ロシア下院で9月30日、ウクライナ侵攻の帰還兵46人が初登院しました。AFP通信によると、これにより下院(定数450)に占める軍関係者や従軍経験者の割合は10%を超え、ロシア現代史上、最も軍人・退役軍人の比率が高い議会となりました。
ウクライナ侵攻の帰還兵46人が下院議員に就任
ロシア中央選挙管理委員会のエラ・パンフィロワ委員長は先週、下院選で当選した「特別軍事作戦」の帰還兵46人の名簿を発表しました。内訳を見ると、その大半にあたる41人がプーチン大統領の与党「統一ロシア」に所属しています。彼らはウクライナ侵攻において、部隊長や元海軍副司令官、一般兵、衛生兵など多岐にわたる役割を担ってきました。ロシアは2022年の全面侵攻開始以降、経済と社会の軍国主義化を急速に進めており、今回の議会構成はその象徴的な動きといえます。
プーチン大統領が帰還兵議員の忠誠心を称賛
初登院に際し、ウラジーミル・プーチン大統領は下院で演説を行い、帰還兵議員らを「戦場において祖国への絶対的な忠誠心を証明した人々」と高く評価しました。大統領は、彼らが前線での戦友愛を議会に持ち込むことで、ロシアの立法府が一層強固なものになるとの期待を表明しています。これに対し、新人議員のアンドレイ・コズロフ氏は、勝利の瞬間まで最高司令官であるプーチン大統領に最後まで従い続けると強調し、政権への強い結束を誓いました。
戦争犯罪の疑いで指名手配中の議員も登院
新議員の中には、ウクライナ当局から戦争犯罪の疑いで指名手配されている人物も含まれています。新人議員の一人、29歳のヌルスルタン・ムサガリエフ氏は、2022年にキーウ近郊のブチャで起きた民間人虐殺に関与した疑いが持たれています。同氏はウクライナ侵攻で部隊長を務め、クレムリンからは「ロシア連邦英雄」の勲章を授与されました。このほか、ウクライナ東部マリウポリの激戦に参加したロシア青少年軍トップのウラジスラフ・ゴロビン氏や、元海軍副司令官のウラジーミル・カサトノフ氏らも名を連ねています。
女性として異例の連邦英雄も議会入り
今回の登院者には、女性として極めて珍しく「ロシア連邦英雄」の勲章を受けたリュドミラ・ボリラヤ氏も含まれています。モスクワ州出身のボリラヤ氏は、看護師から衛生兵へと転身して侵攻に参加しました。彼女もまた統一ロシア所属の議員として、議会での活動を開始することになります。軍事経験を持つ女性議員の存在は、政府が掲げる軍国主義化の文脈において特筆すべき点として注目されています。
ウォロジン議長が西側諸国への対抗姿勢を強調
下院議長には、2016年から同職を務めるビャチェスラフ・ウォロジン氏が再選されました。ウォロジン議長は本会議での演説において、「西側は、わが国の発展を阻止しようとあらゆる手段を講じている」と強く批判しました。また、1917年のロシア革命や1991年のソ連崩壊を引き合いに出し、国を失う過ちを繰り返してはならないと訴えています。かつてない規模で軍関係者が流入したロシア議会は、今後、西側との対立を深めるプーチン政権の政策を正当化し、推進する主要な舞台として機能していく見通しです。