アメリカ中間選挙を1か月後に控え、トランプ政権の強硬な移民政策を巡る分断が鮮明になっている。テキサス州での捜査官による銃撃事件など「不安」の声が上がる一方、国境警備の強化に「感謝」する住民もおり、世論調査では政策への支持と不支持が拮抗している。
テキサス州で発生した移民捜査官による銃撃事件
テキサス州で先月、移民税関捜査局(ICE)の捜査官がベネズエラ国籍の男性を銃撃する事件が発生した。日テレNEWS NNNによると、男性は背中に銃弾が残ったまま手錠をかけられ、身柄を拘束されたという。この事態を受け、周辺地域ではトランプ政権の移民政策に対する抗議デモが活発化しており、政府の取り締まり手法を批判する声が強まっている。
DACA制度の更新遅延で就労許可を失う移民
移民政策の余波は、制度を利用して生活する人々にも及んでいる。カリフォルニア州に住むメキシコ国籍のクラウディアさん(30)は、幼少期に渡米した人の強制退去を猶予し就労を認める「DACA」制度を利用してきた。しかし、日テレNEWS NNNの取材に対し、更新手続きの長期化により就労許可が失効し、職を失ったと語った。クラウディアさんは「自分に非がないのに収容施設に入れられる可能性があるのは本当に怖い」と述べ、自身の生活が激変した現状に危機感を募らせている。
移民政策を巡る世論の分断
アメリカ国内では、トランプ政権が進める移民対策に対する評価が二分されている。日テレNEWS NNNの調査では、移民政策を「支持しない」と回答した人が55%に上る一方で、「支持する」と答えた人も36%を占めた。この数字は、強硬な政策が一部の層から根強い支持を集めている実態を示している。
「DACAは働くこと、学ぶこと、人生を改善することを何十万人にも可能にしてきた。私はそれこそがアメリカだと思っていた」(クラウディアさん)
国境付近で「トランプの壁」を評価する牧場経営者
政策を支持する立場からは、国境付近の治安改善を評価する声が上がっている。メキシコとの国境近くで牧場を経営するジム・チルトンさん(87)は、日テレNEWS NNNに対し、以前は不法入国者や麻薬密売人がフェンスを壊して牧場を通り抜けていたと証言した。しかし、トランプ政権下で「トランプの壁」が設置され、国境での取り締まりが強化されたことで、越境者が激減したという。チルトンさんは「もう人々が私の牧場を通り抜けることもない。素晴らしい。ありがとう、トランプ大統領」と述べ、現在の状況を歓迎している。

激減した不法入国者数と今後の政権対応
国境における不法入国者の数は、統計上大きな変化を見せている。日テレNEWS NNNによると、不法入国者の越境数は2024年のおよそ160万人から、2025年にはおよそ18万人にまで激減した。バイデン政権下で建設が一時中止された壁も、現在の政権では軍の配備などを含めた取り締まり強化が継続されている。トランプ大統領は、不法移民の数が記録上過去最低の水準にあると主張しており、この数値が中間選挙における重要な争点となる見通しだ。