英国のアンディ・バーナム首相は10月8日、ベルリンでドイツのフリードリヒ・メルツ首相と会談し、日英伊が共同開発する次期戦闘機計画「GCAP」へのドイツ参加に前向きな姿勢を表明した。ロイター通信やBBC Newsが報じた。フランスとの共同開発が停滞するドイツを計画に引き入れる狙いだが、正式な参加決定には日本とイタリアの同意が不可欠となる。
バーナム英首相がドイツのGCAP参加へ意欲
英国のアンディ・バーナム首相は10月8日、ドイツのベルリンでフリードリヒ・メルツ首相と会談した。ロイター通信によると、バーナム首相は会談後の共同記者会見で、ドイツが次期戦闘機開発計画「GCAP」へ参加することに対し、英国として前向きな姿勢であることを直接伝えたと説明した。英国政府は今後、日本およびイタリアと協力し、ドイツの参加に向けた取り組みを本格的に進める方針を示している。BBC Newsも、英国政府がドイツ側の参画を視野に調整を行う意向であることを伝えた。ただし、現時点でドイツの正式な参加が決定した事実はなく、メルツ首相がこの提案に対してどのような反応を示したのか、その具体的な回答は明らかになっていない。
フランスとの共同開発が行き詰まるドイツの現状
ドイツはこれまで、フランスやスペインと「将来戦闘航空システム(FCAS)」の開発を進めてきた。しかし、中核となる有人戦闘機の開発をめぐり、仏ダッソー・アビエーションと独側のエアバスの間で主導権争いや作業分担をめぐる対立が表面化している。無人機や情報ネットワークといった周辺分野での協力体制は維持されているものの、有人戦闘機開発の先行きは不透明な状況だ。こうした経緯から、ドイツは新たな協力先を模索しており、英独間ではすでにGCAPに関する初期協議が実施されている。ドイツ政府内部では、スウェーデンやスペインとの協力案も検討の対象となっていると報じられている。
日本・イタリアとの調整が今後の焦点
GCAPは、日本のF2戦闘機の後継機として、日英伊3か国が2035年の配備開始を目標に掲げる共同開発計画である。三菱重工業やBAEシステムズ、レオナルドといった各国の主要企業が参画している。英国政府は6月の議会答弁において、新たな参加国を受け入れる場合には日本、イタリアとの共同決定が必須であると明言している。ドイツの参加が実現すれば、開発費の分担拡大や技術協力の深化が期待できる一方、機体の性能要求や参画企業の役割調整など、新たな課題も発生する。関係国の追加が開発スケジュールの遅延を招く可能性も指摘されており、日本にとっては2035年の配備目標を維持できるかどうかが重要な焦点となる。
日英伊3か国が共同開発する次期戦闘機(GCAP)には、日本の三菱重工業、英国のBAEシステムズ、イタリアのレオナルドなどが参加している。
2035年の配備目標に向けた今後の見通し
ドイツの参加検討は、GCAPの枠組みを拡大させる可能性がある一方、既存の3か国による合意形成をより複雑にする側面も孕んでいる。英国政府は今後、日本とイタリアの同意を取り付けながら、ドイツ側の意向を慎重に見極める構えだ。日本側にとっては、開発の遅延リスクを回避しつつ、防衛産業の技術協力やコスト分担のメリットを最大化できるかどうかが判断の分かれ目となる。2035年の配備開始という厳格な期限を見据え、各国間での調整が今後どのように進展するかが注目される。