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2024-10-29 21:35:00
同社のウィル・ルイス社長兼最高経営責任者(CEO)は近頃、2021年以来始めて電子版の有料購読者数がプラス成長(=年初来、9月時点で4000人以上の増加)に転じたと社内向けに発表したばかり。
今回の一件は時計の針を逆回りさせるような大きな後退と言えるだろう。
2024年1月にワシントン・ポストの経営トップに就任したルイス氏は、同社の厳しい財務状況を5月の社内ミーティングで次のように説明している。
「当社は2023年に7700万ドルの赤字を計上し、ここ数年は電子版の購読者も流出が続いています。率直に言って、窮地に立たされており、その状態がここ何年も続いているのです」
ベゾス氏の言い分
2013年8月にワシントン・ポストを買収してオーナーとなったアマゾン(Amazon)創業者のジェフ・ベゾス氏は、10月28日付の同紙オピニオンコラムへの寄稿を通じて、特定候補を支持・推薦しない方針を決定するに至った理由を説明した。
それによれば、ほとんどの米国民はメディアが偏向していると考えており、それゆえメディアがいずれかの大統領候補を支持したところで、国民の投票判断の役には立たないという。
ベゾス氏はこう書いている。
「実のところ、大統領候補への支持を表明することこそが、認識の歪みを生み出しているのです。メディアは独立性を欠く、という認識を。それを止めることは理にかなった判断であり、正しい判断だと思います」
ワシントン・ポストの報道制作の現場では、スタッフの抗議や辞職が相次ぎ、その対応に追われている。
最近ピューリッツァー賞を受賞したデビッド・ホフマン氏は10月28日に編集委員を辞任した。同日、同じく編集委員のモリー・ロバーツ氏も辞任した。
コラムニストのミシェル・ノリス氏、ブルッキングス研究所シニアフェローも兼務するエディター・アット・ラージのロバート・ケーガン氏も退社した。
オピニオン欄を担当するコラムニスト19人も特定候補への支持を控える経営決定に抗議し、連名でコラム記事(10月25日付)を投稿した。
米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)の報道によれば、ベゾス氏は9月下旬の時点ですでに、社長であるルイス氏(前出)とオピニオンエディターを務めるデービッド・シップリー氏に対し、特定候補を支持・推薦することに難色を示していた模様だ。
シップリー氏は10月28日、他の従業員の前で「ベゾス氏の説得に全力を尽くした」と語り、大統領選挙の投票日を目前に控えたこの段階で(支持・推薦を発表してきた)慣例を覆すのは得策でないとの観点から、ベゾス氏を説き伏せようとした経緯を明かした。
しかし、説得の際に「(支持・推薦を継続すべき)根拠を示したわけではなく、もしたとえ示していたとしても、ベゾス氏は自分の考えに従って判断を下した」だろうとシップリー氏は結論している。
また、ルイス氏は10月26日に米CNNに寄せたコメントで次のように説明し、今回の決定に至るまでにベゾス氏が果たした役割に関して誤解があることを指摘した。
「ベゾス氏には(掲載前の)ハリス氏への支持・推薦を表明する記事のドラフトを送っていません。だからドラフトは読んでいないし、当然それについて見解を述べたこともありません。
私は発行者として、特定候補への支持・推薦(の影響力)を信じていません。当社は独立した新聞媒体であって、読者が自分自身の力で判断を下すサポートをする仕事に徹するべきだと考えています」
いずれにしても、ワシントン・ポストが特定候補への支持・推薦を取りやめたことで、報道機関は敵対勢力への報復を公の場で宣言しているドナルド・トランプ前大統領を恐れ、軒並み自主規制を行っているのではないかとの懸念が広がっている。
米紙ロサンゼルス・タイムズ(Los Angeles Times)も、州議会議員候補の支持・推薦こそ行ったものの、大統領候補の支持・推薦は見合わせた。NPRの報道によれば、同社オーナーのパトリック・スンシオン氏による介入が原因で、編集委員会を率いるマリエル・ガーザ氏のほか、二人の編集委員が辞任している。
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