パレスチナ自治区ガザ地区での軍事作戦をめぐり国際社会で孤立を深めるイスラエルは、過去の反ユダヤ主義の負の遺産が一部に残る欧州の極右勢力と急速に接近している。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ政権は、同国の振る舞いを批判する外国政治家をユダヤ人憎悪の煽動者とみなす一方、支持を表明する政治家については過去やイデオロギーを問わず受け入れていると、10月2日までの報道で明らかになっている。
フランス極右政党党首をイスラエル閣僚が擁護
フランスの調査報道サイトが9月28日、極右政党「国民連合(RN)」のジョルダン・バルデラ党首が10代の頃にユダヤ人を侮辱するような発言をしたと報じた。これに対し、イスラエルのアミハイ・シクリ・ディアスポラ・反ユダヤ主義闘争相がバルデラ氏を公に擁護する事態に発展している。シクリ氏は、来年のフランス大統領選の世論調査で支持率トップを走るマリーヌ・ルペン氏が勝利した場合に首相就任が有力視されるバルデラ氏について、イスラム組織ハマスに対抗する欧州において最も毅然とした声を上げる人物の一人だと評価した。
音楽フェスティバルの現場訪問と連帯の表明
シクリ氏が明らかにしたところによると、バルデラ氏は2023年10月7日にハマスの襲撃を受けた音楽フェスティバル「スーパーノバ」の現場や、同日に蹂躙されたイスラエル南部のガザ地区との境界周辺のコミュニティーを訪問したという。バルデラ氏は現地でサバイバーらと面会し、エルサレムで反ユダヤ主義と闘う姿勢を訴えたとされる。イスラエル政府はガザでの戦闘を巡る国際的な批判には厳しく反発する姿勢を見せる一方で、こうした現地訪問や支持表明を行う欧州の極右政治家に対しては積極的に評価を与える姿勢を鮮明にしている。
オーストリア極右政党との関係正常化
イスラエルはかつて、極右勢力に対して厳しい外交姿勢をとっていた歴史がある。2000年にオーストリアで元ナチス党員らによって設立された極右政党「自由党」を含む連立政権が発足した際には、駐オーストリア大使を本国に召還し、同国に対する国際的なさらし上げ運動を支持した経緯が存在する。しかし、現在のネタニヤフ政権はその自由党との関係正常化にかじを切っている。
歴史的転換点と称賛される自由党の綱領表明
シクリ氏は今年9月、オーストリア自由党のヘルベルト・キクル党首が政権を獲得した際の政策綱領に反ユダヤ主義および反シオニズムとの闘いを盛り込むと表明したことを受け、これを歴史的転換点だと称賛した。かつては徹底して距離を置いていた欧州の極右政党が掲げる政策や歩み寄りの姿勢を、現在のイスラエル政府は外交上の重要な支持基盤として受け入れる構えを見せている。
孤立回避に向けた欧州極右との連携の行方
ガザ地区での軍事作戦をめぐる国際社会からの批判や孤立が深まる中、イスラエル政府が欧州の極右政治家や政党との関係強化をどこまで推し進めるのかが注目されている。批判的な外国政府や政治家に対する強硬な姿勢と、自国を支持する極右勢力への接近というネタニヤフ政権の選択は、今後の国際的な外交関係において新たな論点となりつつある。