2026年10月8日、ミシガン州グランドラピッズで行われた米上院選候補者による初のテレビ討論会は、民主党のアブドゥル・エル=サイード氏と共和党のマイク・ロジャース氏による激しい個人攻撃の応酬となりました。両候補はイラン戦争やカナダとの貿易関税、経済対策を巡り鋭く対立し、中西部における重要な議席争いの緊張感を浮き彫りにしました。
グランドラピッズでの激しい個人攻撃と政策論争
討論会は開始直後から、互いの人格を否定するような罵り合いに発展しました。元下院議員のロジャース氏は、元ウェイン郡保健局長であるエル=サイード氏を「詐欺師」と呼び、医師としての経歴にも疑問を呈しました。これに対し、エル=サイード氏はロジャース氏を「弱虫で臆病者だ。支持率が下がるまで立ち上がろうともしない」と揶揄しました。ウッドTVの司会者リック・アルビン氏は、両者の絶え間ない割り込みに対し、「私も討論に参加させてほしい」と苛立ちを隠せない場面もありました。
カナダとの貿易関税とイラン戦争の行方
経済政策において、トランプ前大統領が推進したカナダ製品への関税がミシガン州に与える打撃が大きな焦点となりました。エル=サイード氏は、ロジャース氏がこれまでトランプ氏の関税政策を先導してきたことを挙げ、「あなたが関税政策を応援してきたせいで、我々は年間5,600ドルもの負担を強いられている」と批判しました。また、エル=サイード氏は、ロジャース氏の関税に対する姿勢の変化を「世論調査の数字が急落したためだ」と指摘しました。

一方、ロジャース氏は、イランとの紛争について「今こそ戦争を終わらせるべき時だ」と述べました。同氏は、イランの軍事力が既に壊滅的な打撃を受けていると主張し、カナダとの貿易交渉についても商務長官と協議中であると強調しました。対するエル=サイード氏は、ロジャース氏が過去に戦争を支持してきた経歴を挙げ、「国際的な問題が起きるたびに、彼は戦争を求めてきた」と断じました。
イスラエル・パレスチナ問題と候補者の背景
外交政策の議論では、イスラエルとイランのどちらが米国にとってより大きな脅威かという質問に対し、エル=サイード氏は「どちらも危険だが、性質が異なる」と回答し、具体的な優劣の明言を避けました。エル=サイード氏は、ガザ地区での軍事行動に対するイスラエル政府への批判を繰り返すとともに、米国の税金が外国の軍事支援に費やされることに反対する姿勢を強調しました。これに対し、ロジャース氏はエル=サイード氏が2023年10月のテロ攻撃に対する非難が不十分だと主張し、激しい応酬となりました。
討論の終盤では、両候補の資産状況についても論争が及びました。ロジャース氏はエル=サイード氏の家族がアラブ首長国連邦に所有する賃貸物件について言及し、エル=サイード氏はロジャース氏がフロリダに所有するウォーターフロントの住宅を指摘しました。
激戦州ミシガンにおける選挙戦の情勢
この上院選は、退任するギャリー・ピーターズ上院議員の議席を巡る争いであり、上院の過半数確保を目指す両党にとって極めて重要な戦いです。世論調査ではエル=サイード氏が僅かなリードを保っていますが、2024年の前回選挙では、ロジャース氏がわずか19,000票差で敗北しており、接戦が予想されています。

民主党内では、エル=サイード氏の進歩的な政策が穏健層に受け入れられるか懸念されてきましたが、討論会当日にグレッチェン・ウィットマー知事が同氏を支持する姿勢を鮮明にしました。また、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員らも支援を表明しており、党内の結束が図られています。トランプ氏がミシガン州を訪問する可能性も取り沙汰される中、この選挙戦は最終局面に向けてさらに激化することが予想されます。