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「最強」の巨大SaaS企業2社のAI戦略:Salesforceの“最大の脅威”がマイクロソフトである理由 | Business Insider Japan

アドビのシャンタヌ・ナラヤン会長兼CEO(上)と、セールスフォースのマーク・ベニオフ会長兼CEO。2人合わせて、時価総額3600億ドルもの巨大SaaSビジネスを作り上げた著名経営者だ。Business Insider Japan前編の記事「『AIがSaaSを殺す』の大きな誤解」に引き続き、この記事ではセールスフォースとアドビがAI大手に立ち向かう「無力化戦略」を取り上げます。「AIがSaaSを殺す(AI kill SaaS)」という言葉が、まるで決定事項のように語られていますが、それは本質を見誤った短絡的な煽り文句だ、という話を前回しました。私の見立てでは、AIはSaaSを殺しません。ただし、AIによってSaaSは「溶融」し、バラバラに解体していくでしょう。では、溶けたSaaSはどんな「コンテキスト」を核に「再結晶化」するのか。実は、トップのSaaS企業では既にその実例が出てきています。セールスフォースとアドビは自ら「SaaSを分解」してきたIT批評家の尾原和啓氏。オンラインで収録した。著者提供この動きを最も象徴しているのが、セールスフォースとアドビの最新の発表です。セールスフォースの「Agentforce 360」アドビの「AI Agents」と「Brand Concierge」彼らは、もはや「SaaSのUI」だけで競争していません。彼らは自らUIを捨て、AIエージェントに業務を実行させる「ワークフローの極北」にしています。「AIがSaaSを殺す」の大きな誤解。アドビ、セールスフォースの取材で見えた「SaaS業界6つの軸の覇権争い」 | Business Insider Japan彼らが汎用AGI(OpenAIやグーグル)に勝てると信じる根拠。それこそが「プライベートコンテキストの極北」です。セールスフォースの「Data Cloud」 = 「顧客データ」という最強のコンテキストの要塞。アドビの「AI Foundry」 = 「ブランドアセットと顧客体験データ」という最強のコンテキストの要塞。「汎用AIは、我々の持つプライベートコンテキストなしにビジネス価値を生まない」と、彼らは考えているのではないでしょうか。この再結晶化をめぐって、テック業界は新たな競争に入ると考えられます。これは私の造語ですが、コンテキストには、B2B市場の巨大プレーヤーのような「重いコンテキスト」と、B2C/C2Cサービスのような「軽いコンテキスト」があります。それぞれ企業名を挙げつつ、2つの覇権争いの視点で解説します。(1)B2Bの覇権:セールスフォース vs. マイクロソフト/HubSpot(CRM)セールスフォースは「顧客データ(CRM)」という、「重いコンテキスト」を握っています。しかし、ここには最強の巨人がいます。セールスフォースCEOが「企業のAIは個人向けより遅れている」と訴えたワケ。年次イベントで見た新戦略 | Business Insider Japanライバル:マイクロソフト(最強の業務コンテキスト覇者)マイクロソフトの戦略は、「Dynamics 365(CRM)」と「Microsoft 365(Teams, Outlook)」という2大コンテキストを「Copilot」で融合させる、最強の垂直統合です。 ライバル:HubSpot(SMB・使いやすさ)HubSpotは、中小企業(SMB)向けの「使いやすいコラボレーション・コンテキスト」をAIで固めています。セールスフォースの危機と活路:セールスフォースの最大の脅威はマイクロソフトではないでしょうか。セールスフォースが「CRMデータ(結果)」しか持たないのに対し、マイクロソフトは「日々の業務(メール、会議、チャット)」という、より膨大でリアルタイムな「コラボレーション・コンテキスト」を握っています。AIの賢さにおいて、「コンテキストの量」で負ける可能性があるのです。セールスフォースの活路は、マイクロソフトの物量に負ける前に、「Agentforce 360」で顧客をロックインし、「CRM特化AI」としての専門性で逃げ切ることにあるように見えます。マイクロソフトとセールスフォースの強み比較。著者提供マイクロソフトとHubSpotの戦略の共通性を整理。著者提供(2)B2Cの覇権:モバイル動画市場アドビは、B2Bとは全く異なるもう一つの戦線を開きました。それがB2C/C2Cのモバイル動画市場という「軽い」コンテキストです。アドビとTikTok、Soraはモバイル動画の分野で静かな覇権争いを始めている。著者提供B2Cはモバイル動画が主戦場の1つでしょう。UGC(ユーザー生成コンテンツ)がトレンドを作っていきます。この「軽いコンテキスト」では、ライフスタイルや悩みの解決ではなく、トレンドの増幅、二次創作の連鎖にうまく組み込まれることが大切です。そういう意味ではCapCutをTikTokが持っているのは非常に強いところです。アドビとYouTubeの戦略提携。副社長が語った言葉に「グーグルの裏の戦略」が見えた【尾原和啓の深堀り】 | Business Insider JapanOpenAIのSoraはおそらく、この構造を理解していて、だからこそ「Remixボタン」がある。動画の顔を変えて、猫を増やして、などテイストメイキングができるようにしています。バイトダンスへの対抗として、SoraもSNS分野で相乗りができるようにしてきたのは興味深い展開です。こうした流れを背景に、今回のAdobe MAX 2025ではPremiere MobileがYouTubeと連携し、二次創作によるバイラル・ループの争いに参画 してきました。次ページ巨大テック企業の恐るべき「無力化戦略」 #最強の巨大SaaS企業2社のAI戦略Salesforceの最大の脅威がマイクロソフトである理由…

「最強」の巨大SaaS企業2社のAI戦略:Salesforceの“最大の脅威”がマイクロソフトである理由 | Business Insider Japan

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2025-11-13 02:05:00

アドビのシャンタヌ・ナラヤン会長兼CEO(上)と、セールスフォースのマーク・ベニオフ会長兼CEO。2人合わせて、時価総額3600億ドルもの巨大SaaSビジネスを作り上げた著名経営者だ。
Business Insider Japan

前編の記事「『AIがSaaSを殺す』の大きな誤解」に引き続き、この記事ではセールスフォースとアドビがAI大手に立ち向かう「無力化戦略」を取り上げます。

「AIがSaaSを殺す(AI kill SaaS)」という言葉が、まるで決定事項のように語られていますが、それは本質を見誤った短絡的な煽り文句だ、という話を前回しました。

私の見立てでは、AIはSaaSを殺しません。ただし、AIによってSaaSは「溶融」し、バラバラに解体していくでしょう。

では、溶けたSaaSはどんな「コンテキスト」を核に「再結晶化」するのか。実は、トップのSaaS企業では既にその実例が出てきています。

セールスフォースとアドビは自ら「SaaSを分解」してきた

IT批評家の尾原和啓氏。オンラインで収録した。
IT批評家の尾原和啓氏。オンラインで収録した。
著者提供

この動きを最も象徴しているのが、セールスフォースとアドビの最新の発表です。

  • セールスフォースの「Agentforce 360」
  • アドビの「AI Agents」と「Brand Concierge」

彼らは、もはや「SaaSのUI」だけで競争していません。彼らは自らUIを捨て、AIエージェントに業務を実行させる「ワークフローの極北」にしています。

「AIがSaaSを殺す」の大きな誤解。アドビ、セールスフォースの取材で見えた「SaaS業界6つの軸の覇権争い」 | Business Insider Japan

「AIがSaaSを殺す」の大きな誤解。アドビ、セールスフォースの取材で見えた「SaaS業界6つの軸の覇権争い」 | Business Insider Japan

彼らが汎用AGI(OpenAIやグーグル)に勝てると信じる根拠。それこそが「プライベートコンテキストの極北」です。

  • セールスフォースの「Data Cloud」 = 「顧客データ」という最強のコンテキストの要塞。
  • アドビの「AI Foundry」 = 「ブランドアセットと顧客体験データ」という最強のコンテキストの要塞。

「汎用AIは、我々の持つプライベートコンテキストなしにビジネス価値を生まない」と、彼らは考えているのではないでしょうか。

この再結晶化をめぐって、テック業界は新たな競争に入ると考えられます。

これは私の造語ですが、コンテキストには、B2B市場の巨大プレーヤーのような「重いコンテキスト」と、B2C/C2Cサービスのような「軽いコンテキスト」があります。

それぞれ企業名を挙げつつ、2つの覇権争いの視点で解説します。

(1)B2Bの覇権:セールスフォース vs. マイクロソフト/HubSpot(CRM)

セールスフォースは「顧客データ(CRM)」という、「重いコンテキスト」を握っています。しかし、ここには最強の巨人がいます。

セールスフォースCEOが「企業のAIは個人向けより遅れている」と訴えたワケ。年次イベントで見た新戦略 | Business Insider Japan

セールスフォースCEOが「企業のAIは個人向けより遅れている」と訴えたワケ。年次イベントで見た新戦略 | Business Insider Japan

ライバル:マイクロソフト(最強の業務コンテキスト覇者)

マイクロソフトの戦略は、「Dynamics 365(CRM)」と「Microsoft 365(Teams, Outlook)」という2大コンテキストを「Copilot」で融合させる、最強の垂直統合です。

ライバル:HubSpot(SMB・使いやすさ)

HubSpotは、中小企業(SMB)向けの「使いやすいコラボレーション・コンテキスト」をAIで固めています。

セールスフォースの危機と活路:

セールスフォースの最大の脅威はマイクロソフトではないでしょうか。セールスフォースが「CRMデータ(結果)」しか持たないのに対し、マイクロソフトは「日々の業務(メール、会議、チャット)」という、より膨大でリアルタイムな「コラボレーション・コンテキスト」を握っています。AIの賢さにおいて、「コンテキストの量」で負ける可能性があるのです。

セールスフォースの活路は、マイクロソフトの物量に負ける前に、「Agentforce 360」で顧客をロックインし、「CRM特化AI」としての専門性で逃げ切ることにあるように見えます。

マイクロソフトとセールスフォースの強み比較。
マイクロソフトとセールスフォースの強み比較。
著者提供
マイクロソフトとHubSpotの戦略の共通性を整理。
マイクロソフトとHubSpotの戦略の共通性を整理。
著者提供

(2)B2Cの覇権:モバイル動画市場

アドビは、B2Bとは全く異なるもう一つの戦線を開きました。それがB2C/C2Cのモバイル動画市場という「軽い」コンテキストです。

アドビとTikTok、Soraはモバイル動画の分野で静かな覇権争いを始めている。
アドビとTikTok、Soraはモバイル動画の分野で静かな覇権争いを始めている。
著者提供

B2Cはモバイル動画が主戦場の1つでしょう。UGC(ユーザー生成コンテンツ)がトレンドを作っていきます。この「軽いコンテキスト」では、ライフスタイルや悩みの解決ではなく、トレンドの増幅、二次創作の連鎖にうまく組み込まれることが大切です。

そういう意味ではCapCutをTikTokが持っているのは非常に強いところです。

アドビとYouTubeの戦略提携。副社長が語った言葉に「グーグルの裏の戦略」が見えた【尾原和啓の深堀り】 | Business Insider Japan

アドビとYouTubeの戦略提携。副社長が語った言葉に「グーグルの裏の戦略」が見えた【尾原和啓の深堀り】 | Business Insider Japan

OpenAIのSoraはおそらく、この構造を理解していて、だからこそ「Remixボタン」がある。動画の顔を変えて、猫を増やして、などテイストメイキングができるようにしています。バイトダンスへの対抗として、SoraもSNS分野で相乗りができるようにしてきたのは興味深い展開です。

こうした流れを背景に、今回のAdobe MAX 2025ではPremiere MobileがYouTubeと連携し、二次創作によるバイラル・ループの争いに参画 してきました。

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