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2024-09-27 12:00:00
ライフインサイダー
「ゴミうんち展」なる展覧会があると聞きつけて、やってきたのは六本木・東京ミッドタウン内の21_21 DESIGN SIGHT。
衝撃的な展覧会タイトルに惹かれて来たものの、会場前のポスターにはその文字が見当たらない。
「ゴミうんち」ってどういうこと?
美術館入り口にはこんな注意書きが。マスクを忘れてしまったが、本当に大丈夫だろうか……。
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恐る恐る会場に入ったものの、当たり前だが特に異臭がするわけではない。
「ゴミうんち」展の英語タイトルは「pooploop」。単にゴミやうんちについてのみ真剣に考えるのではなく、その存在がどこからやってきて、どこに行くのかという過程を考えるのが、今回の展覧会の真髄だ。
展覧会ヴィジュアルに、タイトルが「ない」理由も、それらがトイレやゴミ箱に捨てられた途端、視界から遠ざけたくなる「ない」ものとして扱われることに疑問を投げかける狙いがあるという。
「ゴミうんち」の概念をトレーニング
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最初に目に留まったのは、大量の砂時計。上にはオレンジのボールが乗っている。《TIME B》と名付けられた本作は、展覧会のディレクターを務め、「デザイン あ」のプロデューサーとしても知られる21_21 DESIGN SIGHTの館長・佐藤卓によるものだ。
砂時計は、通常ひっくり返して使うものだ。だが、この砂時計はボールの存在によって、わざわざ「ボールを取る」という作業が加わることとなる。砂時計を反転させる動作を循環と見立て、こうした一人ひとりの手間なしには、循環は成し得ないことを伝えている。
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次の展示空間では、天井部分いっぱいまでありとあらゆるものが陳列されている。ルネサンス期以降、貴族の間で流行った「驚異の部屋」ならぬ「糞驚異の部屋」だ。
トイレの芳香剤やすっぽん。
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模型やマネキンの型。
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トイレの芳香剤などトレイに馴染み深いものから、プラスチック片が詰まった瓶、食べ物など、展覧会のテーマとつながりそうでつながらないようなものたちも。
この一見曖昧な共通点こそ、私たちの想像する「ゴミうんち」が、単に「汚いもの」「捨てられて終わるもの」という概念から脱していないことを意味する。
まずはこの部屋で、「ゴミうんち」のこうしたイメージを取り払い、「循環するもの」であるという思考を鍛えてから、次へと進もう。
サビ、割れ、苔もアート
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サビも同様に、「汚いもの」「終わりかけのもの」の象徴として扱われる。だが、その経年変化を模様のように楽しむこともできるはずだ。
狩野佑馬による《Rust Harvest|錆の収穫》は、サビの風合いを楽しむ作品だ。金属板についたサビをアクリル板に転写させ、再度金属板を海水や雨水で錆びさせることを繰り返し、その模様を写し取っていく。
一見、サビだとは分からない。
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出来上がったパネル作品は、サビだと分かっていても美しいと思えてくるのが不思議だ。
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こうした劣化を「コントロールできない美しさ」として捉えた視点は、松井利夫の《サイネンショー》というプロジェクトでも見られた。
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ずらりと並んだ陶器は、よく見るとぐにゃりと歪んでいたり、陶器どうしがくっついていたりする。これらは、家庭でもう使われなくなったり壊れてしまったりしたもので、釉薬を新たにかけ通常よりも高温で再度焼き上げられている。
窯の扉を開けるまで、どうなっているかは分からない。その偶発性が、また新たな価値を生む。
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会場内の什器に使われているのは、展覧会の展示空間で使用されるリースパネルだ。表面に加工を施されたのち、また別の展覧会の什器として活躍するというサイクルを持つ。
山のように積み上げられたリースパネルには、苔がついている。会場の各所にも苔が見られる。
実はこれも、作品の一つなのだ。
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吉本天地による《気配ー覆い》は、会場のあちらこちらに置かれた苔を通じて、その時間経過を想起させている。
苔が持つ意味はそれだけに留まらない。苔はコットンでできたニットモジュールなので問題ないが、そもそも館内は生の植物を持ち込むことができないルールとなっているそうだ。
だが、コットンは本来綿花からできた自然物。「人工物ではない」とはっきり言い切ることのできないその存在が、ユーモアを持って固定観念へのアンチテーゼとなっている。
下水処理で最終的に残る汚泥を焼却した「汚泥灰」を使った、狩野佑真とLIXILによる《下水汚泥タイルプロジェクト》。
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会場内ではうんちにまつわるうんちく「うんち句」も。
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「ゴミうんち」と聞いて、私のように面白半分で訪れる人も多いだろう。だが、結果的に「臭い物に蓋をする」日頃の生活を見つめ直す機会となった。
本展は環境問題もテーマの一つではあるが、大きな課題として投げかけられるよりもずっと入りやすい。単純にゴミやうんちの“その先”に興味が湧く展示だった。
「ゴミうんち」の新しい概念に出会える本展は、2025年2月16日(日)まで開催中だ。
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