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2025-07-05 09:30:00
「Pride Action 30」とは、NPO法人プライドハウス東京とパナソニック コネクトが共同で立ち上げた企業連合プロジェクトで、日本社会におけるDEIの推進、特にLGBTQ+の方々が働きやすい環境づくりを目指している。2025年3月には「Pride Action30」の共同企画を行っているパナソニック コネクト本社にて「Pride Action Meeting」を開催。「LGBTQ+理解促進を自社でどう進めていけるか」をワークショップ形式で話し合った。
2025年は、前年比3倍以上となる65社がプロジェクトに参画。6月のプライド月間に際し、新宿御苑駅前にある総合LGBTQ+センター「プライドハウス東京レガシー」にて、誰もが自分らしく働ける社会の実現に向けた勉強会・意見交換会を行った。
企業の賛同が増えていることを実感

セミナーの冒頭では、パナソニック コネクトCMOで同社のDEI推進をリードする山口有希子さんと、プライドハウス東京 代表理事の五十嵐ゆりさんによる「Pride Action 30」2年目の手応えが話された。
山口さんは「輪が広がることによって、安心・安全な社会をつくっていくことができる」とし、「初年度となる昨年は20の企業・団体に賛同いただき、連携して実施しました。今年はありがたいことに60を超える企業が参加を表明してくださり、その輪が広がっていることをうれしく思っています」と話した。
五十嵐さんは2年目の変化について、
「Pride Action30の特設サイトを見ていただくと、賛同してくださる企業様のロゴが掲載されています。今年はグローバル企業が増えたこともひとつの特徴であり、また公式にスポンサードはできないけど何かサポートをしたい、と言ってくださる企業の方もいて、Pride Action30が掲げる想いの裾野が広がっていることを感じます」と語った。
しかし、課題もある。五十嵐さんは、
「LGBTQ+の問題に既に関心がある人だけでなく、『無関心層』を巻き込んでいくには、どうすればよいか。知らないことが悪いのではなく、アクションのハードルを下げて一緒に学んでいくキッカケを提供するのがPride Action30の考え方です。30のアクションは今すぐに始められるものを集めていますので、組織の取り組みでも個人のアクションでも、行動のきっかけになればと思います」と期待を込めた。
アメリカの「DEI見直し」の影響は

続いて、最近の動向についてプライドハウス東京・理事の鈴木茂義さんと五十嵐さんのトークセッションが行なわれた。
まず挙げられたのがアメリカの動向。2025年1月以降、アメリカ企業を中心にDEI目標を撤回縮小など、見直しの動きが続出していると指摘。
「いくつかの大手グローバル企業が、数値目標の設定を中止したりDEIチームの解散、関連プログラムの見直しなどに入っています。また世界各地のプライドイベントへの支援も中止もしくは縮小に。LGBTQ+の権利擁護の動きが足止めを受けているような状況にあります」(五十嵐さん)
一方で、縮小ではなく、より効果的になるように刷新していく動きを見せる企業も少なくない。DEI縮小について株主から反対を受け、取り組みを継続することを決めた企業や、「多様性の実現を目的とした目標を維持する」と声明を発表した企業も見られる。
五十嵐さんは「各企業の現場担当が試行錯誤しているのでは」と分析し、コーポレート・イクオリティ・インデックス(企業がLGBTの従業員や消費者、投資家などを平等に扱っているかどうかを評価する、米国の団体による指標)の調査では、72社が新たに調査に参加し、100点を獲得した企業は765社。昨年から3割増えています」とデータを示した。
この動向に対し、鈴木さんは「企業の研修に行くと、この動きを逆手に取ってむしろ活動が活発化している印象です。日本のDEIの成長は世界的に見ても良いモデルになるのではないでしょうか。教育現場でも出張授業などのニーズは高まっています」と期待を寄せた。
国内では政府も企業も推進派
今年の国会で政府は、多様性が尊重される包摂的な社会の実現について、推進が重要であることを答弁しました。これは重みのある言葉ですが、LGBT理解増進法に関わる基本計画は、立法から2年経過してもまだ決まっていません。一方で、この6月に労働施策総合推進法の一部改正がありました。カミングアウトの禁止、強要や強制はパワハラに該当。防止措置が義務化されました。また顧客から労働者へのSOGIハラスメントはカスタマーハラスメントに含まれるとされ、こちらも防止措置が義務化。就活中の学生に対するSOGIハラも防止が求められるようになりました」(五十嵐さん)
企業においては労働人口の減少が大きな課題であるがゆえに、「多様な人材の受け皿が必要になる」と指摘。DEI推進が組織力向上に不可欠なのは言うまでもない。当事者が働きやすい会社であること。選ばれる企業であること。これは「Pride Action30」を共同企画しているパナソニック コネクトも重要なメッセージとしている。
もうひとつ「婚姻の平等の裁判/同性婚法制化」も注視していると五十嵐さんは話す。2025年3月、大阪高等裁判所が同性婚を認めない現行の民法・戸籍法の規定について、憲法違反であるという、5件目の高裁判決が出ました。弁護団の方々によると、最高裁判決は2026年ごろと見込まれています。裁判官が判断する際に、重要なカギとなるのは世論や社会通念です。そういう意味でも、Pride Action30がひとつのきっかけとなり、みなさんの取り組みが増えていくことを期待します」と総括した。
元小学校の教員で、現在はプライドハウス東京の理事として主に教育関連団体と連携する鈴木さんは「子どもたちから『なぜ日本は同性が結婚できないんですか』と聞かれることがあります。子どもたちの世代からそのおかしさに気づき始めているというのは、非常に心強いと感じています」とコメント。しかし一方で、LGBTQ+に関しては学習指導要領には入っていない。学ぶ学校もあれば、学ばない学校もあるのが現状だ。教育も重要なカギであり、2027年の高校の学習指導要領の改定に向け、社会も変わっていく必要がある。
各社、どのような工夫をしているの?

後半では、グループワークが行われた。ディスカッションテーマは2つ。「日本では同性婚が認められていないが、各社でどんな制度がある? 制度を活用してもらうために工夫していることは?」「家族や同僚にカミングアウトされたら、どういう言葉をかける?」。気になるキーワードを付箋に書いて、模造紙に貼っていく参加者たち。
最後には「この先も自分に出来ることを書いて宣言してみる」というワークがあり、グループごとに本日の気づきが発表された。
いくつかコメントを紹介する。
「一緒にやろう、という気持ちをもって成し遂げていくのは、この活動の本当の原点だと感じた」
「海外では当事者もオープンにすることが多い。それがハッピーだから。でも東京はカミングアウトしない人が多い印象。文化の違いだと思うが、これに限らず『違いを知る』ことが重要だと思った」
「アライであることを宣言し続ける。正しい知識を取りに行き続ける。そして相手の立場を想像する。この3つを意識して続けていきたい」
参加者は各企業のDEI担当者であり、試行錯誤の日々だというが、グループワークを通して他社の取り組みを知ったり、一緒にできることを考えるなど、有意義な時間となった。Pride Action30をきっかけに企業の連携が包摂的な社会を生み出し始めている。
(取材・文:島田ゆかり)
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