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2024-03-22 08:30:00
どちらも噂に違わぬ期待を秘めたファンドと言えよう。
チャポンタ/シャッターストック
- eMAXIS Slimシリーズの全世界株式(オール・カントリー)と米国株式(S&P500)が1月の資金流入ランキングでワンツーフィニッシュを決めた。
- いわゆるオルカンやS&P500をタイトルに掲げたインデックスファンドはほかにも山ほどあるなか、なぜこの2本が人気なのか?
- その理由を紐解き、この2本と相性が良い人・悪い人を考察してみた。
三菱UFJアセットマネジメントが運用する、eMAXIS Slimシリーズの全世界株式(オール・カントリー)と米国株式(S&P500)が大人気だ。
日興リサーチセンターの調べによると、新NISAが始まった1月だけの資金流入でeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)[以下、eMAXIS Slimオルカン]は約3439億円、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)[以下、eMAXIS Slim S&P500]は約2090億円に及ぶという。そのうえで、同月の資金流入ランキングでワンツーフィニッシュを決めた。
ちなみにその月におけるファンド全体の資金流入額は1兆2950億円。つまり、eMAXIS Slimの2本だけでその42%も占めていることになる。この2強体制は、2月になっても変わらない。
しかし、とりあえず新NISAを始めたからあまり深く考えずにこの2本を購入している人も多いのではないか? そこで本記事では、eMAXIS Slimの全世界株式と米国株式について最低限知っておきたいことをまとめた。
eMAXIS Slim人気の4つの理由
まずそもそものeMAXIS Slimシリーズがなぜ人気なのか? その理由を紐解いておこう。
いわゆるオルカンやS&P500をタイトルに掲げたインデックスファンドは、ほかにも山ほどある。なのになぜeMAXIS Slimシリーズだけ、これほどの人気を博しているのか? 理由は4つある。
業界最低水準の運用コスト: eMAXIS Slimシリーズは、業界最低水準の運用コストを目指す旨を標榜しているファンドだ。数多くあるファンドの中でも、この点を正面からPRしているものは少ないうえに、有言実行している点が投資家から評価されている。ちなみに、ザイ・オンラインによると eMAXIS Slimオルカンの手数料は0.05763%で2番目に安い。新NISAナビのランキングでは、S&P500のファンドに絞ると、eMAXIS Slim S&P500の手数料は0.09372%で6番目の安さになる。
国内最大規模の純資産総額:そして、運用会社である三菱UFJアセットマネジメント(旧三菱UFJ国際投信)の信頼度の高さも注目したい。その純資産総額は13兆5881億円で国内首位。2番手の野村アセットマネジメントの11兆8637兆円から2兆円近くの差をつけた。純資産総額が大きければ、それだけ十分な分散投資効果を得られると言われている。つまり、より安定的に利益を拡大しやすく、大きく下落しづらい状況を作れているのだ。
SNSでの情報発信にも積極的:また、運用会社として積極的に情報発信している点も特徴的だ。さまざまなSNSを駆使して情報発信しているうえに、月例報告でもこれらSNSアカウントを紹介している。
インフルエンサーたちの後押し: 最後にその手数料の安さから、インフルエンサーたちが積極的に当該ファンドを推奨していることも人気の要因の1つといえる。実際、「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2023」で、eMAXIS Slimオルカンは1位に、eMAXIS Slim S&P500は3位に選ばれている。また、世間一般が投資の情報へ気軽にアクセスできるのは、SNSなどのネット情報が中心だろう。これらは、ネットワーク効果が働きやすいため、投資に関心のある人の間で、eMAXIS Slimの魅力が広く浸透したと推察できる。
それぞれのメリット・デメリット
さてここからが本題だ。eMAXIS Slimシリーズを理解してもらったうえで、eMAXIS SlimオルカンとeMAXIS Slim S&P500のメリット・デメリットを掘り下げていこう。
というのも、売れていることと、個々人が持つべきファンドであることは、話が別だ。あくまで自分自身にとって保有するべきファンドかどうか見極める必要がある。その意味で、まずは以下の比較表を御覧いただきたい。
| メリット | デメリット | |
|---|---|---|
| eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) | ・銘柄に加え、投資地域の両面で分散投資することで、価格変動リスクを抑えやすい。
・アメリカや他の先進国に加え、これから経済成長する新興国などの成長も取り込んで資産運用できる。 |
・投資地域の分散がされているとはいえ、60%は米国に集中している。
・特定の地域の好景気がファンドの運用成績に反映しづらい。 |
| eMAXIS Slim米国株式(S&P500) | ・米国が世界経済の中心でいるメリットを全面的に享受できる。
・米国は先進国ながら人口も増え続けているので、今後の経済成長も期待できる。 |
・投資地域の分散ができていないため、相対的に価格変動リスクが大きい。
・世界経済の中心がアメリカではなくなった場合のリスクヘッジが効かない。 |
※メリットおよびデメリットの内容は、表内のもう一方のファンドと比較した上でのメリットおよびデメリットを指す。
結局、2つのファンドはよく似ている
こうしてそれぞれのメリット・デメリットを並べるとよく分かるが、実はこの2つにそれほど大きな差があるわけではない。なぜならeMAXIS Slimオルカンの約60%は米国株式が占めているからだ(ちなみに、S&P500は米国の株価指数なので、自然米国株式が100%となる)。
そのため結局値動きはどちらもほぼ同じになる。ただ、その幅がeMAXIS Slimオルカンのほうが少し小さく、eMAXIS Slim S&P500のほうが少し大きくなる程度のものだ。
どちらを選ぶべきかの判断基準は、米国の未来を100%信じられるかどうか? の1点に尽きる。100%信じられるならeMAXIS Slim S&P500を選ぶべきだし、少しでも疑義を感じるようなら、安心をとってeMAXIS Slimオルカンを選ぶと良い。
だが、仮にeMAXIS Slimオルカンを選んでも、リセッション(暴落)が起きた場合、eMAXIS Slim S&P500と同じように下落する。その下落幅が少し小さくなるだけだ。一方、その逆の作用が働いた場合も、同じような結果になる。
この2つのファンドと相性の良い人
以上の状況を踏まえたうえで、この2つのファンドと相性が良い人・相性が悪い人について考察を深めていこう。まず、相性が良い人は以下のように考えられる。
低コストで運用したい人:投資信託を積み立てて長期投資するなら、信託報酬のパーセンテージは一番初めに確認したい数字の一つだ。0.1%の違いでも長く運用すれば大きな差がつく。eMAXIS Slimシリーズの低コストぶりは折り紙付きだ。 無駄なお金をかけずに運用できる1本と言えるかもしれない。
気苦労少なく運用したい人:eMAXIS Slimシリーズは、国内随一の純資産総額を誇る。そのためしっかりと幅広く、さまざまな地域および銘柄に投資できるので、分散投資効果も大きい。 価格変動のリスクを極力抑えつつ、少しずつでも着実に利益を積み上げることに対する期待値は高いと言えそうだ。
成長性を重視したい人:eMAXIS Slimオルカンなら約60%、eMAXIS Slim S&P500なら100%を米国株式に投資することになる。それを牽引しているのが、GAFAMに加え、テスラやエヌビディアなどのビックテック企業だ。また、米国は先進国の中では数少ない、人口が増加している国。経済成長に人口増加は欠かせない要素なので、今後の成長性も大いに期待できる。
この2つのファンドと相性が悪い人
次にこの2つのファンドと相性が悪い人について考えていく。それは次のような人々だ。
米国の成長性に疑いを持っている人:覇権国家といっても、その内情をつぶさに観察するとほころびも実に多い。市民の経済格差は鮮烈になり、思想の分断も進んでいる。米ドルの基軸通貨という地位もいまや危うくなってきた。そんななか60%や100%という比率で同国を大黒柱にしていいのか? そう考える人は他の特定地域に分散投資できるファンドや、債券や不動産など異なる資産クラスに分散投資できるファンドもポートフォリオに加えるといいだろう。
もっと大きなリターンを得たい人:この2本では、まだまだリターンが小さいと捉える人もいるかもしれない。インデックスファンドは、それぞれが追随する株式指数(eMAXIS Slimオルカンの場合は「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス」、eMAXIS Slim S&P500の場合は「スタンダード・アンド・プアーズ500種指数」)を上回る結果を残せない宿命を持つからだ。そういう人は、有望な新興国へ集中投資するファンドや、中小規模のグロース株に投資するという選択肢も出てくる。ただしその場合は、リスクも増えるという点だけは理解しておきたい。
まとめ
低コストで運用でき幅広く分散投資できる、eMAXIS SlimオルカンやeMAXIS Slim S&P500は噂に違わぬ期待を秘めたファンドと言えるだろう。
しかし多かれ少なかれ、どちらも米国株式に頼り切りな印象も拭えない。そう考える人はポートフォリオにおけるeMAXIS SlimオルカンやeMAXIS Slim S&P500の比率を下げて、より新しい可能性に資金を振り分けるという判断も有りだろう。
なんにせよ、あくまで購入する基準は自分の投資目的による。運用するファンドを選ぶ際は、人気に左右されずにファンドの商品性およびリスク・リターンを加味して、周囲に影響されずに選択して欲しい。
※本記事は取材対象者の知識と経験に基づいて投資の選定ポイントをまとめたものですが、事例として取り上げたいかなる金融商品の売買をも勧めるものではありません。本記事に記載した情報や意見によって読者に発生した損害や損失については、筆者、発行媒体は一切責任を負いません。投資における最終決定はご自身の判断で行ってください。
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