2026年7月20日、ウクライナ軍はモスクワおよびその周辺地域に対し、開戦以来最大規模となる400機以上のドローン攻撃を実施した。物流施設や石油貯蔵庫を標的としたこの攻撃は、ロシアの戦争遂行能力を削ぐための組織的な作戦の一環とみられる。
モスクワおよび周辺地域での大規模ドローン攻撃
ロシアの首都モスクワのセルゲイ・ソビャニン市長によると、7月20日の夜から21日の朝にかけて、400機を超えるドローンがモスクワ地域に向けて発射された。ロシア国防省は、モスクワ周辺だけでなく、ロシア各地や黒海、アゾフ海の上空で合計381機のドローンを迎撃したと主張している。この大規模な空襲により、ドモジェドヴォでは住宅が被弾し、工業団地で火災が発生するなど、少なくとも10人が負傷したと報じられている。負傷者の中には3人の中国籍の人物が含まれていると、ロイターが引用した地域当局が伝えた。

ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ウクライナ軍がモスクワ地域の物流施設と石油貯蔵庫を標的にしたことを認めた。ゼレンスキー氏はX(旧Twitter)で、「我々の長距離制裁は、物流施設と石油貯蔵庫に対して成果を上げている」と述べ、標的がウクライナ国境から400キロメートル(約250マイル)以上離れていたことを明かした。さらに「我々は、我々の都市とコミュニティに対するあらゆるロシアの攻撃に対して、正当に反撃している」と語った。
今回の攻撃では、ロシア最大のEコマース企業であるワイルドベリーズ(Wildberries)の物流拠点が再び標的となった。ポドリスク地区にあるワイルドベリーズの物流センターは、予防措置として一時的に避難が行われた。また、ポドリスクでは石油貯蔵庫で火災が発生したとニュースサイト「Astra」が報じた。ゼレンスキー氏は、週末に行われた倉庫への攻撃について、それらの施設がロシアの戦争遂行に深く関与しているためであると説明している。

一方、ロシア軍もウクライナ各地への攻撃を強めている。オデーサ州のオレグ・キペル知事によると、7月中、ロシア軍の攻撃によりオデーサ地域だけで28人が死亡した。キペル氏は「7月の初めから、オデーサ地域は絶え間ない毎日の砲撃下に置かれている。地域で13回から15回の空襲警報が鳴らされた日もあった」と述べた。月曜日にはオデーサのインフラ施設が攻撃され、少なくとも3人が死亡、3人が負傷した。また、パブロフラード、クラマトルシク、ザポリージャの各都市でも死者が出ている。
米国に拠点を置くシンクタンク「戦争研究所(ISW)」は、ロシアが7月にウクライナに対して発射した弾道ミサイルの数が、同国が月間生産できると推定される数を超えていると指摘した。「ロシアは、ウクライナに対して発射する弾道ミサイルの数を増やし続けるために、備蓄を取り崩しているようだ。これらのミサイルはドローンや巡航ミサイルよりも高い成功率を誇っている」と同研究所は分析している。
こうした中、ウクライナ内部では軍上層部の人事を巡る緊張も報じられている。ウクライナ軍のオレクサンドル・シルスキー総司令官の解任が近いとのメディア報道に対し、ウクライナ参謀本部はこれを否定した。しかし、ゼレンスキー氏の側近であるキリロ・ブダノフ氏は、「国民の立場は聞き届けられた」と述べ、状況は「専門的かつ建設的に」解決されつつあると示唆した。ブダノフ氏は「敵は我々の内部のいかなる論争も注視しており、我々が争い始めるのを待っている」と警告し、国民に冷静さを求めた。
Sources: Theguardian, The Washington Post.
