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2024-04-23 05:00:00
新しいポイントサービス「Vポイント」が4月22日に本格サービスを開始した。
撮影:小林優多郎
CCCMKホールディングスは4月22日、既存の「Tポイント」(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)と、「Vポイント」(三井住友カード)を統合して「青と黄色のVポイント」を開始した。
22日には統合を記念した新たなキャンペーンを発表したほか、Tポイントと旧Vポイントの統合機能、新しいアプリの提供を始めた。
しかし、三井住友カードの「Vpass」や「Vポイント」、スマホの画面提示でポイントが貯まる「モバイルVカード」などで障害が起きた。
スマホを店頭で提示してポイントを貯める「バーチャルVカード」。
撮影:小林優多郎
三井住友カードは障害発生期間を「22日午前11時頃から23日午前3時ごろまで」としているが、23日正午現在もSNSなどではアプリがうまく表示できないなど、利用者からの声があがっている。
順風万端なスタートとは言えないVポイントだが、異なるポイント同士を統合してまで得られるものは何か。
22日の記者会見や競合他社の周辺状況から解説しよう。
貯まる・使える場所の多い「日本最大級」のサービス
新しいVポイントは、貯まる場所や使える場所の多様さが魅力だ。
撮影:小林優多郎
前述の通り、新VポイントはTポイントと旧Vポイントを統合した新サービスで、それぞれのポイントのIDを連携することで合算できる。
貯まる方法は大きく2つ。Vポイント加盟店(従来のTポイントの加盟店)で物理的な「Tカード」やスマホアプリ等の「モバイルVカード」を提示した場合と、三井住友カードの対象カードでショッピングや投資信託等をした場合だ。
貯まった新Vポイントは1ポイント=1円相当で、同じくVポイント加盟店や、「VポイントPayアプリ(旧Vポイント)」のバーチャルカードにチャージするとVisa加盟店でも利用できる。
貯まる場所と使える場所の多様さが、新Vポイントの最大の特徴になる。
Vポイントは、VポイントPayアプリのバーチャルカードを通して、Visaの加盟店で利用できる。
撮影:小林優多郎
Vポイントを運営するCCCMKホールディングスは、2024年3月末時点で、Tポイントは1億2800万ID、旧Vポイントは2600万IDとしており、新Vポイントの単純合算の会員数は延べ1億5400万人で「日本最大級のポイントサービス」と称している。
今後、既存のTポイント加盟店も順次新しいVポイント加盟店のポップに切り替わる。ユーザーが使うアプリやサービス名もVポイント準拠のものになる。
Tポイント加盟店の店頭には、今後Vポイントのポップが展開される。
撮影:小林優多郎
ただし、目立つところでは、物理のポイントカードだけは「Tカード」の名称を継続する。
これは単純に「物理的にどうしようもない」ところもあるが、安易に変更しない理由を22日の会見に登壇したCCCMKホールディングス取締役の撫養宏紀氏は次のように答えている。
「Vポイントというサービスは、スマホへの登録を中心にしていきたいと思っている。クラシックのTカードに変わり、モバイルに登録しやすくなるカードというものを順次検討している」(撫養氏)
また会見では、Vポイント加盟店でポイントカードの提示がなくとも、三井住友カードのクレジットカード等で決済さえすればポイントがダブルで貯まる仕組みについても言及があった。
「(時期未定だが)お客様にとっては優先順位の高いサービスになる」(撫養氏)とするなど、他の共通ポイントサービスにはない機能や特徴の開発を進めていく方針だ。
通信事業者が席巻する共通ポイント経済圏
4月22日の会見では、他社ポイントの比較も行われた。
撮影:小林優多郎
共通ポイント業界の状況は現在、携帯電話業界とは切っても切り離せない状態になっている。
- NTTドコモ「dポイント」
- KDDI「Pontaポイント」※ロイヤリティマーケティングが運営
- ソフトバンク「PayPayポイント」
- 楽天モバイル「楽天ポイント」
ECの楽天市場から始まった楽天ポイントはもとより強固なポイント経済圏を築いていたが、元が通信事業者である他の3社は、既存契約者の囲い込みの期待から共通ポイントに注力している。
また、共通ポイントは決済や投資などの金融サービスと相性がいい。各社の非通信事業の成長のためにも、ポイントは無視できない存在になっている。
日常生活以外にも、三井住友銀行やSBI証券といった金融サービスでの利用ができるVポイント。
撮影:小林優多郎
例えば、2月7日にMMD研究所が公開した調査データによると、国内の消費者が最も活用しているポイント(単一)は以下のような順位になっている。
- 楽天ポイント
- dポイント
- PayPayポイント
- Pontaポイント
- Tポイント
Tポイント自体は2003年、レンタルビデオ事業等を行う「TSUTAYA」のレンタル会員証から始まった。前述の通り、Tポイントだけでも大きな会員基盤を持っているわけだが、こうした他社との競争の中でなかなか存在感を示せていない現状がある。
過去にTポイントはソフトバンク系サービスで貯まるポイント(今もポイントサイトのログインにはYahoo! JAPAN IDが必要)でもあったが、ソフトバンクのPayPayシフトにより関係はほぼ解消状態にある。
三井住友カードの発行するクレジットカード。右側はOliveの物理カード。
撮影:小林優多郎
三井住友カードの旧Vポイントも、基本はクレジットカードなどで貯めるポイントであり、一部のポイ活ユーザーを除き意図して貯めるユーザーは少なかった。
加えて、三井住友銀行や三井住友カードを傘下にもつ三井住友フィナンシャルグループは、グループを横断した総合金融サービス「Olive」を2023年3月から展開している。
Oliveも今後の成長のために、ユーザーのインセンティブになるポイントを強化することが必須だった。
初日のサービス障害で出鼻をくじかれた形ではあるが、ECや携帯電話事業を直接的に持たない三井住友とCCCグループが、先行する他サービスを超えられるか注目だ。
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