10月13日、ロシア連邦保安局(FSB)が極東サハリン州ユジノサハリンスクのホテルで、北海道新聞の男性記者をスパイ容疑で力ずくで拘束したと報じられた。.
ロシア連邦保安局がホテルで記者を拘束
10月13日、ロシアの極東サハリン州ユジノサハリンスクのホテル一室に、黒い目出し帽とFSBの文字が入った上着を着た男たちがなだれ込んだ。国営タス通信が世界に配信した動画によると、男たちは3人がかりで北海道新聞の記者イマイ・ユウキを床に押し倒し、うつぶせにして腕をねじ上げて手錠をかけた。スーツケースの中身にはブーニンの書籍や、「部外秘」と書かれたヘッダーの書類がモザイク付きで映し出されていた。イマイは「どういう意味ですか」と応じ、数時間後にモスクワへ移送された。モスクワ市内の裁判所で2カ月の勾留が認められ、レフォルトボ刑務所に収容されたと報じられている。
日本政府と北海道新聞がスパイ容疑を否定
高市早苗首相は16日、ロシア国内での日本側のスパイ活動を明確に否定したと、日刊スポーツなどが伝えている。また北海道新聞は16日、山本武史編集局長名で声明を発表した。日テレNEWS NNNによると、同紙はロシア側の「日本の情報機関からの指示を受けていた」とする主張に対し、「政府の指示に基づいて取材や情報収集を行うことはない」と強く反発した。さらに、正式な取材ビザを取得していたことや、具体的な拘束理由が説明されないまま拘束時の映像が公開されたことについて、「認められない」と批判している。日本新聞協会の中村史郎会長も「強い懸念と憤り」を表明し、早期の解放を求めた。

モスクワの拘置所で続く面会拒否と各界の反応
拘束されたイマイが収容されているモスクワ市内のレフォルトボ拘置所に対し、ロシア日本大使館関係者が訪れたものの、領事面会は許可されなかったと外務省は説明している。日刊スポーツによると、18日に放送されたTBS系「サンデーモーニング」では、フリーアナウンサーの膳場貴子が「報道の仕事をする立場として、記者の拘束というのは非常にショックだった」と述べた。番組に出演した元「AERA」編集長の浜田敬子は、ロシア側のねらいについて「ロシア内部で取材している報道機関への萎縮をねらったのではないか」との見解を示している。
中露の連携と広がる外交的背景
産経ニュースの報道によれば、ロシアは同日に北方領土の択捉島に中国の代表団を上陸させ、弁護士のイワン・パブロフは本誌の取材に対し、「日本人記者の逮捕は政治的な作戦の一部だ」と述べ、ロシア政府が証拠を示さずに外国人を拘束して交換要員にしているとの見方を示した。2023年に米ウォール・ストリート・ジャーナルのエバン・ゲルシュコビッチ記者が拘束され、のちに囚人交換で解放された事件との共通点が指摘されている。.

今後の見通しと残された課題
外務省は一日も早い領事面会の実現に向けてロシア側に働きかけていく方針を示しているが、今後の展開は不透明なままである。スパイ罪で有罪となった場合には10年から20年の懲役刑が科される可能性があり、政治犯が収容されることで知られるレフォルトボ刑務所での処遇も懸念されている。高市政権が同盟国の米国などを巻き込みながら、どのように外交的なパワーバランスの中でこの問題の解決を探るのか、今後の対応が注視されている。