連邦最高裁判所のジョン・ロバーツ首席判事は8月21日、ホワイトハウスで進行中のドナルド・トランプ大統領による4億ドルの舞踏会場建設計画について、一時的に工事の継続を認める決定を下しました。この命令は、当該プロジェクトの適法性を巡る緊急上訴の審理期間中に適用されます。
ロバーツ首席判事による緊急命令
連邦最高裁判所のジョン・ロバーツ首席判事は、ホワイトハウスにおける舞踏会場建設計画を巡る訴訟において、工事の一時的な継続を許可する命令を出しました。この決定は、トランプ政権が提出した緊急上訴を最高裁が検討するための時間を確保する目的があります。下級裁判所は、議会の承認を得ていないとして地上部分の建設停止を命じていましたが、今回の最高裁の命令により、最終的な判断が下されるまで工事は継続されることになります。
ロバーツ首席判事は、首都ワシントンで提起された緊急上訴の管轄権を有しており、今回の決定には判事の具体的な論理構成や、最終判決の時期に関する詳細は示されていません。トランプ大統領は、この決定について南カロライナ州での政治集会で言及し、「彼らが続行せよと言ったとき、それは良いことだ。それは良いことだ」と述べ、政権としての歓迎の意を表明しました。
建設プロジェクトを巡る法的争点と現状
この舞踏会場計画は、約9万平方フィート(約8,400平方メートル)の規模で、かつてイーストウィング(東棟)があった場所に建設が進められています。司法省が裁判所に提出した資料によると、プロジェクトの約65%がすでに完了しており、作業員は週7日、1日20時間体制で工事を続けています。総工費は4億ドルと見込まれており、これまでに約2億ドルの民間寄付が投入、あるいは拠出が約束されています。
政権側は、大統領にはホワイトハウスやその他の連邦政府の建物を改修する権限があり、この舞踏会場は国家安全保障上の懸念から完成させる必要があると主張しています。トランプ大統領はソーシャルメディア上で、このプロジェクトが「予算内で、予定より早く進んでいる」と強調しています。
下級裁判所における審理の経緯
今回の最高裁の介入に至るまで、下級審では建設の是非について激しい議論が交わされてきました。4月にはワシントンの連邦地方裁判所のリチャード・レオン判事が、地上部分の建設停止を命じました。この判決は、後に控訴裁判所のパネルによって支持されました。
- リチャード・レオン判事(ジョージ・W・ブッシュ大統領指名):地下のバンカーや軍事施設の建設のみ継続を許可。
- 控訴裁の民主党系判事:プロジェクトは議会が決定すべき事項であり、「行政府の独断的な手段によるべきではない」と判断。
- 控訴裁のトランプ指名判事:保存団体には提訴する法的資格がないと判断。
これに対し、司法省のD・ジョン・サウアー訟務長官は、工事停止の決定を「異例かつ不法」であると批判し、プロジェクトの完成は「国家安全保障上、不可欠である」と主張しました。
ステークホルダーの反応
歴史保存トラスト(National Trust for Historic Preservation)は、トランプ大統領には工事を断行する一方的な権限はなく、ホワイトハウスは建設を加速させることで「裁判から逃げ切ろうとしている」と非難しています。同団体の広報担当者は、ロバーツ首席判事による命令は最終決定ではなく、さらなる法的措置を待つ姿勢を示しました。最高裁は今後、裁判の長期化が見込まれる中で、建設継続の可否についてより詳細な検討を行う見通しです。