南米ブラジルで4日に大統領選の投票が行われ、右派のフラヴィオ・ボルソナロ氏が現職の左派ルラ大統領を上回る得票を獲得したものの、有効票の過半数を得られなかったため、上位2人による決選投票が10月25日に行われることになったと、bbc.comが報じた。.
得票率でリードしたボルソナロ氏とルラ大統領の激戦
開票率98.81%の時点で、右派のフラヴィオ・ボルソナロ氏の得票率は47.24%となり、現職のルラ・ダ・シルヴァ氏の44.91%を上回った。選挙前の予測ではルラ氏がわずかにリードしていたが、ボルソナロ氏の得票結果は予想を上回るものとなった。第1回投票で敗退した他の候補者には右派も含まれており、決選投票に向けてはボルソナロ氏が有利とされている。ラテンアメリカでは大半の国でドナルド・トランプ米大統領に同調する右派政権が選ばれており、同地域最大の面積と経済規模を誇るブラジルがそれに続くかどうかが焦点となっている。
二極化する国内政治と主要な争点
今回の選挙戦を通じて、ブラジル政界はルラ氏とボルソナロ氏の二大有力者の間で再び大きく二極化した。有権者の最大の関心事は、主権、犯罪、経済、汚職といった問題である。ルラ氏は貧困層が多い北東部や低所得者層、カトリック教徒、女性から手堅い支持を集める。一方のフラヴィオ氏は南部で支持を広げ、裕福な層や福音派キリスト教徒の間で人気が高い。フラヴィオ氏は、当選した場合には父親であるジャイル・ボルソナロ前大統領や、2023年1月8日の政府庁舎襲撃事件の支持者たちに恩赦を与えることを公約に掲げている。
浮上した汚職スキャンダルと犯罪対策の対立
受刑者が中心となったブラジル最大級の金融詐欺事件を背景に、今回の選挙では汚職が重要な争点の一つとなった。フラヴィオ氏は父親の伝記映画の製作費提供をその受刑者に依頼したことを認め、1億3400万レアル(約40億5700万円)を要求する音声録音も流出した。治安面では、ブラジルの殺人発生率自体は低下しているものの、携帯電話の窃盗といった街頭犯罪が目立ち、暴力や麻薬密売も深刻な問題として残る。フラヴィオ氏はブラジルのギャングをテロ組織に指定し、エルサルバドルにあるような厳重警備刑務所を建設すると主張している。

米州の外交関係と経済政策の行方
最高選挙裁判所長官は4日、外国による選挙干渉の証拠は見つからなかったと表明した。しかし選挙戦を通じてルラ大統領はブラジルの主権を強調し、アメリカの干渉を非難した。これに対しフラヴィオ氏が勝利すれば、トランプ政権が中南米の親米諸国と結成した「米州の盾」連合に加わり、対米関係が急速に強化される公算が大きい。中国との関係については、最大の貿易相手国であることから経済的に実務的な関係を維持するとフラヴィオ氏は公約している。経済分野では、個人の高い債務水準や成長鈍化が課題となっており、ルラ氏は低所得世帯への給付金事業「ボルサ・ファミリア」やレアアースへの投資拡大を実績としてアピールしている。
10月25日の決選投票に向けて、両陣営はさらなる支持拡大を図る構えだ。