マサチューセッツ州のプリマス高等裁判所で、3人の子供を殺害した罪に問われているリンジー・クランシー被告(35)の裁判が、2026年8月10日月曜日に10日目を迎えました。この日は、被告が2022年9月から受診していた精神科医ジェニファー・タフツ(Jennifer Tufts)氏への反対尋問が行われました。
クランシー被告は、2023年1月24日にダクスベリーの自宅で、5歳のコーラちゃん、3歳のドーソンちゃん、そして生後8か月のカランちゃんの3人を絞殺したとして、第一級殺人罪に問われています。検察側は、被告が自身の行動を認識していたと主張し、殺害後に自殺未遂を装った可能性を指摘しています。一方、弁護側のケビン・レディントン(Kevin Reddington)氏は、被告が極度の産後精神病に陥っており、処方された薬の過剰投与が状態を悪化させたと主張しています。
処方薬による影響と精神状態の議論
反対尋問において、レディントン弁護士は、タフツ医師が処方したアミトリプチリン(Amitriptyline)の投与量について追及しました。タフツ医師は、抑うつ状態を軽減して被告の気分を改善させるため、徐々に投与量を調整したと証言しました。これに対し、レディントン氏は、その投薬が被告を限界まで追い込んだ(pushed her over the edge)のではないかと問いかけましたが、タフツ医師はそうは思わないと答えました。
タフツ医師が提示した記録によると、被告は投薬量の増加に伴い、不眠症が悪化しひどい気分だったと述べていたほか、一日中泣き続け、精神的な霧(mental fog)を感じ、新しいことを始めることに恐怖心を抱いていたことが明らかになりました。また、記録には「薬を服用する前から不安感が非常に強かった。夜間は思考が止まらず、自殺念慮を持つことや悪いことが起きることを恐れ、一人でいたくない」という内容が記されており、タフツ医師はこの時点で患者に問題があることを懸念していたと認めました。
専門性と診断への疑義
弁護側は、タフツ医師の専門性と診断の妥当性について厳しく追及しました。タフツ医師は、2022年9月から事件前日まで計14回の診察を行っており、被告の診断を「全般性不安障害」および「抑うつ気分を伴う適応障害」とし、精神病的な特徴は全く見られなかったと証言しています。

しかし、レディントン弁護士は以下の点についてタフツ医師を問い質しました:
- 専門経験の不足: タフツ医師はウェブサイトの経歴で産後うつ病や産後精神医学の専門家であると宣伝していたが、実際の経験はレジデント期間中の1か月に過ぎないと弁護側は指摘しました。
- 希少疾患への知見: 産後精神病の治療経験について問われたタフツ医師は、それは非常に稀な疾患であるため、クランシー被告を治療する前の1か月間に治療した患者はいないと思うと答えました。
- 投薬の変動: 弁護側は、被告が精神状態を安定させるために少なくとも10種類の異なる精神科薬を試していたことを強調し、このような激しい投薬変更が行われていた患者を、単なる全般性不安障害として分類できるのかと追及しました。
自殺予防策と最終診察の空白
反対尋問では、被告が求めていた助けが適切に提供されていたかについても焦点が当てられました。レディントン弁護士は、タフツ医師が被告に自殺予防ホットラインへの電話について尋ねたことがあるかを確認しましたが、医師はそのような質問をした記憶はないと答えました。弁護側が、被告が2度ホットラインに電話したが拒絶されたという事実を提示すると、タフツ医師は驚いたと述べました。
さらに、タフツ医師が事件発生のわずか数時間前に被告を診察していた点についても、訓練を受けた精神科医が、壊滅的な暴力行為に及ぶ直前の状態にある女性をなぜ検知できなかったのかという点について、弁護側から厳しい追及を受けました。
この裁判の結果、陪審員が弁護側の主張を認め、被告に重大な精神的欠陥があり刑事責任能力がなかったと判断した場合、被告は州の精神科施設に無期限に収容されることになります。詳細はCbsnewsやWJARなどで報じられています。