ブラジル・サンパウロの図書館から強盗に持ち去られていたフランスの画家アンリ・マティスの版画8点について、現地警察がサンベルナルド・ド・カンポの住宅で発見し、回収したことが明らかになった。一連の犯行に関与したとみられる男が新たに逮捕され、押収された作品の価値は約20万ドル(約14万8000ポンド)と見積もられている。
マリオ・デ・アンドラデ図書館での大胆な強盗事件の全貌
今回の事件の発端は、2025年12月7日にさかのぼる。サンパウロ市内にある同市最大のマリオ・デ・アンドラデ図書館において、公開展示の最中に事件が発生した。犯行グループは昼前の開館時間帯を狙って侵入し、警備員1名と見学に来ていた高齢の夫婦2人を力ずくで制圧した。その後、犯人らはメインエントランスから徒歩で美術品を持ち去り、最寄りの地下鉄駅の方向へ逃走した。
標的となったのは、特別展示「本から美術館へ」の最終日に展示されていた作品群だった。被害にはマティスの「ジャズ」のほか、ブラジルの著名なモダニズム作家ホセ・リンス・ド・レゴの小説特別版のために制作された、カジンド・ポルティナリの版画5点も含まれていた。当局は、作品が国外に密輸されることを警戒し、早期段階からインターポールにも警戒を呼びかけていた。
サンベルナルド・ド・カンポでの家宅捜索と容疑者の逮捕
警察は数カ月に及ぶ捜査を経て、盗まれたマティスの作品群をサンパウロ市南部の郊外都市サンベルナルド・ド・カンポにある住宅へと追いつめた。現地での家宅捜索の結果、隠されていた版画8点すべてが無事に発見された。現場では、この住宅に作品を保管していたとみられる44歳の男、ジョアン・パウロ・リンハレス・デ・アラウホ容疑者が逮捕された。
現地メディアの報道によると、逮捕された男は盗品を保管する役割を担っていた疑いがある。また、ブラジル国内で多作な美術品泥棒として知られる53歳のラエッシオ・ロドリゲス・デ・オリベイラ容疑者が、今回の犯行の計画および主導に関与した疑いが持たれている。同容疑者は別の事件に関連して4月からすでに身柄を拘束されていた。図書館強盗事件をめぐっては、これまでに別の男1人と女1人も逮捕されており、捜査の手が着実に広がっている。
見つかったマティスの文化的価値と、いまだ行方不明のポルティナリ作品
回収されたマティスの版画は、美術批評家らによって「算定不能」な価値を持つと評されている。マティスは20世紀において最も影響力のある芸術家の一人とみなされており、その作品の回収はサンパウロの文化界にとって極めて大きな意味を持つ。サンパウロ市のトト・パレンテ文化秘書官は、今回の回収劇について次のように評価の声を寄せている。
「これら8作品の回収は、サンパウロの文化と遺産にとって計り知れないほど重要です。」 トト・パレンテ文化秘書官、サンパウロ市
一方で、同時に持ち去られたカジンド・ポルティナリの5点の版画については、いまだに発見されていない。警察当局の調査では、ポルティナリの作品はすでに別の場所へ転売された可能性が懸念されている。労働者や農民を描くことで知られるポルティナリはブラジル近代美術の巨匠であり、その作品の早期発見が引き続き求められている。
図書館の安全対策と作品の今後の行方
回収されたマティスの8点について、地元の文化局はすでに図書館側へ返還されたことを発表した。作品は今後、コレクションへ正式に再統合される前に、専門家によるコンディション査定と修復のための評価を受ける予定となっている。今回の事件を受けて、被害現場となった図書館ではセキュリティ体制の強化が図られているという。
The return of the recovered artworks marks a significant step towards reunifying the city's cultural heritage, with the next phase of restoration and evaluation set to begin immediately after the formal return to the collection.