アメリカによる高関税措置とメキシコ・中国製品への新たな発動を受け、カナダのマーク・カルニー首相は米国製品に対する約200億ドル規模の報復関税を発表しました。長年の同盟関係における貿易摩擦が激化する中、専門家らは妥協の余地を探る動きも指摘しています。
安全保障上の緊急事態を理由とした米国の関税発動と各国の反発
ホワイトハウスが発表した事実説明書および大統領令では、これらの関税措置について、不法移民や致死性の高いフェンタニルを含む危険な薬物の流入がもたらす緊急事態への対抗措置であると説明されています。ホワイトハウスが公表した声明によれば、当局は「この試練は私たちの社会の基盤を脅かしている」と主張し、カナダが不法薬物の流入を阻止するための法執行機関の連携や資源投入を怠ってきたと非難しました。
ホワイトハウスは、この課題が社会の基盤を脅かしており、ギャングのメンバーや密輸業者、人身売買業者、そしてあらゆる種類の不法薬物が国境を越えて地域社会に流入していると述べています。ホワイトハウス、Fox News経由の大統領令
カナダによる200億ドル規模の報復とオンタリオ州首相の強硬姿勢
米国による一部のカナダ製品に対する50%の追加関税に対し、カナダのマーク・カルニー首相は米国製品に対する同規模の報復措置に出ました。対象には鉄鋼、乳製品、家電製品、農機具など、約200億ドル規模のアメリカからの輸入品が含まれています。
昨年政権に就任したカルニー首相は、米国の圧力に屈しない姿勢を掲げており、週末の演説では「あなたは攻撃を受けたときが戦争状態にあるときだ。我々は攻撃を受けた」と強い表現で米国を批判しました。さらに、オンタリオ州のダグ・フォード州首相もアメリカ向け電力や重要鉱物の輸出しゅっかを停止する方向でのさらなる強硬姿勢を示すなど、国内での対米抗戦姿勢は政治的な求心力となっています。
多層化する米加間の貿易摩擦と背景にある制度
さらに、米国は通商拡大法第232条などの規定を適用し、鉄鋼・アルミニウムや自動車、半製品の銅、特定の家具製品に対しても高い関税を課してきました。米最高裁判所がフェンタニル関連の従来の関税制を違憲と判断したことを受け、トランプ大統領は通商法第122条に基づく一時的な一律関税を新たに導入するなど、法的枠組みを交錯させながら圧力を強めています。

専門家が指摘する妥協点と今後の見通し
全面的な貿易戦争への懸念が強まる一方で、専門家の間では最終的な妥協点が見出されるとの見方も根強く存在します。ジョンズ・ホプキンス大学の米加研究センターを率いるクリストファー・サンズ氏は、カナダと米国の通商交渉は常に険悪化しがちであるものの、「誰かが交渉のテーブルから立ち去るまでは現実味がない」と分析し、過度なパニックに警鐘を鳴らしています。
カナダ側の報復関税の発動予定時期や、米国の自動車関連の追加関税が11月の中間選挙後に設定されている点などから、交渉の余地や冷却期間はまだ残されています。強硬なレトリックが飛び交う中、双方がいかにして妥協の糸口を見つけるのか、今後の水面下の折衝に注目が集まっています。