米国疾病予防管理センター(CDC)の報告によると、2026年の米国における麻疹(はしか)の症例数は4,080件に達しました。これは1991年以来、35年間で最多の年間感染者数となります。ウイルス感染が加速する中、専門家は予防接種の重要性を強調し、自身の免疫状態を確認するよう呼びかけています。
麻疹の再興と公衆衛生上の脅威
麻疹は、知られている中で最も伝染力が強い疾患の一つです。国立感染症財団が主導する公衆衛生の取り組み「Measles Collaborative」の事務局長であるパッツィ・スティンチフィールド氏は、ペンシルベニア州で起きている感染状況を挙げ、免疫を持たない集団の中で麻疹が山火事のように広がる危険性を指摘しています。CDCのデータによると、今年の症例の95%はワクチン未接種者、あるいは接種状況が不明な人々に集中しています。さらに、CDCの「SchoolVaxView」によると、米国の幼稚園におけるMMR(麻疹・おたふくかぜ・風疹)ワクチンの接種率は92.4%まで低下しており、持続的な感染拡大を防ぐために必要とされる約95%の基準を下回っています。

免疫の空白と追加接種の判断
麻疹の再流行を受け、予防接種履歴が不明な大人や、1回のみの接種しか受けていない人々から、追加接種の必要性について多くの問い合わせが寄せられています。専門家の見解に基づくと、以下の基準が検討の目安となります。
- 1957年以前の生まれ:当時、麻疹は極めて一般的であったため、ほとんどの人が幼少期に自然感染しており、免疫を持っていると推定されます。
- 1963年から1967年に接種:この期間に接種されたワクチンのうち、不活化(殺菌)ワクチンまたは種類が不明なものについては、十分な防御力が得られなかった可能性があるため、現在のMMRワクチンによる再接種が推奨されます。
- 1968年から1989年に接種:当時、推奨されていた接種回数が1回のみであったため、免疫に隙間が生じている可能性があります。
- 接種履歴が不明な場合:専門家は、記録を確認できない場合は再度接種を受けることが安全かつ有効であるとしています。
統合小児科医のトクンボ・アカンデ医師は、米国において現在、単価の麻疹・おたふくかぜ・風疹ワクチンは流通していないと説明しています。また、臨床経験25年以上の小児科医ヘザー・ゴスネル医師は、ワクチンを個別に分けることには医学的根拠がないと指摘し、追加接種が必要な場合は現在のMMRワクチンを使用することが標準的であると述べています。

免疫記憶の喪失と深刻な健康リスク
麻疹は単なる発疹を伴う病気ではなく、免疫系に深刻なダメージを与える可能性があります。ゴスネル医師は、「麻疹は身体の免疫記憶を消し去り、すでに防御できていたはずの感染症に対しても戦い方を忘れてしまう」と説明しています。これは「免疫健忘」として知られる現象です。さらに、回復から数年後に発症する致死的な脳疾患である亜急性硬化性全脳炎(SSPE)のリスクもあります。ゴスネル医師によれば、1歳の誕生日を迎える前に感染した乳児の場合、そのリスクは600人に1人にまで達します。
グローバルな取り組みと今後の対応
麻疹の脅威は米国に留まらず、世界規模で再興しています。WHO(世界保健機関)は、パンデミック期間中のルーチン予防接種サービスの中断が、現在の流行の一因であると分析しています。ウガンダの保健省は、2026年の麻疹・風疹ワクチン接種キャンペーンを開始し、クリス・バリョムンシ保健大臣は「子どもたちが成人まで健康に成長できるよう保障する」と述べました。WHOのニレシュ・ブッダ氏は、南東アジア地域における免疫の空白を埋め、監視を強化することの重要性を強調しています。
米国において、追加のMMR接種を受けることについて、専門家からは「害はなく、むしろ保護が強化されるだけである」との声が上がっています。もしご自身の予防接種履歴や、麻疹への曝露、子どもの免疫状態について疑問がある場合は、必ずかかりつけの小児科医、薬剤師、または地域の保健当局などの医療資格を持つ専門家に直接相談してください。CDCが提供する州別のワクチン記録ディレクトリなどを活用し、正確な情報を得ることが推奨されます。