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2026-01-22 11:45:00
- ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は1月21日、スイスのダボスで開催された世界経済フォーラム年次総会、通称「ダボス会議」で演説を行った。
- トランプ大統領が語る自身の「最大の功績」に耳を傾けていた各国のCEOやリーダーたちに混じって、Business Insiderのベン・バーグマン記者が会場で取材した。
- 聴衆の反応は当初、不気味なほど静まり返っていた——トランプ氏がグリーンランドについて語り始めるまでは。
ドナルド・トランプ大統領のダボス会議での演説が始まるまで、会場周辺は騒然とした空気に包まれていた。だが、満員の聴衆で埋め尽くされたホール内は、1時間以上に及ぶ演説の大半の時間、不気味なほど静まり返っていた。
私はダボスのホールに詰めかけたおよそ1000人の聴衆の中に座っていた。通路に立ち見が出るほどの混雑ぶりだった。
もしトランプ大統領が、就任1年目の「最高の功績」として自ら並べ立てた実績リストに対し、熱狂的な喝采を求めていたのだとしたら、その期待は裏切られることになった。
クレカ、医療、住宅…トランプ氏らしい“ハルシネーション”混じりのダボス演説をファクトチェックしたら、経済課題のリアルが見えてきた【ダボス会議2026】 | Business Insider Japan
聴衆から一番ウケた話題はまさかの…
大勢のCEOや各国首脳といった人々が、トランプ大統領をひと目見ようと長蛇の列をつくった。それは、世界の政財界のエリートが集うこの年次総会で、最も入手困難なチケットだった。トランプ大統領とその側近たちは過去数日間にわたり、この演説に思わせぶりな空気を漂わせ、期待感を煽っていた。
だが、その「特別演説」の滑り出しは極めて平凡なものだった。トランプ氏がこれまで何百回となく行ってきた演説と何ら変わらなかった。唯一違っていたのは、彼が本国アメリカで慣れ親しんでいる喝采がなかったことだ。
ヨーロッパとの敵対的な対立や、ダボスのエリートたちへの攻撃的な姿勢が盛んに取り沙汰されていたにもかかわらず、ブーイングも異論の声も上がらなかった。聴衆から聞こえてきたのは、押し殺したような神経質な笑い声だけだった。彼らはトランプ氏と一緒に笑っていたのか、それとも彼を笑いものにしていたのか——どうやら後者のようだった。
会場から最も大きな笑いが起きたのは、トランプ氏が前日にダボスでアビエイターサングラス(パイロット風のサングラス)をかけていたフランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領について触れたときだ。
「あの美しいサングラス。一体全体どうしたんだ?」(トランプ氏)
トランプ大統領がグリーンランドに話題を移すと、聴衆はようやく身を乗り出した。
そしてグリーンランド買収に向けた交渉を始めると宣言すると、会場の人々は唖然とし、互いに不安げな視線を交わしていた。トランプ氏が以前からグリーンランドに言及していたとはいえ、ヨーロッパのリーダーたちが集まるこの部屋で、彼が一国の買収計画について語る姿を目の当たりにするのは、あまりにシュールな光景だった。
ある発言の1分後、会場を去る人が出始めた

グリーンランドの話題から一転、トランプ氏は唐突に「不正選挙」や「腐敗したメディア」といった、彼の十八番(おはこ)の話題を繰り出し始めた。脈絡のない展開に聴衆はますます呆気にとられ、スマートフォンに目を落とす人も現れ始めた。
すると、彼は再びグリーンランドの話に戻り、第二次世界大戦中にアメリカがこの島の防衛を引き継いだ事実に触れつつ、「武力行使の必要はない。私の唯一の要求は、グリーンランドを『取り戻す』ことだ」と語った。会場からは、またしても神経質な笑いが起きた。
トランプ氏は、前日の20日に熱のこもった演説をしたカナダのマーク・カーニー(Mark Carney)首相を批判したとき、おそらくこの日最も過激な発言を放った。「カナダが存在していられるのは、ひとえにアメリカによる防衛のおかげだ」と。
「おいおい」——。私の後ろにいた人物が、思わずそう声を漏らした。
その1分後、数人の聴衆が出口へと向かい始めた。
その後、トランプ氏の攻撃の矛先が私たちがまさにいまいる国——開催国のスイスに向けられると、さらに多くの人々が次々と会場を後にした。トランプ氏があるスイスの閣僚について「どうも気に食わない」と言い放つと、会場からは息を呑む声がはっきりと聞こえた。
あまりにも異質な話題に聴衆は次々と…

演説は現地時間の午後3時15分(日本時間午後11時15分)に終了する予定だったが、トランプ大統領は予定を30分以上も超過して話し続けた。国内の犯罪、ソマリアからの移民、麻薬密輸船……。未来への高尚なビジョンが語られることの多いダボス会議において、それらはあまりにも異質なトピックだった。さらに多くの聴衆が席を立つか、スマホを見始めた。
ようやくトランプ氏は、用意されていた原稿へと話を戻した。そこには「あなた方には、ほかの誰にも思いつかないようなことを成し遂げる力がある」といった、より前向きなメッセージが記されていた。
「アメリカは復活した。以前よりも偉大に、より良い国となって」と彼は宣言した。
そしてトランプ氏はひと呼吸置いてこう締めくくった。「また会おう」。
ついに拍手が沸き起こった。だが、スタンディングオベーションを送ったのは聴衆の3分の1程度だった。
「携帯がなかったら、退屈で気絶していただろう」
会場の外では、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム(Gavin Newsom)知事が、自身の政敵に対する拍手がいかに「控えめ」だったかについて、痛烈な分析を披露していた。
「自分を見下し、頭越しに話し、軽蔑し、馬鹿にし、そのうえ『弱くて哀れな存在』だと思っているような人物に、なぜ拍手をする必要があるのか?」
ニューサム知事は記者団にそう語った。「あれだけの拍手があったこと自体、私には驚きだった。もし携帯電話がなかったら、数人は退屈のあまり気絶していただろう」。
もちろん、全員が同意したわけではない。トランプ大統領の盟友、サウスカロライナ州選出のリンゼー・グラム(Lindsey Graham)上院議員はBusiness Insiderに対し、演説は「ホームラン(大成功)」で、この演説による最大の敗者は「プーチンかもしれない」と語った。
「グリーンランドは戦略的に重要だ。我々はその所有権を必要としているが、武力によってではない」。グラム氏は会場の一角でそう言った。「所有権をアメリカに移転する方法を見つけ出す必要がある」。
ダボス会議参加者のアメリア・ウィンター(Amelia Winter)氏はBusiness Insiderに対し、トランプ氏は「いくつか良いこともしている」と認めつつも、彼には「恥という概念がなく、あまりに傲慢なあの態度は常軌を逸している」と語った。
「同盟国をこんなふうに扱う人間に、人は拍手など送りたくないものだ」と、彼女は言い切った。
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