50歳以上の成人の約4人に1人が、記憶力の向上や注意力、集中の強化を目的として、少なくとも1種類の「脳健康サプリメント」を服用しているという全米代表的な調査結果があります。しかし、ハーバード大学に関連するケンブリッジ・ヘルス・アライアンスの内科医、ピーター・コーエン博士は、これらのサプリメントが脳の健康を改善するという確かな証拠はないと指摘しています。
ハーバード大学関連の研究者が脳健康サプリに科学的根拠はないと指摘し習慣改善を推奨
コーエン博士は、サプリメントに含まれる成分で脳の健康を改善できることを示唆する根拠はないと述べており、患者への処方や推奨も行っていないとしています。
サプリメントの現状と規制の課題
多くの脳健康サプリメントには、オメガ3脂肪酸(魚油など)、ビタミンE、各種Bビタミン、あるいはそれらの組み合わせが含まれています。これらは地中海食やDASH食、MIND食といった、認知機能の改善に役立つとされる食事に含まれる栄養素に基づいています。
しかし、研究のゴールドスタンダードとされるランダム化比較試験において、単離されたビタミンや栄養素が脳の健康を改善するかどうかを示す根拠はほとんど、あるいは全くありません。例えば、魚の摂取量が多いことと認知機能低下のリスク低下との間には関連性が認められていますが、魚油サプリメントでは同様の効果は示されていません。また、記憶力増強剤として販売されるギンコビローバ(イチョウ葉エキス)についても、科学的な根拠は不十分であるとされています。
さらに、規制面での懸念も指摘されています。サプリメントメーカーは「精神的な機敏さ」や「記憶力の低下」への効果を主張できますが、アルツハイマー病やその他の認知症の予防・改善を謳うことはできません。また、メーカーはサプリメントが有効であるという主張を裏付ける必要はありません。コーエン博士は、FDA(米国食品医薬品局)が2025年12月に、ラベル上の免責事項の表示頻度を緩和する規則変更を検討していることについて、「非常に重要な、間違った方向へのステップである」と批判しています。
科学的に推奨される脳健康へのアプローチ
専門家は、錠剤を服用することよりも、持続的なライフスタイルの変更が重要であると説いています。

食事と身体活動
聴覚ケアと認知機能
聴覚の健康も脳の健康に直結しています。フランク・リン博士の研究(The Lancet, 2023)によると、未治療の聴力損失は認知機能低下の重要なリスク要因であり、重度の障害がある場合は認知症のリスクが最大5倍に高まります。2023年のACHIEVE研究では、補聴器利用者の認知機能低下が48%減少したことが示されました。
社会的つながりと精神的健康
脳の健康を維持するための習慣まとめ
検証された研究や専門家の知見に基づき、推奨される習慣は以下の通りです。

- 食事の改善:魚を多く含む地中海食やMIND食などの栄養密度の高い食事を摂る。
- 継続的な運動:激しいワークアウトだけでなく、ウォーキングやヨガなどの日常的な動きを取り入れる。
- 社会的交流:家族や友人との時間を持ち、孤独を避けて社会的なつながりを維持する。
- 聴力の管理:聴力損失を早期に発見し、適切に対処して認知負荷を軽減する。
- ストレス管理と休息:十分な休息時間を設け、マインドフルな活動や創造的な活動で認知エネルギーを回復させる。