2026年7月22日にマディソンで発生した警察官によるコーリー・ルイス氏射殺事件に関し、ウィスコンシン州司法省は同年8月10日、発砲した警察官の身元をキエル・ベイティンガー=ピーターソン氏と公表しました。同氏を含む現場の警察官4人は有給の行政休暇を取得し、捜査が進められています。
ウィスコンシン州司法省が公表した発砲警官の経歴と対応
ウィスコンシン州司法省(DOJ)の犯罪捜査局(DCI)が月曜日に公表したところによると、白人警官であるキエル・ベイティンガー=ピーターソン氏は、10年10か月の法執行機関での勤務経験(AP通信の報道では「11年近い法執行経験」とも表現)を有しています。警察の代理店方針に基づき、事件に関与した4人の警察官はすべて有給の行政休暇に置かれています。
7月22日の事件発生から現場での衝突までの経緯
警察側の説明および関連報道によれば、事件はマディソン市内のボールドウィン通りとウィリアムソン通りの交差点付近で発生しました。マディソン警察署のジョン・パターソン署長が明らかにしたところでは、警察官らは自転車の窃盗および駐車中の車のドアを確認して回る不審な男に関する通報を受けて現場へ急行しました。当時、38歳の黒人男性であったコーリー・ルイス氏は無宿者(ホームレス)であり、現場には自転車に乗った状態で現れました。
警察の発表によると、ルイス氏は当初自転車に乗ってその場を走り去ろうとしたものの、後に再び遭遇した際に「自転車から転落するか、あるいは引きずり降ろされた」状態となりました。交差点の真ん中で乱闘が発生し、警察側は同氏がナイフを取り出して警官に負傷させたと主張しています。ウィスコンシン州司法省の発表では, 警官2人がルイス氏に対してテーザー銃(Taser)の使用を試みたものの成功せず、負傷したベイティンガー=ピーターソン氏が発砲に至ったとされています。法執行機関は現場で回収された固定刃のナイフの画像を公開した一方で、警官が負傷した程度については明らかにしていません。
銃撃を受けたルイス氏は病院に搬送されたものの、その後死亡が確認されました。州司法省による捜査は現在も継続中であり、捜査がいつ結了するかについてのタイムラインは示されていません。捜査結果が出た後、デーン郡のイスマエル・オザンヌ地方検事(Ismael Ozanne)が調査結果をレビューし、ベイティンガー=ピーターソン氏を起訴するかどうかを判断することになります。
警察組合の反応と今後の刑事司法手続き
ウィスコンシン州最大の警察組合でありマディソン市警の警官も代表する「ウィスコンシン・プロフェッショナル警察協会(Wisconsin Professional Police Association)」の事務局長であるジム・パーマー氏(Jim Palmer)は、ベイティンガー=ピーターソン氏の代理として次のようなコメントを寄せました。
パーマー氏は、ベイティンガー=ピーターソン氏と同氏の家族、および関与した他の警察官の安全とプライバシーについて深い懸念を表明しました。また、それらの懸念は真摯に受け止められており、適切な予防措置が講じられていると述べました。
パーマー氏はさらに、関係者の安全を守るために適切な予防措置が講じられていると言い添え、次のように訴えています。
パーマー氏は、捜査が適切に進むようにすることを求めるとともに、警察官への予断を避け、彼らやその家族をさらなる危険にさらさないよう、すべての人に強く要請しました。
一方、ルイス氏の家族を代理する民権弁護士のベン・クランプ氏(Ben Crump)は、当該警察官の起訴を求めています。
ボディカメラ未装着の議論と市民社会の反響
この事件は、マディソン市民の間で人種的正義や警察による権力行使のあり方に対する激しい議論を呼び起こしました。ガーディアン紙の報道によると、マディソン警察署の警察官は現場でボディカメラを装着していませんでした。全米の警察の80%以上でボディカメラの着用が標準化されている中での未装着という事実は、事件がオンライン上で拡散したのち、市民や各界から厳しい疑問を投げかけられる要因となりました。

マディソンのサトヤ・ローズ=コンウェイ市長(Satya Rhodes-Conway)は、以前から予算上の理由や導入見送りによって進んでいなかったボディカメラの導入について、次の市予算案にそのための資金を盛り込む方針を明らかにしています。ルイス氏の家族も市内におけるボディカメラの義務化および関与した警察官4人の起訴を求めており、警察署長を含む幅広い関係者からカメラ導入を求める声があがっています。