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ロシア・トゥワ共和国:観光振興で地域の発展を目指すが、経済課題や戦時下の現実に直面

ロシア・トゥワ共和国は、豊かな自然と民族文化を武器に観光立国を目指している。しかし、ウクライナでの「特別軍事作戦」に従軍する男性が多く、地域経済も鉱業依存から脱却できていない。真野森作記者が現地から現状を報告する。 豊かな自然と仏教文化が息づくトゥワ共和国 シベリア連邦管区の南部に位置するトゥワ共和国は、北海道の約2倍の広大な面積を持つ。南はモンゴルと国境を接し、エニセイ川が流れる山岳地帯やタイガが広がる。人口は約34万人で、その9割近くがチュルク系言語を話すトゥワ人だ。かつてモンゴル帝国の支配下にあった歴史から、現在もチベット仏教やシャーマニズムが深く信仰されている。また、紀元前の騎馬民族スキタイの古墳や遺跡が点在し、博物館では黄金の装身具が見学できる。この地域はプーチン大統領が休暇で頻繁に訪れ、釣りや遊泳を楽しむ場所としてもロシア国内で広く知られている。 観光資源としての遊牧民文化と伝統の食 首都クイズィルから南東へ約60キロ進むと、なだらかな草の丘に遊牧民の生活を体験できる観光施設がある。羊毛フェルトで作られたおわん形のテントが並ぶこの施設では、観光客が地元の生活を間近で学べる。現地では、初老の女性が新鮮な牛乳を使ったチーズ作りを実演し、乳製品を多用した伝統料理で客をもてなす。民族衣装をまとった子供たちが子馬の世話をする光景も日常的だ。こうした文化体験に加え、喉歌「ホーメイ」などの民族音楽もトゥワを代表する観光資源となっている。 ロシア・トゥワ共和国が観光に活路 豊かな文化の裏に厳しい現実 国際仏教フォーラムで文化の独自性を発信 トゥワ当局は、地域の独自性を生かした観光振興を経済発展の柱に据えている。その試金石として、8月中旬に「国際仏教フォーラム」が開催された。露大統領府の支援を受けたこのイベントは、2023年からロシア各地の仏教地域で持ち回りで開かれている。今回は「文化の対話」をテーマに、インドや中国、ミャンマーなど20カ国から僧侶や研究者ら2000人以上が参加した。トゥワ共和国のホバリグ首長は、このフォーラムについて「トゥワ文化の独自性や仏教の伝統とのつながりを世界に示すまたとない機会だ」と強調した。 鉱業依存と物流の課題が阻む経済発展 観光振興の重要性が叫ばれる一方で、地域経済の基盤は依然として鉱業に偏っている。主な産業は石炭や非鉄金属の採掘であり、製造業の集積は進んでいない。地勢の8割を山地が占めるため、物流網の整備が大きな課題となっている。鉄道建設の計画も浮上しているが、現時点で実現には至っていない。ホバリグ首長は今年5月にプーチン大統領と面談し、過去5年間で貧困率が28.5%から18.6%まで低下したことを成果として報告した。しかし、ロシア全国平均の6.7%と比較すると、依然として約2.8倍という高い水準にある。 戦時色を強める首都クイズィルと将来の展望 地域の風景は、観光施設での穏やかな暮らしと、戦時下の厳しい現実が混在している。首都クイズィルでは多くの男性がウクライナでの「特別軍事作戦」に従軍しており、市街には戦時色が漂う。聖地の山や泉を巡る旅路で垣間見えた原風景と、戦地へ向かう男性たちの現実は対照的だ。観光立国を目指す当局の試みは、地域経済の構造的な課題や、軍事作戦による人的影響と隣り合わせにある。今後、この地がどのように独自の文化と経済を両立させていくのか、その道筋は不透明なままだ。

ロシア・トゥワ共和国:観光振興で地域の発展を目指すが、経済課題や戦時下の現実に直面

ロシア・トゥワ共和国は、豊かな自然と民族文化を武器に観光立国を目指している。しかし、ウクライナでの「特別軍事作戦」に従軍する男性が多く、地域経済も鉱業依存から脱却できていない。真野森作記者が現地から現状を報告する。

豊かな自然と仏教文化が息づくトゥワ共和国

シベリア連邦管区の南部に位置するトゥワ共和国は、北海道の約2倍の広大な面積を持つ。南はモンゴルと国境を接し、エニセイ川が流れる山岳地帯やタイガが広がる。人口は約34万人で、その9割近くがチュルク系言語を話すトゥワ人だ。かつてモンゴル帝国の支配下にあった歴史から、現在もチベット仏教やシャーマニズムが深く信仰されている。また、紀元前の騎馬民族スキタイの古墳や遺跡が点在し、博物館では黄金の装身具が見学できる。この地域はプーチン大統領が休暇で頻繁に訪れ、釣りや遊泳を楽しむ場所としてもロシア国内で広く知られている。

観光資源としての遊牧民文化と伝統の食

首都クイズィルから南東へ約60キロ進むと、なだらかな草の丘に遊牧民の生活を体験できる観光施設がある。羊毛フェルトで作られたおわん形のテントが並ぶこの施設では、観光客が地元の生活を間近で学べる。現地では、初老の女性が新鮮な牛乳を使ったチーズ作りを実演し、乳製品を多用した伝統料理で客をもてなす。民族衣装をまとった子供たちが子馬の世話をする光景も日常的だ。こうした文化体験に加え、喉歌「ホーメイ」などの民族音楽もトゥワを代表する観光資源となっている。

ロシア・トゥワ共和国が観光に活路 豊かな文化の裏に厳しい現実

国際仏教フォーラムで文化の独自性を発信

トゥワ当局は、地域の独自性を生かした観光振興を経済発展の柱に据えている。その試金石として、8月中旬に「国際仏教フォーラム」が開催された。露大統領府の支援を受けたこのイベントは、2023年からロシア各地の仏教地域で持ち回りで開かれている。今回は「文化の対話」をテーマに、インドや中国、ミャンマーなど20カ国から僧侶や研究者ら2000人以上が参加した。トゥワ共和国のホバリグ首長は、このフォーラムについて「トゥワ文化の独自性や仏教の伝統とのつながりを世界に示すまたとない機会だ」と強調した。

鉱業依存と物流の課題が阻む経済発展

観光振興の重要性が叫ばれる一方で、地域経済の基盤は依然として鉱業に偏っている。主な産業は石炭や非鉄金属の採掘であり、製造業の集積は進んでいない。地勢の8割を山地が占めるため、物流網の整備が大きな課題となっている。鉄道建設の計画も浮上しているが、現時点で実現には至っていない。ホバリグ首長は今年5月にプーチン大統領と面談し、過去5年間で貧困率が28.5%から18.6%まで低下したことを成果として報告した。しかし、ロシア全国平均の6.7%と比較すると、依然として約2.8倍という高い水準にある。

ロシア・トゥワ共和国:観光振興で地域の発展を目指すが、経済課題や戦時下の現実に直面

戦時色を強める首都クイズィルと将来の展望

地域の風景は、観光施設での穏やかな暮らしと、戦時下の厳しい現実が混在している。首都クイズィルでは多くの男性がウクライナでの「特別軍事作戦」に従軍しており、市街には戦時色が漂う。聖地の山や泉を巡る旅路で垣間見えた原風景と、戦地へ向かう男性たちの現実は対照的だ。観光立国を目指す当局の試みは、地域経済の構造的な課題や、軍事作戦による人的影響と隣り合わせにある。今後、この地がどのように独自の文化と経済を両立させていくのか、その道筋は不透明なままだ。

執筆者について: nipponese

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