トランプ米大統領は2日夜、約2000万人の高齢者に1人当たり90ドルを支給し、メディケアの保険料負担を軽減すると発表した。中間選挙を数週間後に控え、一部の国民に資金を配る新たな取り組みとなる。ホワイトハウスの発表によると、資金は2008年に創設されたメディケア改善基金から捻出される。
メディケア改善基金から90ドルを支給
トランプ米大統領は2日夜、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」での投稿を通じて、約2000万人の高齢者に1人当たり90ドルを支給すると発表した。この資金は、米議会が2008年に22億ドルを拠出して創設した「メディケア改善基金」から捻出される。ホワイトハウスによると、この資金を「活用した政権はこれまでにない」という。高齢者は10月上旬に口座への振り込みか郵送される小切手で支払いを受け取る。政権はメディケアの医療保険料を「大幅に」引き下げたと主張している。
対象外となる加入者と所得の条件
約6400万人いる高齢のメディケア加入者全員が90ドルの支給を受けられるわけではない。ホワイトハウスのファクトシートによると、低所得の高齢者でメディケイドの受給資格も持つ人や、所得が高くメディケアのより高額な医療保険料を払っている加入者は支給の対象外となる。メディケア改善基金自体は、連邦政府が運営する従来型メディケアの制度運営を改善し、医療提供者への支払いを増やすことを目的に作られたものだった。
保険料の上昇と生活費への懸念
トランプ氏はメディケアの医療保険料を引き下げたと主張しているが、CNNはこの報道の中で、メディケアの医療保険料が25年から26年にかけて約10%に当たる17ドル90セント上昇したと報じている。この上昇率は4年ぶりの大きさで、金額ベースでは制度史上2番目に大きい引き上げとなった。有権者は日々の生活費の上昇を強く懸念しており、今回の支給は議会での多数派維持を目指す共和党が打ち出した新たな選挙前の施策となっている。
相次ぐ小切手郵送と選挙の公約
トランプ政権は1日、中低所得者をカバーする医療保険であるオバマケアの加入者約100万人に500ドルの小切手郵送を開始したばかりだ。トランプ氏はかねて、共和党が中間選挙で勝利すれば米国の成人全員に5000ドルを支給すると公約に掲げており、2日の投稿でもこの方針を改めて示している。有権者の動向が注目される中、こうした現金支給や保険料負担の軽減策が選挙戦にどのような影響を与えるかが焦点となっている。
65歳以上有権者を巡る支持の行方
メディケアの対象となる65歳以上の有権者は、選挙で最も確実に投票する年齢層として知られている。CNNの出口調査によると、20年の大統領選ではジョー・バイデン氏がこの層でトランプ氏を5ポイント上回っていた。しかし4年後の選挙では、トランプ氏が当時副大統領だったカマラ・ハリス氏をわずか1ポイント上回る接戦となった。中間選挙を数週間後に控え、高齢者層をターゲットにした一連の資金配分が投票行動にどう作用するのか、その結果が待たれている。