも出演し、民主主義の危機について語っている。一方で、アンナ・パウリナ・ルナ議員のようなMAGA(Make America Great Again)の主張を代弁する人物も登場し、議論の対立構造が可視化されている。
編集を手がけたスペンサー・アヴェリックとデュヴァネイ監督によれば、制作過程は「飛行中の飛行機を組み立てる」ような過酷なものだった。トランプ政権下で出生地主義への攻撃が強まる中、撮影対象は刻々と変化した。デュヴァネイは、この映画はトランプ氏個人の糾弾ではなく、彼が属する長年回転し続けてきた大きな車輪の一部を映し出すものだと語る。また、制作中にはカーラ・ヘイデン(米国議会図書館長)やロンニー・バンチ(スミソニアン協会事務局長)ら、政治的論争に巻き込まれた黒人指導者たちの物語も記録された。

劇場公開と今後の配信スケジュール
Netflixは本作を11月27日に一部の劇場で先行公開し、その後12月4日から全世界でストリーミング配信を開始する。映画は、修正第14条が保証する権利を「都合が悪い」と感じる権力者たちによる無効化の試みに対し、いかに市民が対峙すべきかを問いかける。デュヴァネイは、本作を「エッセイ」と呼び、私たちが経験している激動の時代を芸術的にどう捉えるかを模索したと語っている。