ポートランド・トレイルブレイザーズのオーナー、トム・ダンドン氏がモダ・センターの改修を巡り、最大5億7500万ドルの公的資金を要求し、拒否されれば移転も辞さない構えを見せている。市議会との対立は深まり、交渉期限である8月12日の投票に向け、チームの将来と地元への定着が危ぶまれる事態となっている。
モダ・センター改修を巡る5億7500万ドルの対立
ポートランド・トレイルブレイザーズの新たなオーナーであるトム・ダンドン氏率いる「リップ・シティ・ライジング」投資グループは、本拠地モダ・センターの改修費用として、最大6億ドル規模のプロジェクトに対する全面的な公的資金投入を求めている。この要求には、オレゴン州議会が既に承認した3億6500万ドルの州債に加え、ポートランド市とマルトノマ郡が追加で2億3500万ドルを拠出することが条件として含まれている。合計で5億7500万ドルの公的資金負担を市側に求めており、これが実現しなければチームの移転も選択肢に含まれるという強硬な姿勢を崩していない。
市議会との間では、2030年に期限を迎える現行のリース契約を20年更新するための交渉が行われているが、その道のりは極めて険しい。市議会議長のジェイミー・ダンフィー氏は、ブレイザーズ側が情報を隠蔽し、交渉の時間を意図的に引き延ばしていると非難している。一方で、チーム社長のドウェイン・ハンキンス氏は、メディアを通じた批判の応酬は建設的ではないと反論し、議論の膠着状態を打開しようと模索している。
「ファーストクラス」条項を巡る法廷闘争の火種
交渉を停滞させている最大の要因の一つが、1995年から続くリース契約に含まれる「ファーストクラス(一流)」条件の解釈だ。ブレイザーズ側は、アリーナを「ファーストクラスの状態で維持している」と法的に確認させることを、交渉を進めるための重要な第一歩と位置づけている。広報担当のチャールズ・ボイル氏は、市に対して「ファーストクラスの状態を維持するためのチームの努力を認めることで、訴訟の可能性を排除してほしい」と求めた。
しかし、市側はこの要求に慎重だ。もし市がアリーナを「ファーストクラス」と認めてしまえば、将来的な改修コストを市が負担する根拠を失う恐れがあるからだ。市議会議員のスティーブ・ノビック氏は、過去の会議でブレイザーズを訴える可能性に触れ、チーム側を強く警戒させた。一部の報道によれば、市側は「もしアリーナが既にファーストクラスなら、6億ドルもの改修費は不要ではないか」という矛盾を指摘している。
ダンドン氏のコスト削減策とファン・スタッフの反発
「我々は長年にわたり、受賞歴のある放送に貢献してくれたすべての勤勉な個人に深く感謝している。個別の人事決定についてコメントすることはできないが、放送業界の変化に合わせて効率化を図るため、来シーズンに向けて変更を加えていることは認めます」

チャールズ・ボイル、ブレイザーズ広報担当
今後の見通しと8月12日の投票
8月12日に予定されている市議会の投票に向け、事態は最終局面を迎えつつある。市はチームの残留を望んでいるものの、5億7500万ドルという巨額の公的資金投入に対する市民の理解を得ることは容易ではない。ダンドン氏が移転先としてナッシュビルやオースティンといった都市を検討している可能性も囁かれる中、ポートランドのファンは、1970年から続くブレイザーズの歴史が存続の危機にあるという冷徹な現実に直面している。
交渉を巡る現在の状況は以下の通りである。
- 交渉の焦点: 20年間のリース契約および5億7500万ドルの公的資金拠出。
- 対立点: アリーナの「ファーストクラス」状態維持に関する法的解釈。
- 次のマイルストーン: 8月12日の市議会における投票。
- チームの現状: 放送部門の縮小やスタッフの削減など、ダンドン氏によるコスト削減が進行中。
8月12日の市議会投票の結果はポートランド・トレイルブレイザーズの将来を決定する可能性が高く、肯定的な結果はチームの歴史を維持し、否定的な結果はその存続を脅かすことになる。