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西川美和監督が新作映画で敗戦直後の戦争孤児を描いた理由を語る

西川美和監督の最新作『わたしの知らない子どもたち』は、敗戦直後の混乱期に生きる戦争孤児の姿を描く。国家の枠組みが消滅した空白の時代に焦点を当てた理由について、西川監督は『すばらしき世界』の制作過程で抱いた疑問と、コロナ禍という猶予期間が背景にあったと明かした。 『すばらしき世界』から繋がる「宿題」 映画監督の西川美和氏が新作『わたしの知らない子どもたち』で敗戦直後という時代を選んだ背景には、前作『すばらしき世界』(2021年)の制作が深く関わっている。本作の原案となった小説『身分帳』には、主人公・三上の幼少期が敗戦直後の混乱期であったことが記されていた。西川氏は、のちに暴力や犯罪の担い手となる人物のルーツを辿れば、終戦直後に路上へ放り出され、アウトローだけを頼りに生き延びた戦争孤児たちに行き着くという事実に着目した。crea.bunshun.jpの取材に対し、同監督は「あの戦争孤児たちはどこから現れ、どこへ消えていったのだろう」という疑問が、前作の撮影後も自身のなかに宿題として残り続けていたと語っている。 コロナ禍がもたらした「調査」の猶予 映画制作が具体的に動き出したきっかけは、コロナ禍による社会環境の急激な変化だった。マスクで街が覆われ、人と人の距離が断絶される状況下で、西川氏は現代劇を執筆することに難しさを感じていた。脚本完成までに3年から4年を要する自身の制作ペースを考慮すると、完成時の社会情勢を予測することは不可能だったためだ。西川氏は「世界がこの先どう揺れ動こうと、過去の事実が変わることはない」と考え、この期間を戦後の子どもたちの実態を徹底的に調べるための猶予として活用することを決断した。 「記録」としてのフィクションを目指して 本作において、西川氏は特定の意図を観客に押し付けるのではなく、自身が知らなかった事実をフィクションという器に記録することを目指した。戦中戦後を扱った作品はこれまでも数多く存在してきたが、西川氏が当時の資料を精読していくと、自身の認識がいかに不十分であったかを痛感したという。膨大な資料と向き合うなかで見落とされていた事実や、過去に耳にしながらも忘れていた人々の営みを丁寧に脚本へ盛り込むことで、描き出すべき人間の姿が自然と立ち現れることを信じたと明かした。 価値観の空白期に浮き彫りになる人間像 映画が描くのは、戦時下の戦闘ではなく、敗戦後の「価値観の空白期」である。「国家」という大きな看板が消失し、ヤクザや米軍、闇市の利権が剥き出しになった社会で、子どもたちはどのように生き抜いたのか。西川氏は、この時代に日本の「裏面史」とも呼べる現実が隠されていると指摘する。戦時下ではなく、あえて敗戦後という時代設定を選んだことで、極限状態に置かれた人々の生々しい実態がスクリーンに投影されることになる。 監督:西川美和 映画タイトル:『わたしの知らない子どもたち』 制作:K2 Pictures、AOI Pro. 公開予定:2026年 【豪華鼎談】『わたしの知らない子どもたち』西川監督×小八重葵美×二階堂ふみ|脚本の難しさ・名セリフの秘話を語り尽くす!【10/16(金)公開】#わたしの知らない子どもたち #西川美和 #二階堂ふみ

西川美和監督が新作映画で敗戦直後の戦争孤児を描いた理由を語る

西川美和監督の最新作『わたしの知らない子どもたち』は、敗戦直後の混乱期に生きる戦争孤児の姿を描く。国家の枠組みが消滅した空白の時代に焦点を当てた理由について、西川監督は『すばらしき世界』の制作過程で抱いた疑問と、コロナ禍という猶予期間が背景にあったと明かした。

『すばらしき世界』から繋がる「宿題」

映画監督の西川美和氏が新作『わたしの知らない子どもたち』で敗戦直後という時代を選んだ背景には、前作『すばらしき世界』(2021年)の制作が深く関わっている。本作の原案となった小説『身分帳』には、主人公・三上の幼少期が敗戦直後の混乱期であったことが記されていた。西川氏は、のちに暴力や犯罪の担い手となる人物のルーツを辿れば、終戦直後に路上へ放り出され、アウトローだけを頼りに生き延びた戦争孤児たちに行き着くという事実に着目した。crea.bunshun.jpの取材に対し、同監督は「あの戦争孤児たちはどこから現れ、どこへ消えていったのだろう」という疑問が、前作の撮影後も自身のなかに宿題として残り続けていたと語っている。

コロナ禍がもたらした「調査」の猶予

映画制作が具体的に動き出したきっかけは、コロナ禍による社会環境の急激な変化だった。マスクで街が覆われ、人と人の距離が断絶される状況下で、西川氏は現代劇を執筆することに難しさを感じていた。脚本完成までに3年から4年を要する自身の制作ペースを考慮すると、完成時の社会情勢を予測することは不可能だったためだ。西川氏は「世界がこの先どう揺れ動こうと、過去の事実が変わることはない」と考え、この期間を戦後の子どもたちの実態を徹底的に調べるための猶予として活用することを決断した。

「記録」としてのフィクションを目指して

本作において、西川氏は特定の意図を観客に押し付けるのではなく、自身が知らなかった事実をフィクションという器に記録することを目指した。戦中戦後を扱った作品はこれまでも数多く存在してきたが、西川氏が当時の資料を精読していくと、自身の認識がいかに不十分であったかを痛感したという。膨大な資料と向き合うなかで見落とされていた事実や、過去に耳にしながらも忘れていた人々の営みを丁寧に脚本へ盛り込むことで、描き出すべき人間の姿が自然と立ち現れることを信じたと明かした。

価値観の空白期に浮き彫りになる人間像

映画が描くのは、戦時下の戦闘ではなく、敗戦後の「価値観の空白期」である。「国家」という大きな看板が消失し、ヤクザや米軍、闇市の利権が剥き出しになった社会で、子どもたちはどのように生き抜いたのか。西川氏は、この時代に日本の「裏面史」とも呼べる現実が隠されていると指摘する。戦時下ではなく、あえて敗戦後という時代設定を選んだことで、極限状態に置かれた人々の生々しい実態がスクリーンに投影されることになる。

  • 監督:西川美和
  • 映画タイトル:『わたしの知らない子どもたち』
  • 制作:K2 Pictures、AOI Pro.
  • 公開予定:2026年
【豪華鼎談】『わたしの知らない子どもたち』西川監督×小八重葵美×二階堂ふみ|脚本の難しさ・名セリフの秘話を語り尽くす!【10/16(金)公開】#わたしの知らない子どもたち #西川美和 #二階堂ふみ
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