福岡県北九州市の済生会八幡総合病院で、職員が夜勤中に患者の姿をスマートフォンで撮影し、SNSに投稿していたことが判明しました。病院側は10月16日と10月21日に謝罪文を公表し、就業規則に基づく厳正な対処と再発防止の徹底を表明しています。
済生会八幡総合病院で判明した職員による患者の無断撮影とSNS投稿
福岡県北九州市の済生会八幡総合病院で、職員が夜勤中に患者の動画や画像をスマートフォンで撮影し、SNSへ投稿していた事実が確認されました。問題となった投稿には、床をはったり横たわったりする患者の姿が映し出され、患者を中傷するような文言も記載されていました。
投稿に用いられたSNSアカウントには閲覧制限が設けられていましたが、第三者を通じて公開範囲外へ流出した可能性があるとされています。同病院は10月16日に初めて謝罪文を掲載し、事実関係の確認を進めていると発表しました。
さらに10月21日には、職員が撮影したものであることを確認したとして改めて謝罪を行いました。病院側は、就業規則や院内規程に基づく厳正な対処と、再発防止の取組を徹底する旨を表明しています。医療機関の職員によるこうした不適切な行為は、他の医療現場でも相次いで発覚しています。
相次ぐ医療機関での不祥事と法的責任の観点
医療機関の職員による患者の無断撮影やSNS投稿は、千葉西総合病院でも10月8日の病院発表によって発覚しています。同病院では10月10日付で、撮影を行った職員2名が解雇されました。またJR札幌病院でも、10月15日の病院発表により、職員が患者の動画や画像を撮影・投稿した事案が確認されています。
病院職員が患者を無断で撮影し、中傷する内容とともにSNSへ投稿した場合、法的な観点から複数の刑事責任を問われる可能性があります。弁護士の阿部由羅氏は、侮辱罪や名誉毀損罪などに問われる可能性があると解説しています。
具体的には、具体的な事実を摘示せずに公然と患者を侮辱した場合は侮辱罪に該当し、1年以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料が規定されています。公然と社会的評価を下げるような具体的事実を摘示して患者の名誉を毀損した場合は、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科される名誉毀損罪に問われます。
公然性の解釈とその他の刑事責任
侮辱罪や名誉毀損罪の成立要件である「公然」とは、不特定または多数の人が認識し得る状態を指します。済生会八幡総合病院の事案のように、投稿に使われたSNSアカウントが非公開のいわゆる鍵アカウントであっても、それを閲覧できる人が相当数いる場合には、公然と行われた投稿としてこれらの罪が成立する可能性があります。
さらに、患者の性的な部位や下着姿などの写真や動画を不特定または多数の者に提供し、または公然と陳列した場合は、性的影像記録提供等罪として5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、または併科に処される可能性があります。
不適切な動画の投稿により病院の業務を妨害した場合には偽計業務妨害罪が成立し、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に問われます。医師や薬剤師、助産師などの関係者が正当な理由なく業務上知り得た患者の秘密を漏らした場合は、秘密漏示罪として6か月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金が規定されています。
今後の医療現場における再発防止と信頼回復への取り組み
相次ぐ不祥事を受けて、各医療機関は職員に対するコンプライアンス教育の徹底や情報管理の強化を迫られています。済生会八幡総合病院をはじめとする各病院は、患者のプライバシー保護を最優先課題とし、厳正な処分と再発防止策の実行を通じて失われた信頼の回復を図る方針を示しています。法的な責任追及の行方とともに、現場の勤務体制やモラル向上に向けた具体的な実効性が今後問われることになります。