大雨と湿度上昇が引き起こす火災報知機の誤作動
火災報知機は主に煙、熱、炎を感知して作動する仕組みになっている。日本火災報知機工業会によると、煙式は内部に煙が入ると乱反射や電気回路のショートを起こすことがある。大雨による急激な湿度上昇で結露が生じることが主な原因とされる。熱式についても、総務省消防庁によれば雨天時に誤作動を起こす事例が確認されている。感知器の交換時期は十年から十五年とされており、放置された機器は経年劣化によってわずかな環境の変化にも反応しやすくなる。
大阪市と名古屋市で相次いだ一斉通報の実態
九月八日から九日にかけての降雨により、各地の消防機関へ通報が殺到した。大阪市消防局では、非常ベルが鳴っているという一一九番通報のうち、誤作動によるものが六十七件に上った。平時は一日二十件前後のところ、大幅な急増となった。同日中に冠水被害が生じた名古屋市でも、誤作動による通報が五十四件記録された。両市ともに消防隊が現地へ急行し、火の気の有無を確認する作業に追われた。
災害対応の現場を圧迫する相次ぎ発生する出動要請
八月十三日から十四日にかけて豪雨に見舞われた千葉市では、水没した車からの救助や道路での転倒事故の対応など、総出動件数が二百件を超えた。そのうち誤作動による出動は三十二件を占めた。千葉市消防局警防課の担当者は、限られた人手を割かれたことで大きな負担となったと振り返る。平時は十件未満である誤作動の出動が災害時に重なることで、本来の救助活動への支障が懸念されている。
住宅用火災警報器に見る経年劣化と定期点検の課題
戸建てや小規模な住宅向けの住宅用火災警報器では、誤作動による通報は少ないとみられるが、別の課題が浮き彫りになっている。改正消防法により二〇一一年までに全戸設置が義務づけられたが、定期点検の義務はない。総務省消防庁が今年六月に実施した全国調査では、設置から十年を超えて使用されている割合が三十五%に達した。故障や電池切れによる作動不良のリスクを抱える住宅が多く存在している。
管理者の負担軽減と迅速なメンテナンスの必要性
総務省消防庁は、誤作動が起きれば非常時の消防体制に直結して影響を及ぼすと指摘する。ビルやマンションの管理者は夜間であっても立ち会いを求められるなど負担が大きく、同庁はこまめなメンテナンスや故障時の素早い交換を呼びかけている。水蒸気を検知しにくい構造の感知器や、遠隔で正常作動を確認できる機器の開発も進められており、今後は設備の適切な管理体制の構築が重要となる。