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2024-07-31 21:35:00
同社はヘルスケア事業のセグメント情報を開示していないものの、8月1日に予定される第2四半期(4〜6月)の決算発表では投資家がどこかに成功の兆しを見出すのかもしれない。
紆余曲折のヘルスケア事業
アマゾンがヘルスケア事業に進出したのはパンデミックより相当以前のこと。
2018年にピルパック(PillPack)を買収してオンライン薬局事業に参入し、2020年には心拍数などのバイタル(生体)データを測定・記録できるウェアラブル端末「ヘイロー(Halo)」を発売した。
2022年7月に39億ドルという巨額を投じてプライマリ・ケア(初期診療)サービスのワン・メディカル(One Medical)を買収すると発表した際は、関係者の間に衝撃が走った(買収手続き完了は2023年7月)。
とは言え、ヘルスケア事業は右肩上がりで成長を遂げたわけではない。
上述のワン・メディカル買収と前後してアマゾンは大きな労力と資金を投じてきた法人向けオンライン診療サービス「アマゾン・ケア(Amazon Care)」の閉鎖を決めた。
当時、同社シニアバイスプレジデント(ヘルスサービス担当)のニール・リンゼイ氏は従業員向けメールを通じて、苦渋の決断の経緯を次のように説明した。
「この決定は軽々しくなされたものではなく、何カ月にもわたる慎重な検討の結果、そうせざるを得ないという結論に至ったものです。
法人会員にはアマゾン・ケアの多くの側面について好意的に受け止めていただいているものの、私たちがターゲットとする大企業にとっては完全なサービスとは言えず、また、長期的に機能するものでもありませんでした」
冒頭の内部文書によれば、ワン・メディカルは(昨年12月時点では)2024年に5億600万ドルの営業損失を計上する見通しで、5億9700万ドルだった前年より損失幅は圧縮されることになる(一部の償却費用を除外した損失額は3億4170万ドル)。
また、Amazonファーマシー部門も損益の改善が予想されており、2023年は5億1520万ドルの損失を出したが、2024年は4億2020万ドルまで減るという。
各部門における損失幅の圧縮と並行して、ヘルスケア事業全体の売上高も伸びており、前年比28%増の31億6000万ドルと大台を突破する見通し。
貢献度が高いのはAmazonファーマシーで、前年比45%増の18億1000万ドルと、事業全体の6割弱を占める見通し。ワン・メディカルの売上高も堅調に伸び、同10%増の13億4000万ドルとなる見通し。
残るバーチャル医療サービス(後述)など「その他医療サービス」部門は、610万ドルの売上高を見込むものの、営業損失1億5240万ドルを出す予想だ。
これらの記載を含む内部文書が作成されたのは2023年12月で、コンフィデンシャル(社外秘)の扱いとなっている【図表1】。

【図表1】アマゾンのヘルスケア事業の業績見通し(2023年12月時点)。2023年実績(左)と2024年見通し(右、試算)。
表: アンディ・キエルズ/ビジネス・インサイダー 出典: 2023年12月のアマゾン社内文書
2024年も上半期が終了し、その間にもアマゾンはレイオフ(一時解雇)や他のコスト削減策を実施してヘルスケア事業のテコ入れを進めてきたため、ここまで紹介した内部文書に記載の数字は変更なり修正なりされた可能性もある。
それでも、同社の経営計画に詳しい匿名の関係者への取材によれば、文書内の数字が大きく(有意に)更新された可能性は低いという。
アマゾン広報に取材すると、12月時点の経営計画文書は「不完全な草案」であると指摘した上で、以下のように強調した。
「(内部文書とされるものに記載された)これらの数字は不正確であり、(ヘルスケア事業を担う)アマゾン・ヘルス・サービスの財務状況を正確に反映していません。
アマゾン・ヘルス・サービスは現時点ではまだ2024年末の業績見通しを確定させていませんが、(その意味も含めて)これらの数字は不正確なものです」
数字の正確さの程度はともかく、ヘルスケア事業の損失幅が縮小していることは、全社的な収益力の改善に注力してきたアマゾンにとって、将来を期待させる兆候と言っていいだろう。
とにかくコスト削減
アマゾンはここ数年、コスト削減を重視するアンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)の下で、過去最大規模のレイオフや破壊的イノベーションの創出を目指す長期的視点の案件も含めた開発プロジェクトの中止を進めてきた。
前出のワン・メディカルもその例に漏れず、社内で当初は5億ドル超と予想されていた2024年の営業損失について、経営陣は少なくとも1億ドル減らすよう指示。結果として出てきたのが、一部の償却費用を除外した3億4000万ドル超という数字だったと、内情に詳しい関係者は説明する。
また、財務健全化に向けた取り組みの一環として、アマゾンはヘルスケア事業を統括するシニアバイスプレジデントのニール・リンゼイ氏の直下にワン・メディカルやAmazonファーマシー部門などを置いて統合する大規模な組織再編を行った。
冒頭の内部文書によれば、リンゼイ氏の下に再編されヘルスケア事業を推進する新たなグループのミッションは「顧客が健康を確保・維持するために必要な製品・サービス・専門家を探し、選び、購入または手配するのを劇的に容易にすること」とされる。
そして、このミッションを実現する方法の一つは「顧客がケアを受けるのを容易にすること」だと内部文書に記載がある。
そのための取り組みの一環として、アマゾンは2022年11月、アレルギーや脱け毛などの一般的な症状に対処するバーチャル医療サービス「Amazonクリニック」をローンチ。ごく最近、名称を「Amazonワン・メディカル・ペイ=パー=ビジット」に変更して利用料金の引き下げを行った。
同サービスは、内部文書で2024年に営業損失1億5240万ドルの見通しとされている「その他医療サービス」に含まれる。
財務健全化に向けた取り組みの中では、「金食い虫」と呼ばれるワン・メディカルの固定費圧縮も重要な課題とされている。
2028年までに固定費を総収入の41%から20%まで削ることを大きな目標に掲げ、達成に向けた具体策として、2023年に372ドルだった患者1人当たりの診察費を2024年に322ドルまで引き下げるとともに、医療従事者1人当たりの平均診察回数を1456回から1597回に増やすことを挙げている。
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