ドイツのフリードリヒ・メルツ首相は2026年10月4日、ロシア軍による激しい攻撃が続くウクライナの首都キーウを電撃訪問しました。メルツ氏は13億ユーロ(約14.6億ドル)規模の新たな支援パッケージを発表し、ウクライナへの連帯とロシアの攻撃停止を強く訴えました。
メルツ首相のキーウ訪問とロシアによる攻撃
ドイツのフリードリヒ・メルツ首相は、ロシアによる攻撃が激化する中で10月4日朝、列車でキーウに到着しました。訪問は事前の公表なしに行われ、滞在中には空襲警報が繰り返し鳴り響くなど、緊迫した状況が続きました。メルツ氏は、ロシアが住民のインフラを標的にしている現状を非難し、次のように述べました。
「プーチン氏、この無意味な戦争を終わらせてください。我々は対話の用意があり、この戦争を終わらせるための議論をする準備もできています。しかし、ウクライナの民間人に対するこうした野蛮な攻撃は止めなければなりません」 フリードリヒ・メルツ、ドイツ連邦首相
https://x.com/TheStudyofWar/status/2106187561504751616
ロシア外務省は訪問の前日、外国の外交官や渡航者に対し、キーウへの立ち入りを避けるよう警告を発していました。ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、ドイツ側の「危険なエスカレーションの道」を緩和するよう求める呼びかけを拒絶し、逆にドイツがウクライナの主要なスポンサーであり、ヨーロッパの主要な軍事大国になろうとしていると非難しました。訪問中、キーウ市内ではロシア軍のドローンがドニプロ川にかかる「北部橋(ピヴニチュニイ橋)」を攻撃し、車道が損傷しました。キーウ市のヴィタリ・クリチコ市長は、この攻撃で2人が負傷し、周辺の給湯システムが破損したと報告しています。また、ゼレンスキー大統領は、ウクライナの兵士らを追悼するため、メルツ氏とともに独立広場(マイダン)にある戦没者記念碑を訪れました。
13億ユーロの軍事・エネルギー支援パッケージ
今回の支援について、ゼレンスキー大統領は以下のように評価しています。
https://x.com/ZelenskyyUa/status/2106814873191801119
「これには、今すぐ役立つ兵器、エネルギー部門への支援、そして冬を前にした非常に重要なエネルギーパッケージが含まれています」 ウォロディミル・ゼレンスキー、ウクライナ大統領
さらに、ドイツの経済大臣カテリーナ・ライヒェ氏や経済代表団が同行し、シーメンス・エナジー、ヘンスルト、ディール・ディフェンス、クオンタム・システムズなどの企業幹部らが参加しました。これにより、ウクライナ政府や企業との間で合計14件、約66億ユーロ相当の協定が締結され、ディール・ディフェンスによるIRIS-T防空ミサイルの供給合意なども含まれています。また、クオンタム・システムズのスヴェン・クルック共同最高経営責任者は、ウクライナの産業規模に応じた迎撃ドローンの必要性に言及しました。

ドイツの支援継続と国内情勢
メルツ氏は、ドイツがこれまでウクライナに対して433億ユーロを超える支援を行ってきたことに言及し、「もしロシアが阻止されなければ、その戦争機構は遅かれ早かれ我々に向けられるだろう」
と警告しました。ドイツの経済大臣カテリーナ・ライヒェ氏や防衛・エネルギー部門の幹部らも同行しており、両国の協力関係は単なる一方的な支援ではなく、相互の安全保障を強化する取り組みであると強調されています。なお、メルツ氏は前月に行われた地方選挙での敗北などにより国内での政治基盤に打撃を受けているものの、ドイツのショルツ前首相の任期中に2度訪問したのに続き、自身としては2025年5月の就任直後に続いて今回が2度目のキーウ訪問となりました。
ウクライナの外相であるアンドリー・シビハ氏は、今回の協議の焦点について、ウクライナの防衛とレジリエンスの強化、および共通の欧州の安全保障であると説明しました。一方、ロシア外務省は、土曜日の声明においてキーウやその他のウクライナ都市への「大規模な報復攻撃」を継続すると発表し、外国人と外交官に対して出国を促していました。
https://x.com/ZelenskyyUa/status/2106772042980692433
ウクライナ側は、ドイツが今回のような厳しい情勢下で訪問を継続したことに謝意を示しました。ゼレンスキー氏は、ロシアが連日のように外交パートナーを脅迫し、キーウからの撤退を促しているものの、ドイツ大使館が活動を継続し、戦略的パートナーシップが維持されていることは重要なメッセージであると述べました。
関連情報
https://x.com/andrii_sybiha/status/2106615628677193907