米シカゴからロサンゼルスまで全長約4000キロを結ぶルート66を横断する連載企画の第2回。中間選挙を前に、かつて労働組合の影響が強く民主党の地盤だったイリノイ州マディソン郡などで、労働問題が後景に退き、民主党を離れて共和党支持へと転じた労働者たちの声が伝えられている。asahi.comが報じた。
イリノイ州マディソン郡の工場群とラストベルトの変貌
車はイリノイ州マディソン郡の農村地帯を抜け、製鉄業や製造業で栄えた「ラストベルト(さびついた工業地帯)」の一角である工業地帯に入った。ルート66沿いのハンドルを握る記者の視界には、遠くに工場群が見えてきたと伝えられている。マディソン郡はかつて労働組合の影響力が非常に強く、大統領選挙では民主党候補が強い地盤を持っていた地域である。しかし、その政治情勢は大きく塗り替わった。
民主党から共和党へ移行したマディソン郡の投票行動
マディソン郡の政治的支持の傾きは、近年の大統領選挙の結果に明確に表れている。2012年の大統領選で共和党のミント・ロムニー氏が勝つと、2016年以降は共和党のドナルド・トランプ氏が3回連続で勝利を収めた。かつての民主党の牙城は、いかにして共和党の「赤いトランプの道」へと変わっていったのか。その疑問を解くため、現地での取材が進められている。
元電気工ダリルさんが語る民主党離れの理由
人気のダイナー(大衆食堂)で常連客に声を掛けた記者は、78歳のダリルさんから話を聞いた。電気工として40年間働き、組合加入50年の記念ピンバッジをもらったばかりだというダリルさんは、自身を具体例として挙げ、街の大きな変化を語った。1990年代のビル・クリントンには投票したものの、2008年のオバマには投票しなかった。オバマが黒人への不当な扱いや機会格差を指摘するのに対し、機会は既にあると考えていた自身の職場経験と違うと感じたことが主な理由だと説明している。
労働者寄りから左へ行きすぎたと感じる党への失望感
ダリルさんは、かつての民主党が「労働者寄り」であり、地道に働く人間が家族を養うための党であったと回顧する。しかし、現在の民主党に対しては「左へ行きすぎた」と強い失望感を口にした。具体的には、バイデン政権が「大勢の違法な入国を黙認した」と国境管理を批判し、一部の民主党左派による「警察予算の削減」という主張を「とんでもない」と一蹴した。地方において警察官への信頼が厚い中、こうした左派の動きが支持離れを加速させた要因となっている。
トランプ氏の手法を嫌うも民主党に失望する有権者たち
同じダイナーにいた75歳の元会社員ハーマンさんは、トランプ氏の分断をあおる手法を嫌い、一度も投票したことがないとされる。それでもなお、民主党への失望感を抱えている現状があることが示されている。労働問題をめぐる環境や価値観の変化が、単純な二大政党の対立図式を超えて、かつての支持層の足元を揺さぶり続けている。
ルート66沿いのラストベルトにおける有権者の離反は、かつての強固な地盤がどのようにして塗り替わっていったのかを示しており、中間選挙の行方を占う上で重要な現場の現実を伝えている。