ウクライナ政府の公式サイト「ユナイテッド24」は2026年9月27日、黒海での海戦を一変させた無人攻撃艇部隊「グループ13」創設者のインタビューを公開した。同部隊は水上ドローン「Magura」シリーズを駆使し、ロシア黒海艦隊の艦艇を撃沈・損傷させるなど、海軍力で劣勢なウクライナ軍に一部海域での優位をもたらしている。
無人攻撃艇部隊「グループ13」の起源と名称
グループ13は、2022年秋に最初の水上自爆ドローン「Magura V5」が完成したのと同時に創設された。ウクライナ政府の公式サイト「ユナイテッド24」によると、部隊名は創設者のラッキーナンバーである「13」に由来しており、ロシア側に不吉な印象を与える狙いも込められている。創設当時の状況について、創設者は「装備もなく、人員もなく、まるでパラシュートなしで飛行機から飛び降りるような状況だった」と振り返っている。ロシア軍によるオデーサ上陸の懸念が高まる中、海上戦力の圧倒的な劣勢を補うべく「海上でもドローンは使えないか」という発想が開発の原点となった。
水上ドローン「Magura」がもたらした戦術的優位
同部隊が運用するMaguraシリーズは、黒海においてロシア軍の施設やレーダー、艦艇を標的としている。物理的な撃沈や損傷を与えるだけでなく、損傷を免れた艦艇をも港に釘付けにする効果を生んだ。これにより、巡航ミサイルや長距離自爆ドローンによる攻撃の機会が創出されている。有人の艦艇とは異なり、無人機であるため乗員の人的被害を伴わずに作戦を遂行できる点も大きな特徴だ。また、実戦で得られた知見を即座に開発側へフィードバックし、改良型を次々と投入する迅速なサイクルが、同シリーズの進化を支えている。
対空能力の付与と航空機への攻撃
部隊の戦術は単なる自爆ボートとしての運用に留まらない。2023年5月に情報収集艦「イワン・フルス」を航行不能にした実績を持つ同部隊は、2024年にはさらなる改造を施した。
- 対空能力を持たせるため、AIM-9「サイドワインダー」やR-73空対空ミサイルを搭載。
- 2024年12月には、史上初めてヘリコプター2機を撃墜することに成功。
- その後、戦闘機の撃墜や、上陸後の偵察ドローン発進能力なども付与された。
最新鋭哨戒艦「セルゲイ・コトフ」の撃沈
グループ13の創設者が最も誇りに思っていると明かしたのは、最新鋭哨戒艦「セルゲイ・コトフ」への攻撃作戦である。ウクライナ国防省は同艦の撃沈を発表しており、攻撃を受けて炎上する様子を公開した。この作戦は、水上ドローンが持つ脅威を世界的に知らしめる象徴的な出来事となった。創設者は「その作戦の結末を映像に収めることができただけでも、価値のある作戦だった」と語っており、前例のない戦法が海戦のあり方を大きく変えたことを強調した。
黒海における今後の展開
グループ13による攻撃は、黒海におけるロシア軍の活動を阻害し続けている。実戦での戦訓を迅速に反映する開発体制と、無人機特有の運用上の利点を組み合わせることで、ウクライナ軍は海軍力で圧倒的に劣勢な状況を覆しつつある。今後もMaguraシリーズのさらなる機能拡張や、無人機を活用した戦術の高度化が進むとみられる。前例のないドローン海戦が、黒海周辺の軍事情勢にどのような影響を及ぼし続けるのか、その動向が注目される。