ウクライナ軍の長距離ドローンが、ロシア最大のオンライン小売業者であるWildberries(ワワイルドベリーズ)の主要倉庫を攻撃し、火災により施設が完全に焼失した。タンボフ州の知事エフゲニー・ペルヴィショフ氏は、この物流センターが全焼し、19歳の男性(脳震盪)と49歳の女性(指の骨折)の2人が負傷したと発表した。同施設はモスクワの南東に位置し、ウクライナ国境から数百キロメートル離れている。
Wildberriesへの反復的な攻撃と軍事的な背景
タンボフ州のこの倉庫は、約5週間の間に2度目の攻撃を受けた。前回は7月18日に攻撃され、7人が死亡している。この7月の攻撃が、Amazonに比肩する規模と商業的重要性を持つWildberriesに対するウクライナの航空キャンペーンの始まりとなった。ウクライナ側は、同社が販売する商品の中に、ロシア軍に使用される設備や技術部品が含まれていると主張している。これに対し、Wildberries側は否定している。
ウクライナは、2022年2月のロシアによる侵攻以降に開発した最先端のドローン能力を活用し、ここ数週間でロシア全土にある数十のWildberries施設を攻撃した。ウクライナの目的は、前線から遠く離れて暮らすロシア国民を不安にさせ、ロシア経済に打撃を与えることにあるとしている。
攻撃対象の拡大:ロシア第2位のOzonへ
ウクライナのドローンキャンペーンは、Wildberriesからロシア第2位のオンライン小売業者であるOzon(オゾン)へと拡大している。Ozonは2026年8月24日に自社の倉庫がドローン攻撃を受けたと発表した。直近3日間で攻撃対象となった施設は6カ所に上り、ダゲスタンのマハチカラやクラスノダール郊外のエネムにある物流拠点での攻撃が報告されている。


また、土曜日にはサマラ州のOzon物流センターがドローン攻撃を受け、倉庫内で火災が発生した。OzonはTelegramを通じて、数分以内に500人以上の従業員を避難させたと報告している。この一連の攻撃を受け、月曜日のモスクワ取引所でOzonの株価は約30%急落した。
ワシントンを拠点とするシンクタンク「戦争研究所(ISW)」は、ウクライナ軍が7月中旬からのWildberries集中攻撃から、土曜日以降にOzonの倉庫への攻撃を強化しているとの証拠を確認した。ウクライナ国防省は、軍民両用(デュアルユース)商品を保管するセンターへの組織的な攻撃が、敵の物流を混乱させ、ロシア経済全体に悪影響を与えていると述べている。
経済的影響とロシア政府の対応
こうした執拗な攻撃を受け、ロシアのウラジミール・プーチン大統領は月曜日、民間所有者がウクライナのドローン攻撃から重要インフラ施設を保護しなかった場合、または攻撃後の再建を行わなかった場合、国家が一時的にその管理権を没収できるという政令を出した。分析家らは、この措置が企業に対し、自費でのセキュリティ強化と、コストに関わらず損傷した資産の復旧を強制することを目的としていると指摘している。
その他の攻撃状況
ウクライナは物流センター以外にも、ロシア経済の根幹である石油施設を標的にしている。ウクライナ軍参謀本部は、ニジニ・ノブゴロド州にあるLukoil(ルクオイル)の製油所を夜間に攻撃したと発表した。この施設は年間約1億2,500万バレルの処理能力を持ち、攻撃後に火災が発生した。地元知事のグレブ・ニキチン氏は、詳細を伏せつつも「工業施設」が被害を受けたことを認めた。

一方、ロシア側もウクライナへの攻撃を続けており、弾道ミサイル、巡航ミサイル、滑空爆弾、ジェットドローンなどを使用し、数千人の民間人を殺害している。水曜日には、チェルニヒウ州の住宅地への攻撃で女性と4歳の子供が死亡した。また、ロシア国防省は、15のロシア地域および併合したクリミア半島上空で、一晩に426機のウクライナ軍ドローンを撃墜したと発表した。
ロシアの主要Eコマース企業の経済的規模(昨年末時点)
| 対象企業(上位3社) | Wildberries, Ozon, Yandex Market |
|---|---|
| 合計収益 | 約1,403億ドル |
| ロシアGDPに占める割合 | 5%以上 |