演習の縮小を主導したのはドナルド・トランプ米大統領である。トランプ氏は演習が始まる直前の月曜日、国防総省に対し演習を実質的に縮小するよう突然の指示を出した。その理由として、北朝鮮の金正恩総書記との良好な関係を挙げるとともに、イランとの戦争において韓国が支持を拒否したことへの不満も漏らしていた。
米韓合同軍事演習の異例の早期終了とトランプ大統領の指示
韓国軍の発表によると、今回の指揮統制演習は2つのフェーズで11日間にわたり実施される予定だった。前半は金曜日まで防衛作戦をシミュレーションし、後半は8月27日まで反攻作戦を行う計画であったが、北朝鮮が後半のフェーズに極めて敏感に反応することから、日程が大幅に短縮された。また、計画されていた14件の合同野外機動訓練についても、半数に削減することで米韓双方が合意したと伝えられている。
北朝鮮の冷淡な反応と相次ぐミサイル発射
米国の歩み寄りに対し、北朝鮮側は冷淡な姿勢を示している。北朝鮮の金正恩氏の有力な実妹である金与正氏は水曜日、トランプ氏の懐柔策を一蹴し、演習の期間や規模を縮小したところでその挑発的で攻撃的な本質が変わるわけではないと非難した。

その翌日、北朝鮮は海に向けて約10発の短距離弾道ミサイルを発射した。報道によれば、これは米韓演習を侵略の予行演習と見なす北朝鮮が、従来から予告していた対抗措置を実際に実行に移した形となる。米インド太平洋軍は、今回のミサイル発射について米国本土や同盟国に対する差し迫った脅威にはならないとの認識を示しつつ、同盟国防衛への強いコミットメントを強調した。

「挑発的で攻撃的な本質」 金与正、北朝鮮労働党副部長(AP通信などの報道に基づく)
金与正氏のこの声明は、2019年の核外交決裂以降停滞している米朝対話の早期再開に対する期待に冷や水を浴びせるものとなった。専門家からは、個人的な信頼関係だけで現在の米朝関係が動くわけではないという見方が示されており、北朝鮮側は米国側の譲歩、すなわち核保有国としての国際的な承認や広範な制裁解除を引き出すための戦略的な駆け引きを続けている。
イランを巡る摩擦と同盟関係への波紋
今回の米韓演習の急転直下の縮小には、朝鮮半島情勢以外の要因も深く絡んでいる。『ジ・アトランティック』誌の分析によると、トランプ大統領が韓国側の軍事演習に手を加えた背景には、イランとの紛争をめぐる韓国の姿勢への不満がある。トランプ氏は、イランの非核化に向けた取り組みへの参加を韓国側に打診したものの、韓国側から断られた経緯に言及している。
こうした中で米国の指導部が同盟国の防衛協力を独自の政治的思惑や他地域での摩擦と結びつけて判断を下す姿勢は、今後の地域防衛の態勢や同盟国の信頼関係に深刻な懸念を生じさせている。米韓両軍の即応態勢への影響が懸念される中、今後の動向が注視されている。