中国・四川省の臥龍中華大熊猫苑・神樹坪基地は、飼育場への唾吐きや異物の投げ込みなど、パンダに危害を及ぼす行為をした観光客や配信者計28人を生涯入場禁止処分としました。今年2月から10月にかけての違反行為を対象とした措置で、同基地は警備体制の再構築を急いでいます。
計28人が生涯入場禁止の対象に
四川省の臥龍中華大熊猫苑・神樹坪基地は10日、園内の観覧規則に違反した観光客ら計28人を、同基地への生涯入場禁止とすると発表しました。複数の中国メディアが12日までに報じた内容によると、禁止対象となったのは観光客27人と男性配信者1人です。内訳は男性が15人、女性が13人となっており、平均年齢は約55.68歳でした。最年少は35歳、最高齢は74歳で、60歳以上の高齢者が14人を占める結果となりました。
唾吐きや異物投棄が横行
今回の処分に至った主な理由は、パンダの飼育環境を脅かす悪質な行為です。今年2月から10月までの間、15人の観光客が警備員の目を盗んで屋外飼育場に唾を吐くという事案が発生しました。また、2月から8月にかけては、4人がペットの持ち込み禁止規則を破り、検査をすり抜けて園内にペットを隠し持っていました。さらに、8人の観光客が飼育場内に物を投げ込む行為に及んでおり、基地側はこれら計12人についても生涯入場禁止の対象としました。
パンダへの感染リスクと管理体制
基地側が唾吐き行為を重く見ている背景には、パンダへの健康被害を懸念する専門的な視点があります。人の唾液や痰には病原体が含まれている可能性があり、パンダがこれに触れたり舐めたりすることで体内に取り込むリスクが指摘されています。過去には香港の飼育下パンダでH1N1感染が確認された例があり、研究者は人からの感染の可能性が高いと報告しています。ただし、今回の唾吐き行為と直接の感染経路については未確認とされています。
園内の観覧規則に違反し、パンダに深刻な危害を及ぼす恐れがあるため、該当する観光客を生涯入場禁止とする。
虚偽情報の拡散も処分対象に
観光客の迷惑行為に加え、インターネット上での誹謗中傷も厳正に対処されました。臥龍中華大熊猫苑は、パンダ保護機関の飼育員を中傷し、虚偽情報を広めたとして、男性配信者の林某(38)を生涯入場禁止としました。基地側は、この配信者の行為が「臥龍中華大熊猫苑の評判を著しく傷つけた」と判断しています。なお、今回の処分により、観光客27人は神樹坪基地への、配信者1人は臥龍中華大熊猫苑全体への入場がそれぞれ永久に不可能となりました。
再発防止に向けた現場の対応
一連の事態を受け、臥龍中華大熊猫苑・神樹坪基地は入園時の検査を担当する職員への指導を強化する方針を打ち出しました。今後は業務技能の研修を徹底し、同様の違反行為を未然に防ぐ警備体制の構築を目指します。パンダ保護の重要性が高まる中、訪問者一人ひとりのモラルと、それを監視・管理する施設の運営能力が改めて厳しく問われることになります。