フィラデルフィア・フィリーズは、2026年10月14日にドン・マッティングリーを正式な監督として起用することを発表しました。マッティングリーはベンチコーチから昇格し、今季途中から代行を務めていた中、2028年シーズンまでの2年契約に合意しています。
ドン・マッティングリーの正式就任と契約内容
球団の発表によると、ゼネラルマネージャーのプレストン・マッティングリーは実の息子であり、フロント組織内での強い結びつきと継続性が今回の決定を後押ししました。65歳となった指揮官は、春先の危機的状況からチーム立て直した実績を買われています。
アレックス・コーラと他候補の拒絶
フィリーズのトップである球団社長デーブ・ドンブロウスキーは、就任交渉において最初からマッティングリーを最優先候補としていたわけではありませんでした。ドンブロウスキーはボストン・レッドソックスの元監督であるアレックス・コーラの獲得を強く望み、春先およびシーズン終了後にも接触を試みました。
しかし、コーラは家族との時間を優先するとしてオファーを辞退し、2027年シーズンの監督業休養を宣言しました。さらに球団は、ドジャースの組織に所属するチェス・アトリーとラウル・イバニェスに対しても接触を図り打診を行いましたが、両氏ともにこれを丁重に辞退したことが明らかになっています。
アトリーはドジャースの編成部門トップであるアンドリュー・フリードマンの特別補佐を務めており、現役時代にはフィリーズの一員として2008年のワールドシリーズ優勝や2度のナショナル・リーグ制覇に貢献した球団史上のレジェンドの一人です。彼は家族との現在の生活環境を考慮し、監督業という大きなコミットメントは現実的ではないと語りました。また、2009年から2011年までフィリーズに在籍し、現在はドジャースの野球開発・特別プロジェクト担当副社長を務めるイバニェスも、数日間の熟考の末にロサンゼルスに残る決断を下しています。
79勝55敗の立て直しと選手たちの支持
シーズン開幕直後の低迷でロブ・トムソン前監督が解任された当時、フィリーズは9勝19敗という苦境に立たされていました。マッティングリーが暫定監督として指揮を執って以降、チームは79勝55敗と驚異的な巻き返しを見せ、最終的に球団史上5年連続となるポストシーズン進出を果たしました。

Donnie was great.
J.T. Realmuto, Catcher
J.T.リアルミュート捕手やアーロン・ノラ投手らがマッティングリーを称賛し、ベテラン選手が多く揃うクラブハウスにおいて彼の落ち着いた態度や指導力は確かな支持を集めました。シーズン中には、主力のトレイ・ターナーが「彼とは何でも話せる。ここにいたいと思わせてくれるクールな男だった」と語る一方で、必要な時には厳しく間違いを指摘する姿勢も示していたことが伝えられています。チームはワイルドカード・シリーズでアトランタ・ブレーブスに敗れ、ポストシーズンは早期敗退となりましたが、シーズンを通して苦しいブルペン陣や不安定な打線を抱えながらもチームを立て直した手腕は高く評価されました。
迫る労使協定の期限と今後の課題
迎える2027年シーズンに向けては、選手会とオーナー側で結ばれている労使協定が12月1日に期限を迎えるという不確定要素が存在します。新たな労働協約の失効やそれに伴う混乱が懸念される中、すでにチームの主要選手と良好な関係を築いているマッティングリーを継続起用することは、外部から新監督を招いて接触が制限されるリスクを回避する上で実利的な選択となりました。球団は一連の体制維持を選択したものの、オーナー陣やファンが期待する悲願の世界一奪還へ向け、どのようにロースターの弱点を補強していくのかが今後の重い課題として残されています。
