映画版では、観客が好きなキャラクターに扮装し、小道具を持ち込み、劇場内でアイテムを投げ合いながら「タイム・ウォープ」などの楽曲に合わせて歌うという独特の文化が生まれた。カリー自身が歌う猥雑でセンセーショナルな楽曲も強烈な印象を残した。
カルト的名作『ロッキー・ホラー・ショー』と伝説の役柄
ティム・カリーはNPRのインタビューにて、人々がいくつかの役を試してみることで、おそらく自分自身のセクシュアリティを見出す助けになる機会であると語った。ティム・カリー、NPRのインタビューにて
また、作品の冒頭では自動車のトラブルが物語の引き金となっている。ブラッドとジャネットが雨の中で立ち往生するシーンでは、フォード・カントリー・スクワイア・ワゴンをはじめとする車両が登場し、郊外の保守的で型にはまった日常を視覚的に表現する重要な役割を果たした。その平凡な日常が、カリー演じる怪しげな科学者の城によって一変することになる。
幅広いキャリアと悪役での圧倒的な存在感
『ロッキー・ホラー・ショー』の強烈なイメージから脱却するため、カリーはすぐに多様な役柄への挑戦を始めた。1982年の映画『アニー』では、キャロル・バーネット演じる孤児院の経営者ミス・ハニガンの悪知恵を働く兄弟ルースター・ハニガンを演じ、メインストリームでの認知度を高めた。

My job was to give Tim the stage and not get in his way too much. He was like Robin Williams in the way he brought a spontaneous improvisation to the part. トミー・リー・ウォレス(監督)、ハリウッド・リポーターの取材にて
監督を務めたトミー・リー・ウォレスは、カリーが役柄に即興的なアプローチをもたらした点についてロビン・ウィリアムズのようだったと評価している。
トニー賞ノミネートと晩年の活動
舞台俳優としても高い評価を受け、カリーはキャリアを通じて3度のトニー賞主演男優賞ノミネートを記録した。1981年の『アマデウス』でヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト役を創始して初めてノミネートされ、1993年にはミュージカル『我が友マキシン』でアルコール依存症の俳優アラン・スワンを演じて再びノミネートされた。

さらに2005年には、映画『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』を原作としたミュージカル『スパマロット』でアーサー王を演じ、3度目のノミネートを果たした。この作品は2004年にシカゴで幕を開け、カリーはロンドン公演を含む3年間の出演を続けた。
長年にわたる活躍の一方で、健康上の試練もあった。2012年に大規模な脳卒中を患い、脳の手術を要する闘病生活を送った。それでも表現活動への情熱は衰えず、2024年8月に劇場公開されたホラー映画『ストリーム』にも出演を果たしている。