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映画『Tony』公開、ドミニク・セッサが若き日のアンソニー・ボーデンを演じる

伝説的なシェフであり、ベストセラー作家、トラベルドキュメンタリーの象徴としても知られるアンソニー・ボーデンの若き日を描いた伝記映画『Tony』が公開される。カナダ人映画監督のマット・ジョンソンが監督を務め、主演の19歳のボーデン役には、ドミニク・セッサが起用された。本作は、ボーデンが2000年に出版したベストセラー回想録『Kitchen Confidential』の冒頭数章をベースにしている。 1975年のプロビンスタウンを舞台にした成長物語 物語の舞台は1975年の夏、マサチューセッツ州の海辺の保養地プロビンスタウンである。大学生のトニー(ドミニク・セッサ)は、確信していた夏季ライティング奨学金を得られなかった後、事実上の家出をしてこの地に降り立つ。彼は、同じく夏を過ごしていたナンシー(エミリア・ジョーンズ)に知的な自分を印象付けたいという切実な想いを抱いていたが、現実は過酷だった。 到着後、トニーは安酒で酔っ払い、レストランでウェイトレスに言い寄ったことで店を追い出され、さらに路上で所持金すべてを盗まれるという惨めな状況に陥る。そんな彼に情けをかけたのが、レストラン「ザ・フラッグシップ(The Flagship)」の店主であるチロ(アントニオ・バンデラス)だった。チロはトニーを自宅のハンモックに泊め、翌朝、顔に海水を浴びせて起こすと、時間を守れるのであれば皿洗いとして雇うことを提案した。 厨房での過酷な経験とメンターとの出会い 映画では、ボーデンが実際にプロビンスタウンの厨房で過ごした3年間の経験が、物語の圧縮のために1つのレストランでの1シーズンにまとめられている。トニーはここで、皿洗いという謙虚な仕事を通じて厨房の熱気に惹かれていく。また、不道徳でコカインに溺れ、女たらしのシェフであるサル(レオ・ウッドール)に出会い、タフな男としての振る舞い方を教わることになる。サルはトニーにとって、インスピレーションを与える存在であると同時に、恐ろしい警告となる「犠牲的なメンター」として描かれている。 TONY Review: Anthony Bourdain Before He Became an Icon | Episode 22 劇中の冒頭のタイトルカードでは、ボーデン自身の言葉として、当時の自分を甘やかされ、惨めで、自己中心的で、自暴自棄で、思慮のない若造であり、ひどいお仕置きが必要だったと振り返っている。マット・ジョンソン監督は、この映画をまさにその「お仕置き(ass-kicking)」にすることを意図したと述べている。 演出上のアプローチと論争 脚本はマット・ジョンソン、トッド・バーテルズ、ルー・ハウ、マシュー・ミラーが共同で担当した。演出面では、ボーデンが後に伝説的な人物になることとの距離を置くため、主人公を「自己神話化」しすぎる傲慢な若者として描き出している。また、17世紀のシェフ、フランソワ・ヴァテルへの言及や「罪を肩代わりする者(sin eaters)」への参照など、原作にはない要素が加えられている。 Photo: AP News 一方で、一部の批評では、ボーデンが後に語ったヘロイン使用などの闇が描かれていない点や、料理への情熱が十分に表現されていない点などが指摘されている。また、2018年にボーデンが自ら命を絶ったという事実を知る観客にとって、劇中の悲劇的なエピソード(ヴァテルの自殺など)が、彼の結末を暗示させる不自然な配置に感じられるという見方もある。 公開スケジュール 映画『Tony』の公開日は以下の通りとなっている。 Photo: The Guardian 米国:8月7日 イギリス: 8月14日 オーストラリア:8月20日

Dominic Sessa and Emilia Jones in Tony

伝説的なシェフであり、ベストセラー作家、トラベルドキュメンタリーの象徴としても知られるアンソニー・ボーデンの若き日を描いた伝記映画『Tony』が公開される。カナダ人映画監督のマット・ジョンソンが監督を務め、主演の19歳のボーデン役には、ドミニク・セッサが起用された。本作は、ボーデンが2000年に出版したベストセラー回想録『Kitchen Confidential』の冒頭数章をベースにしている。

1975年のプロビンスタウンを舞台にした成長物語

物語の舞台は1975年の夏、マサチューセッツ州の海辺の保養地プロビンスタウンである。大学生のトニー(ドミニク・セッサ)は、確信していた夏季ライティング奨学金を得られなかった後、事実上の家出をしてこの地に降り立つ。彼は、同じく夏を過ごしていたナンシー(エミリア・ジョーンズ)に知的な自分を印象付けたいという切実な想いを抱いていたが、現実は過酷だった。

到着後、トニーは安酒で酔っ払い、レストランでウェイトレスに言い寄ったことで店を追い出され、さらに路上で所持金すべてを盗まれるという惨めな状況に陥る。そんな彼に情けをかけたのが、レストラン「ザ・フラッグシップ(The Flagship)」の店主であるチロ(アントニオ・バンデラス)だった。チロはトニーを自宅のハンモックに泊め、翌朝、顔に海水を浴びせて起こすと、時間を守れるのであれば皿洗いとして雇うことを提案した。

厨房での過酷な経験とメンターとの出会い

映画では、ボーデンが実際にプロビンスタウンの厨房で過ごした3年間の経験が、物語の圧縮のために1つのレストランでの1シーズンにまとめられている。トニーはここで、皿洗いという謙虚な仕事を通じて厨房の熱気に惹かれていく。また、不道徳でコカインに溺れ、女たらしのシェフであるサル(レオ・ウッドール)に出会い、タフな男としての振る舞い方を教わることになる。サルはトニーにとって、インスピレーションを与える存在であると同時に、恐ろしい警告となる「犠牲的なメンター」として描かれている。

TONY Review: Anthony Bourdain Before He Became an Icon | Episode 22

劇中の冒頭のタイトルカードでは、ボーデン自身の言葉として、当時の自分を甘やかされ、惨めで、自己中心的で、自暴自棄で、思慮のない若造であり、ひどいお仕置きが必要だったと振り返っている。マット・ジョンソン監督は、この映画をまさにその「お仕置き(ass-kicking)」にすることを意図したと述べている。

演出上のアプローチと論争

脚本はマット・ジョンソン、トッド・バーテルズ、ルー・ハウ、マシュー・ミラーが共同で担当した。演出面では、ボーデンが後に伝説的な人物になることとの距離を置くため、主人公を「自己神話化」しすぎる傲慢な若者として描き出している。また、17世紀のシェフ、フランソワ・ヴァテルへの言及や「罪を肩代わりする者(sin eaters)」への参照など、原作にはない要素が加えられている。

This image released by A24 shows Dominic Sessa, left, and Leo Woodhall in a scene from "Tony." (A24 via AP)
Photo: AP News

一方で、一部の批評では、ボーデンが後に語ったヘロイン使用などの闇が描かれていない点や、料理への情熱が十分に表現されていない点などが指摘されている。また、2018年にボーデンが自ら命を絶ったという事実を知る観客にとって、劇中の悲劇的なエピソード(ヴァテルの自殺など)が、彼の結末を暗示させる不自然な配置に感じられるという見方もある。

公開スケジュール

映画『Tony』の公開日は以下の通りとなっている。

Photo: The Guardian
  • 米国:8月7日
  • イギリス: 8月14日
  • オーストラリア:8月20日
執筆者について: nipponese

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