連邦捜査官が10月12日、ミネソタ州選出のイルハン・オマール下院議員のワシントンD.C.の自宅に対して電撃的な家宅捜索を実施した。国土安全保障省(DHS)の調査部門である国土安全保障捜査局(HSI)のエージェントらが早朝6時頃から行ったこの捜索は、司法省が取得した裁判所承認の令状に基づくものであり、現職の連邦下院議員に対する法的措置となった。
ドナルド・トランプ大統領およびその政権高官らは、オマール議員に対する調査について、同議員の家族の移民書類に関連した不正疑惑を標的にしていると示唆している。報道によれば、司法省が取得した捜索令状には虚偽陳述や不正な書類作成などの容疑が挙げられており、連邦当局はオマール議員の市民権を剥奪し最終的に国外退去処分にすることを視野に入れてると伝えられている。オマール議員本人に対しては、これまでに刑事上の容疑で起訴はなされておらず、司法省は具体的な証拠を公表していない。
市民権取得の経緯と浮上した疑問
オマール議員はソマリアで生まれ、内戦を逃れて家族とともにケニアの難民キャンプで過ごした後、1995年に難民として米国に入国した。その後、2000年に17歳で米国籍を取得している。今回の捜査の核心にあるのは、2000年に彼女が市民権を取得した際、父親が彼女の年齢について嘘をついたのではないかという移民詐欺の疑いである。
しかし、こうした疑惑に対して公的な証拠は示されていない。オマール議員の側近や支持者らは、今回の強制捜査を政治的な意図に基づいたものと非難している。
オマール議員の声明によると、「トランプのDHSによる今回の家宅捜索は、権力の常軌を逸した乱用であり、政治的敵対者を標的とするために連邦の法執行機関を武器化する前代未聞のエスカレーションだ」という。
激化する政治闘争と市民権剥奪手続きの現実
オマール議員自身は、今回の動きについて政治的敵対者を標的にし連邦法執行機関を武器化する試みであると批判した。民主党全国委員会(DNC)やワシントン州選出のプラミラ・ジャヤパル下院議員をはじめとする同議員の仲間や同僚たちも、この家宅捜索を理由にした資金集めのメールを送信するなどして彼女を擁護する姿勢を示している。

一方で、トランプ大統領はオマール議員に対して批判を繰り返し、かつてSNS上でも彼女やソマリア出身者を非難する投稿を行ってきた。法曹関係者によれば、一度取得した米国籍を政府が剥奪する基準は本来非常に高いものであるとされるが、今年に入ってからは30年、40年前のファイルをデジタル化し、当時の指紋カードなどを再検証する動きが指摘されている。.
家族への影響と今後の政治日程
捜査の手は本人だけに留まっていない。オマール議員の姉であるサフラ・ヌール氏は、予定していたブックツアーのイベントを、「家族の緊急事態」を理由に欠席した。また、今回の調査に関連して、オマール議員の家族を含む十数名に対して召喚状が発行されている。

連邦捜査官による自宅の家宅捜索や携帯電話、パスポート、コンピューター、ノートブックの押収といった動きは、11月3日の中間選挙までわずか22日と迫った時期に行われた。現時点でオマール議員に対する刑事上の起訴はなされておらず、政権側の調査の行方について注目が集まっている。