台湾が調達したロッキード・マーティン製の新型戦闘機F-16C/D Block70の初号機が10月2日に現地へ到着した。当初の予定では2026年末までに66機の引き渡しが完了するはずだったが、サプライチェーンの混乱から納入遅延が続き、残る機体の完納は2028年になる見通しとなっている。
新造のF-16C Block70初号機が台湾に初めて到着
10月2日、単座型のF-16C Block70×2機(機体番号6727と6728)が台湾へ到着した。これらは既存のF-16A/B Block20からのアップグレード機ではなく、新造のBlock70として初めて台湾の土を踏んだ機体である。頼清徳総統は「本日、米国から調達したF-16V Block70の最初の2機が台湾に到着した。台湾海峡の領空を防衛し、自由と平和を守る台湾空軍に新たな戦力が加わることを歓迎する」と述べ、自己防衛力を強化して実力で平和を確保する決意を示した。
大規模なサプライチェーンの混乱と相次ぐ納入遅延
ロッキード・マーティンは2017年にテキサス州フォートワースからサウスカロライナ州グリーンビルへ最終組立ラインを移転し、17ヶ月後の2019年4月からF-16C/D Block70/72の生産を開始した。しかし、COVID-19の流行により、主翼や垂直尾翼を担当するイスラエルのIAIや、中央胴体などを手掛けるポーランドのPZLなど、9ヶ国470社で構成されるサプライチェーンが大混乱に陥った。その結果、最初に受注したバーレーン向けの納入開始から大幅な遅れが生じている。
台湾向け発注分の出荷遅れと鍾国防副部長の説明
台湾は2026年末までに66機の受け取りを予定していたが、これまでに引き渡されたのは複座型のF-16D(機体番号6831)と単座型のF-16C×2機にとどまる。複座型のF-16Dは2025年3月にグリーンビル工場から出荷され、12月29日の初飛行を経て2026年6月にフォートワースへ移動した。当時の鍾国防副部長は「2026年9月末までに台湾へ移送する」と説明していたが、そのスケジュールは実現しなかった。
内蔵式電子戦システムViper Shieldの生産遅れ
台湾に到着したF-16C Block70の2機には、L3ハリス製の内蔵式電子戦システムであるAN/ALQ-254 Viper Shieldが搭載されていない。このViper Shield自体が生産の遅れに直面しているためであり、装備品を欠いた状態での引き渡しとなっている。台湾国防部はこの電子戦システムの調達に13.3億ドルを配分しているが、機体の受領と装備の完了には時間差が生じている。
F-16V全顧客で続く遅延と残された64機の行方
2026年9月の時点で、バーレーン向けの16機、スロバキア向けの14機、ブルガリア向けの8機の納入はほぼ完了している。一方で、台湾、モロッコ、ブルガリアの第2バッチ分は依然として2年から3年の納入遅延に直面している。本来の計画では2026年末までに全66機の納入が完了するはずだったが、現時点で台湾に到着したのは単座2機のみという大幅な遅れとなった。残る64機(単座54機と複座10機)がいつまでに台湾へ到着するのか、公式な完了時期は示されておらず、報道ベースでは完納は2028年になるという見通しが一般的となっている。