ウラジーミル・プーチン露大統領の故郷でロシア第2の都市であるサンクトペテルブルクが18日、ウクライナ軍による大規模なドローン攻撃を受けた。石油ターミナルや燃料貯蔵施設などのエネルギー施設で火災が発生し、1人が死亡したとチョソンオンラインなどが報じた。米トランプ政権が仲介したとされるエネルギー分野での停戦合意は、わずか数日で完全に無力化された形となっている。
サンクトペテルブルクで石油施設が炎上し1人死亡
ロシアのタス通信などの報道によると、ウクライナ軍は18日未明、サンクトペテルブルクの石油ターミナルや燃料貯蔵施設、物流センターなどの重要施設をドローンで攻撃した。サンクトペテルブルクのアレクサンドル・ベグロフ市長は、攻撃を受けた石油ターミナルと燃料貯蔵施設で火災が発生し、消火作業に当たっていると明らかにした。墜落したドローンの破片が当たった1人が死亡し、ほかに5人が負傷したという。
火災が発生した石油ターミナルは、ロシアが毎月110万トンの燃料を処理していた重要な拠点である。サンクトペテルブルクを取り囲むレニングラード州では変電所2カ所が攻撃を受けて稼働を停止し、一時は緊急停電も発生した。レニングラード州のアレクサンドル・ドロズデンコ知事は、レニングラード州上空で夜通しウクライナのドローン145機を撃墜したと明らかにしているとチョソンオンラインが伝えている。
トランプ氏のエネルギー停戦発表からわずか数日で破綻
これに先立ちドナルド・トランプ米大統領は11日、ロシアとウクライナがエネルギー分野での停戦に合意したと発表していた。しかし、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はその4日後、ロシアがウクライナのエネルギー施設を攻撃したと発表し、エネルギー停戦の終了を宣言して反撃に乗り出した。その後わずか3日でロシアによるウクライナ侵攻後最大規模のドローン攻撃が行われた。
BBCの報道によると、トランプ氏はアメリカ国内で燃料価格引き下げを求める高まる圧力に対応するため、ロシア産ディーゼル燃料を輸入すると9日に発表し、その上でエネルギー停戦の実現を主張していた。これに対しゼレンスキー大統領は、この合意はアメリカがロシアの戦争遂行に投資することに等しいと批判し、ウクライナはロシアの戦争遂行のための主要な収入源を制限するためだと主張して石油施設を攻撃し続けている。
データセンターやネット通販物流拠点も標的となる
今回の攻撃はエネルギー施設だけに留まらなかった。BBCは、ロシアのアマゾンとして知られるオゾンの物流センターと、フェイスブックに似たソーシャルメディアのフコンタクテのデータセンターも攻撃されたと報じている。オゾンは現地物流センターがドローン攻撃を受けて火災が発生したことを認め、従業員は避難して負傷者は出なかったものの、当該場所での荷物の受け入れを停止したと発表した。
また、フコンタクテはドローンが同社の地域データセンターを標的にしたことを認めたものの、サービスは通常通り利用可能だと強調した。しかし複数の利用者は18日早朝、サービスが使えなくなっていると報告している。Yahoo!ニュースのエキスパート記事によると、ウクライナ軍は今年に入り、ネット通販の物流拠点やロシア版グーグルと言われるヤンデックスのデータセンターなどを相次ぎ破壊し、ロシア社会や経済に大きな打撃を与えている。
ウクライナ首脳と米交渉担当者の会談と近隣国への影響
トランプ大統領とゼレンスキー大統領はソーシャルメディアで互いを非難している。ゼレンスキー大統領はXに、停戦発表以降にロシアはウクライナのエネルギー施設を意図的に76回も攻撃したと書き込んだ。一方のトランプ大統領はトゥルース・ソーシャルで、ゼレンスキー氏によるロシアの製油施設攻撃が世界の軽油市場に深刻な打撃を与えているが同氏は気にしておらず、この戦争を終わらせたがっていないと述べている。
こうした緊張のなか、ゼレンスキー大統領は18日、トランプ政権の首席交渉担当のスティーブ・ウィトコフ氏とジャレッド・クシュナー氏と会談したとテレグラムで明らかにし、両国の交渉担当者が次の外交的措置を準備していると述べたとBBCが伝えている。また、攻撃の最中にウクライナのドローンがロシアの電波妨害により経路を外れてリトアニア領空に進入し、NATO陣営のリトアニアとラトビアで空襲警報が出される事態も発生した。ウクライナ外務省は標的を追っていたドローンがロシアの電子戦攻撃で誤誘導されたものと推定し、懸念について謝罪している。

冬を前に激化するインフラ攻撃の行方
ロシアとウクライナは、冬を前に互いのエネルギーインフラへの攻撃を激化させている。国連は16日、10月前半にはウクライナで近年最多の民間人が犠牲になったと報告しており、ロシアによるエネルギー施設への攻撃により市民が再び厳しい冬を過ごすことになるという懸念が高まっている。ゼレンスキー大統領は、ロシアが過去1週間でドローン約2700機、空中爆弾1700発、ミサイル66発を発射し、そのほとんどがエネルギー施設を標的としていたと述べている。
