小泉進次郎防衛相は16日の参院予算委員会で、陸上自衛隊中央情報隊の「現地情報隊」が日本国内の有識者らに接触し、思想信条などの個人情報を組織的に調査収集して報告書を作成していたとされる問題に関し、文書の出どころや真正性が確認できないとして答弁を避けた。Yahoo!ニュースなどが報じた。
参院予算委員会で追及を受けた小泉防衛相の答弁
16日の参院予算委員会で、立憲民主党の辻元清美議員は陸上自衛隊中央情報隊の「現地情報隊」による国内の有識者ヒアリングと情報収集について質問した。海外情報を調べる名目で国内有識者に接触し、身体的特徴や思想信条、金銭状況など41項目にわたる個人情報をまとめて「個人BSD(ベーシックソースデータ)報告書」を作成していたとされる問題を取り上げた。辻元氏は「見たことはありますか」と直接的な認識を迫った。
これに対し、小泉進次郎防衛相は「報道で言及された文書」とした上で、「防衛省・自衛隊が公表したものではなく、その出どころや真正性を確認できていないので、お答えすることは差し控える」と述べ、明確な言及を避けた。さらに辻元氏が調査対象者への接触マニュアルや押印箇所のある様式について重ねて問うたが、小泉氏は「我々防衛省・自衛隊の文書だと確認しているものではない」と従来の主張を繰り返した。
文書の存在をめぐる与野党の攻防と過去の不祥事
辻元氏は自身の手元に当該の文書が存在することを明かし、直接その場で質問を行っていると述べた。その上で、2017年に南スーダン国連平和維持活動(PKO)部隊の日報隠蔽問題が発覚した際、当時の稲田朋美防衛相が辞任に追い込まれた経緯に言及した。イラク派遣部隊の日報問題でも防衛省が「ない」と言い続けた末に発覚し、当時の幕僚長が辞任した前例を挙げている。
熊本日日新聞の報道によると、辻元氏は「あとで持っていきますから、入手しましたから。小泉大臣の目でよく見ていただいて調査をしてほしい」と求め、防衛相自身が内容を確認して調査を行うよう強く促した。これに対し小泉氏は、辻元氏が所持しているという点についても「出どころと真正性を確認しておりません」とかみ合わない答弁を続け、野党席から「答えてないよ!」と批判のヤジが飛ぶ場面もあった。
委員会休憩時の文書手渡しと今後の対応
一連の質疑において両者の平行線が続く中、辻元氏は小泉氏の答弁姿勢を「塩答弁」と厳しく批判した。委員会の中休みを利用して、自身が入手した個人BSD報告書や継続接触伺のコピーを小泉氏に手渡し、「しっかりやらないと、後から(文書が)出てきたら稲田さんのように辞任になりかねない案件ですよ」と強い調子で警告した。
防衛省・自衛隊が公表した公式文書ではないとする政府側の立場と、実際に外部へ流出したとされる文書を突きつける野党側の追及は、情報の真贋をめぐって激しく対立している。与野党の攻防の行方は、手渡された文書の調査結果や今後の国会論戦における防衛相の対応に委ねられている。